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憑依奮闘記 第十四話

 2008-06-27
――衝撃。

 漆黒が夕闇を切り裂きながら豪快に空間を奔る。 それに対するは銀線の軌跡だ。 炎を纏うその剣閃が虚空を翻って闇を削る。

「ふん!!」

「せぁあああ!!!」

 漆黒の大剣と銀の刃が互いの魔力を糧にして、縦横無尽に閃光を刻んでいた。 グライアス・デュリック<断頭台>の剣は完全なる一撃必殺の剣だった。 シグナムも基本的には一撃必殺の剣だが、それは剣術と魔法が高度なバランスで成り立たせた剣の芸術だ。 しかし、グライアスの剣は違う。 圧倒的な膂力と魔力で技術を無視した力任せの剣を振るっている。 剣術が優れているわけでは決して無い。 だが、その膂力と反応速度が並みの剣士を大きく凌駕していた。 剣士というには無骨なそのあり方は、どちらかといえば戦士に近い印象を受ける。 全身のバネを命一杯使いながら、シグナムは内心でその剣の重みに舌を巻いていた。
「つっ――!!」

 なんという威力なのか。 その剣閃一つ一つには恐ろしいほどに迷いが無く、酷く鈍重な一撃を次々と繰り出してくる。 二メートルはありそうな漆黒の大剣が、灰色の魔力を撒き散らしながら振るわれる度に、空間ごと引き裂かれているのではないかと錯覚してしまう。 受け方を間違えれば、確実に一撃で両断される。 断頭台の上に首を置いている状態にも等しい。 これほどの魔導師との戦いは久しくなかっただけに、否が応でもシグナムは高揚していた。

 勿論、それが不謹慎な感情であるということも理解している。 主が攫われた今、この闘いを純粋に楽しむことはできない。 だが、それでも思う。 ここまで”真っ直ぐな剣”を振るう男と、もっともっと剣を交わして見たいと。

 その剣と魔力と殺気から感じるものは酷く純粋な何かだった。 凡そ敵に向けるような悪意が無い。 ただ、何かを確かめるかのように打ち出されてくる大剣には不思議な魅力を感じた。 もしかしたら、それがこの目の前にいる男の本質なのかと思ってしまうほどに。  

 だからこそ、余計に思う。 勿体無いと。 何のしがらみもない場所で、互いの力を競い合うようにただただ無心に剣を交わせたならばどれだけ楽しいだろう? 剣に乗せられた意地と魂を、その剣戟によって交したとき、その先にある”互いの信念”が垣間見れる一瞬がある。 剣士だけが共感するあの剣<ツルギ>の境地。 剣の叫び。 その酷く曖昧で確かな感触がシグナムに戸惑いを与えてくる。

――何かが、おかしい。

 殺気も行動の一つ一つもまるで本物だったが、それでも振るっている剣から伝わってくるそれは態度とは裏腹であり、それとは絶望的にかけ離れている。 デスティニーランドの空を飛翔しながら、剣を交わすこと十数分。 次々と戦場を変えながら、衝突するたびに思う。 やがて、それは確信へと変わっていく。

 それに良く見ればグライアスの漆黒の大剣の鍔元、デバイスのコアたる部分が明滅していない。 通常デバイスが起動していたならば、魔法を使う度に光るはずなのである。 だが、その光源は見られない。 そして、刃の根元に見えるベルカ式カートリッジシステム。 どういうわけか、”彼”は一度もそれを使用していない。 圧縮魔力カートリッジを装填する素振りさえ無い。

――つまりは相手は本気で戦っていない?

「解せん……貴様、私相手に手加減しているというのか?」

 シグナムが憤りのようなものを吐き出し、魔力を烈火の如く燃やして剣戟を加速させていく。 だが、グライアスはその言葉を苦笑しながら否定した。 

「別段、手加減をしているというわけではない。 俺は本気で剣を振るっている。 これが、今の俺の”限界”だ」

 涼しく言い切られたその言葉。 それに嘘は無い。 彼にすれば、それは当然の言葉だった。 本気で剣を振るわなければ目の前の剣士と戦えてなどいない。 この剣の騎士の剣は、正当なる戦闘理論によって振るわれる高度な剣である。 グライアスのように、見よう見まねで構築した力任せの剣ではない。 その剣の鋭さも、その剣の美しさも、全てに雲泥の差がある。 ”本物”の断頭台の剣であれば違うのだろうが、これがグライアス・デュリックの限界だった。

「戯言を。 貴様、デバイスさえ起動せずに私と戦りあうつもりか!!」

 デバイスのコアが明滅しないということは、そういうことだ。 少なくとも、正常に作動しているデバイスならばそれはありえない。

「それは違う。 これはそもそも”デバイス”の機能を失って長い。 ”これ”はただの鈍器にすぎんよ」

「――な、んだと!?」

 そう、彼は手加減をしているというわけではない。 それは元から起動できないのだ。 コア部分が破損し、真っ二つに割れている。 そんな状態でカートリッジシステムが作動するわけも無い。 であればそれはただの頑丈な鈍器にすぎない。 フィールドを纏わせ、元々の頑丈さとその纏わせた魔法とあわせて脅威の剣としているが、ただそれだけだ。 グライアスは魔法を自前でしか使っていない。 つまりは彼は本当に本気で戦っていたのだ。 その言葉に嘘はない。

 両者が一端、仕切りなおすために距離を開ける。 そうしながら、騎士の疑問に答えるようにグライアスは口を開いていく。

「第一、私は魔導師としては半人前だ。 何せ、三つしか魔法を使えないのだからな」

「――!?」

 そのありえない言葉に、シグナムが戦慄する。 その言葉自体がありえない。 ここまで彼女と打ち合っていながら、半人前などと自身を形容するその男。 だが、言葉とは裏腹に歴戦の勇士とさえ彼は打ち合っている。 奥歯をかみ締めながら、シグナムは唸った。 事実、彼は剣を振るうだけで他の魔法を使ってはいなかった。 だが、その一撃一撃は正に高ランク魔導師のそれにも匹敵する。

「ミッドチルダ式は汎用特化魔法。 しかし、攻撃、防御、飛翔の三種類それぞれ一つの魔法を最低限極めれば他に複数の魔法など無くてもどうとでもできる。 それだけで戦える魔力さえあればな」

「……一芸特化型か」

「魔導師として私のスタイルを呼ぶのなら、そうなるかのう。 数多くの魔法など必要ではない。 ただ一つを成すためだけのものだけを極めてこそ、それは必殺の一撃を形作る。 俺の場合はこの剣を振るうためだけに魔法がある。 それだけのことだ」

 剣に全てをかけたというわけではない。 だが、その大剣に込められた意思は受け継いでいた。 それが彼の原点であるが故に。

「昔、これの本当の持ち主であった騎士がいた。 その人物ならばあるいはおぬしがもっと納得する形で剣を交わせたのかもしれん。 すまんな、俺はそれをただ模倣しているだけに過ぎんのだ」

 元々、彼は魔法が好きではない。 というよりも嫌悪している類だ。 黎明期の動乱の中で、質量兵器がその価値を落としていき、そのせいでそれらを生業としていたものたちの嘆きを知っているからこそ、彼は魔法が嫌いだった。 新しい時代の流れに乗り遅れたといえばそうなのかもしれない。

 誰もが扱える質量兵器。 ミッドチルダが次元を平定するために大量に用いた質量兵器と魔導兵器。 少なくとも、黎明期以前では両者の関係はそう悪くはなかった。 魔導兵器……所謂魔法科学の産物は少しずつ台頭してきてはいたものの、質量兵器と比べれば圧倒的にその規模は小さかったのだ。

 だが、ある程度の次元平定を終え、新しい平和な世界を築く過程で時空管理局なる”特異な組織”が生まれようとしたときから、その価値が凄まじい勢いで下落した。 『平和な世界には、それを容易く崩壊させうる可能性を持つ温床足りえる兵器は要らない』と、そういうことだった。 そして、平和でクリーンを合言葉にやがて質量兵器はその価値を完全に否定されることになり、今の魔法科学推奨世界が生まれた。 それを生む前はあれほど質量兵器を利用しておいて、まるで掌を返したようなその変わり身の早さに、関係者は皆呆気に取られたと聞く。

 徐々に、少しずつ居場所をなくしていった質量兵器。 製造することも、所持することも違法とされ、どんどんその存在価値さえ奪われた悲しき兵器。 それらのことを思えば、魔法という技術が彼はあまり好きにはなれそうになかった。

 新しい時代の流れに乗れた者もいて、それで大成した者もいないわけではない。 だが、今まで培ってきたそれらをどうしても手放すことができない者というのは往々にして存在する。 彼らは新しい動きに反発する形で集い、なんとかそれらを残そうとした。 集会を開き、デモ行進をし、完全封印だけは避けてくれと嘆願した。 だが、それらは皆犯罪者だとして取り締まられた。 誰に? 勿論、時の管理局にである。 そしてそれに呼応するように”魔法主義者”などと自称する団体まで現れる始末だ。 質量兵器の関係者は世間からも時代からも居場所を無くした。

 次々と関係者たちが”犯罪者”にされていくなかで、グライアス・デュリックもまた襲われた。 熱狂的な魔法科学推進者のテロだった。 徒党を組んだ彼ら魔導師がグライアスの生家を襲ったとき、偶々居合わせていたヴァルハラのフリーの魔導師によって助けられ、以後彼は居場所を失った同業者たちを集め次々とミッドチルダ外の世界へと亡命させていった。 ミッドチルダでは認められないというのなら、それ以外の世界で。 それが犯罪にされない世界で再び成そうとしたのだ。 それらを生業にしていたというプライド。 そして、それらの価値を信じていたが故の行動だった。

 度重なる追撃を振り切り、彼らはミッドチルダの外の世界でようやく安寧を取り戻した。 だが、それは決して簡単なことではない。 亡命の過程で技術流出を恐れた管理局によって放たれた追撃隊、魔導師隊、それらのせいで犠牲になっていった人間は数多くいる。 そして、あの時彼を助けてくれたフリーの魔導師『断頭台』もまた、彼を庇って命を散らした。

 新しい世界の流れのなかで、生みの苦しみを味わうは必然だ。 だが、どこか歪なあの動きとそれを生み出した現況たる魔法にはグライアスが好感を覚えることはこれからも決して無いだろう。 だが、それの威力は認めなければならない。 その脅威だけは、骨身に染みて味わっていた。

 当時から普通の人間の携行火器程度では彼ら魔導師を止めることができなかった。 それをするならば、かなりの規模の兵器が必要だったのだ。 だが、そんなものを運用するだけの金も生産する場所もない。 そこで目に留まったのが彼の魔導師の形見の大剣だ。 皮肉なことに、彼にはそれを振るえるだけの才能があった。 だからこそ、その剣を振るうことに決めた。 嫌いだったが、それでもその力を使うしか方法がない。 ただ、あれだけ自分たちを苦しめた魔法を使うというのは嫌だったから、せめてもの抵抗とばかりに攻撃手段を限定した。 質量兵器の、その最も原始的な形態である剣。 それを振るうためだけの魔法しか使用しないことを彼は生涯、抵抗として貫くことにしたのだ。

 仲間を集い、家<ファミリー>を作り、ヴァルハラや自治連合の手を借りて”同じように苦しむ同業者”を救うべく何度も何度もミッドチルダの支配する世界へ足を運び、”次元犯罪者”の烙印を押されながらも抗い続けた。 そうした中で彼はチェーン・ムーブルに出会った。 なんということはない。 連中の出世道具にされ、襲われていたのを助けただけだ。 だが、それでもそれが救いになったのだとしたら、少しは意味が出てくるだろう。 そんなちっぽけな自己満足を、彼は時空管理局に捕らえられるまで続けた。 やがて、いつの間にか彼の断頭台と間違われていたが、彼はそれを否定はしなかった。 少なくとも、彼の騎士ならばそれを笑って許してくれるだろうと確信していたからだ。

 断頭台とは彼らの旗頭であり、その象徴。 質量兵器の中でも人間が早くから手にした原始的で野蛮な武器でありながら、最も魔法から遠い時代の異物にして魔法にまで用いられる質量兵器の誇るべき原型たる剣。 その名を捧げられることに名誉こそ感じこそすれ、否定する気などおきない。 だからこそ、彼の二つ名は断頭台<ギロチン>。 魔法社会という新しい時代に抵抗した次元犯罪組織の首魁の継ぐべき二つ名なのだった。

「正しい剣の振り方など知らん。 全て我流で覚え、自分のやりやすいように突き詰めただけ。 ただ、そんな程度の剣だがねお嬢さん。 これに込められた重さは、俺の下手糞な剣の腕をこんなにも高めてくれるのだ。 専属騎士と比べると物足りないかもしれないが、そう邪険にしないでおくれ」

「貴方の剣が軽いなどとは言っていない。 だが、これで少しは納得がいった」

「そうかね、ならば続きをしよう美しいお嬢さん。 そろそろ次のステップだ」 

 深く呼吸をしながら、グライアスが剣気を高める。 少しずつ、少しずつ、研ぎ澄まされた刃がさらに重みを増していく。 込められる魔力がさらに増す。 なんと言うことは無い。 様子見からさらに先へと進もうというのだ。 今までよりもさらに膨れ上がっていく威圧感に、シグナムは内心で冷や汗をかく。 技術ではなく、力で圧倒してくるタイプと戦ったことが無いわけではないが、ここまで病的に一つを繰り出してくる人間は少ない。 たった一つにして最後の武器。 その重みは先ほどまでよりも更に重そうに感じる。

「……そういえば、まだ名乗っていなかったな。 俺はグライアス・デュリック。 かつて断頭台と呼ばれ、そして今はリビングデッドとしてあの男に使役される五人のうちの一人だ」

 ため息に吐くようにしながら苦笑いを浮かべると、グライアスはそのまま剣を振り上げ、肩に担ぐようにして構え直す。

「このデバイスの名前はギロチン。 分かりやすい名前だが、この斬首の刃は並みの剣士には止められん。 できれば、お嬢さんがそれさえも打ち破れる騎士であることを願うよ。 あの男が脅威に感じる連中の一人なのだ。 できれば期待を裏切らないでおくれ」

「……期待に応えられるかどうかは知らんが、全力で応じよう。 もとより、私には貴方を倒す以外の道は無い」

 シャマルやザフィーラ、そしてクライドでは論外だ。 ヴィータも苦しいだろう。 ここでシグナムがこの男を落す以外の選択肢はなかった。 カートリッジをロード。 レヴァンティンの鍔元からはじき出される圧縮魔力カートリッジ、その次の瞬間に纏う烈火の如く猛る業火。 静かに吼える魔剣の咆哮を耳にしながら両者が再び剣を交わした。












憑依奮闘記
第十四話
「一つの茶番の終り」














 シャマルの誘導は正確だった。 さすが、支援に特化しているだけあってこれだけ広大な結界内部から結界で隠されたクライドの魔力パターンを発見し、その方向へと着実に導いていた。 こればかりは他の守護騎士には真似できないだろう。 だが、場所がわかっても四人は容易には踏み込めない。 展望タワーの周囲に乱立するホテル群の上には、馬鹿げた数のマリオネットや自動砲台が所狭しとならんでいるのだ。 それら全てが、彼らを見つけた瞬間に怒涛の如き弾幕を放ってくる。

 轟音に次ぐ轟音。 銃声と砲撃音が木霊する戦場は、まるで旧暦時代の戦争風景そのものであった。 誰が今この光景を見てここをミッドチルダだと思うだろうか? 質量兵器を封印し、魔法科学を奨励している世界だとは到底思えないような現実が目の前に広がっている。 誰が見ても、異常に感じるほどに戦場は時代を逆行していた。

「く、ここは本当にミッドチルダなんだろうね? さすがにこれは僕も自身が無くなってきたよ」

「キール、無駄口叩く暇があったらシールド張ってよシールド!!」

 一定以上に近づけば、恐ろしい数の弾幕が彼らの行く手を阻んでくる。 ザフィーラやキールたちがどれだけ防御に長けていようと、それを押しつぶしてしまいそうなほどのこの弾幕にはさしもの彼らも正面突破をするには二の足を踏んだ。 砲弾やミサイルが防御結界を揺るがす度にミーアがオロオロと目を瞑る。 後ろからその少女の恐怖を和らげるようにシャマルが腕に抱いてはいたが、気休め程度の効果しかない。 さすがに、お子様にはこの光景はキツイだろう。

「むぅ、人形如きだけならば強行突破も必要かと思ったが……傀儡兵までいるとは……呆れてものもいえん。 奴ら、よほど周到に準備してきたようだな。 シャマル、突破するにはやるしかないのだな?」

「ええ、多分私たちじゃあ無理だわ。 人形と砲台は抜けられても、その後ろに控えている傀儡兵の弾幕を超えられるほど速度を出せないもの。 それができるのは一人だけ……」

 人形と砲台だけだったなら、無理をすれば押し通れそうだったが傀儡兵は別だ。 アレは一体一体がA級魔導師に匹敵するだけの力を持った無人の魔導機械であり、その砲戦タイプともなれば数が揃えばかなり厄介である。 どうやら近づく敵を叩き落すように命令をされているようだが、ロケット弾やミサイルランチャーよりもよほど性質が悪い。 防御シールドを装備もしているし、そう簡単に倒すことはできないだろう。 そして、現状ではそんな時間をかけるような真似などしたくはない。 であれば、やはりここは突撃ができる人間に任せるしかない。

「……分かった。 ならば私が引きつける。 二人を頼む」

「ええ、御免なさい、私も行ければいいんだけど……」

 支援特化のシャマルはそもそも直接戦闘には向かない。 この采配は仕方の無いことであり、そのことを悔やむことはなかった。 ザフィーラは申し訳なさそうにするシャマルにそういうと、その辺りの建物を壁にするようにして身を隠させる。 障害物に隠れてさえいれば、連中は動かない。 それから考えるとやはり、中心部にある展望タワーにクライドがいそうである。 こうも簡単にその足取りを終えたのはシャマルの手柄であるし、ここから先の荒事は荒事担当の騎士たちがやるべきである。

「さて、少しばかり本気でやろう。 なに、いつもいつも省エネモードだったからな。 久しぶりに肩慣らしでさせてもらうさ」

 少年姿から青年姿へと移行すると、ザフィーラは肩を馴らしながら身体の調子を確認する。 久しぶりの青年形態である。 先ほどまでとは違って、能力もさらに上がっていた。 その状態から狼の形態へと変身。 地面を高速で走りながら暴虐の弾幕に対して突貫していく。

「がんばってー」

「あの弾幕に迷い無く突っ込めるなんて……すごいなベルカの守護獣というのは。 並の精神力ではないね」

 藍色の毛並みの狼が、戦場へと突撃していく。 地を這うように進むその足取りは凄まじく速い。 飛翔するのとは違って陸を疾走するその姿は、紛れも無く野生動物のそれである。 人間などとは比べ物にならない疾走を見せながら、ザフィーラが行く。

 態々地面を走るのには訳がある。 あれなら少なくとも発見した前列しか攻撃できない。 ミサイルはまた別だが、それだけでも弾幕の数を減らすことができるし何よりも傀儡兵が装備しているのは直射タイプの砲撃武器しかない。 ホテルを使って射線を塞ぐようにしながら疾駆するザフィーラを狙うことはできまい。

 シールドを張りながら、全速力で駆けるザフィーラ。 その行く手を遮ろうと怒涛の弾幕が発射される。 機関銃の弾丸が雨のように降り注ぎ、その合間にはミサイルが絨毯爆撃のように無差別に大地を抉る。 捲れ上がるアスファルト、悲鳴を上げるデスティニーランドの通路がまるで泣き叫ぶように轟音を上げていく。 だが、それほどの威容にされされてもザフィーラに後退はない。 ジグザグに走るようにしながら果敢に走る。 マリオネットの操者が、それに脅威を覚えたのかマリオネットや傀儡兵の一部を逆召喚で地面に送る。 水平に発射される弾幕。

「――GUOOOOO!!」

 だが、ザフィーラはそれには屈しない。 獣の咆哮を上げながらマリオネットの一団に突撃していく。

 次の瞬間、鋼鉄で武装した人形が宙を舞った。 鋼鉄が篭手と具足によってひしゃげ、整列した一団に風穴を開ける。 そこに続く咆哮。 アスファルトを割るようにしながら次々と生え出してくる白い魔力杭が、人形を次々と串刺しにして宙吊りにした。 それらが、仲間が放つ弾幕によってスクラップと化していくのを気にもせずにザフィーラは変身。 青年形態になると、鋼の軛を振り回すようにしながら周辺一帯をなぎ払う。 応用力の高いその魔法によって、周辺のマリオネットが鉄塊となって崩れ落ちる。 無論、上からの弾幕は続いている。 ザフィーラは極力動きを止めないようにしながら再び狼姿に変身すると圧倒的な数の暴力に挑んでいった。

 その目には恐怖など微塵もない。 あるのは眼前の敵を食いちぎらんとする明確な敵意と、主を助けようとする鋼の如き堅牢な意思だけだ。 盾の守護獣のその奮戦に、敵は怯えるように戦力を出していった。 止めなければならないと判断したのだろう。 ザフィーラは間違いなく脅威である。 態々一人で突っ込んでくることは訝しいが、残りがそもそも戦闘向きではないというのなら彼だけで突っ込むのはある意味では正しい。 その様子を遠くから見ていた召喚師は、そう判断すると先に無防備な一団へと隣にいた女性を逆召喚。 彼らの仲間を襲わせることにする。 戦闘向きではないとはいえ、素人の考古学者如きならばどうとでもできるだろうと判断したのだ。 その間、突貫してくる獣を狩ることに専念する。 数は力だ。 少しでも相手を傷つけることができるのであれば、それは最終的にどんな強者であっても討ち取れる。 無限に戦える生物などいないのだ。 機械であっても、稼動限界を超えれば壊れるが道理。 であれば、数とは明確な力なのである。 次々と新しい駒を送る召喚師と、ザフィーラのいつ終わるとも知れないマラソンバトルはこうして火蓋を切った。



 そして、そんなザフィーラの後方でも戦闘が始まっていた。 三対一とはいえ、相手は高ランク魔導師。 気を抜いた瞬間にやられるだろう。 シャマルとキールは二人でミーアを守るようにしながらその魔導師と対峙する。

「悪いけれど、貴方たちにはここで足止めさせてもらうわ」

 いきなり逆召喚で現れた怪盗は、そういうとダガータイプのデバイスを片手にその場から消える。 ミラージュハイドの魔法を用いて姿を隠したのだ。
 
「く、ミリアか!?」

「……あちゃー、タイミング最悪」

「いえ、ある意味で好機です。 これで少なくとも邪魔は入りません」

 指元にある指輪型のデバイスクラールヴィントを構えながら、シャマルは言う。 どちらにしても、敵にもこちらにもこれ以上の余裕は無い。 ならば、ここは耐え忍ぶときである。 倒すなどとは考えなくても良い。 時間さえ引き延ばせば、彼女がなんとかしてくれるはずである。 目の前の敵を見据えながら、希望を託しつつシャマルたちもまた戦闘に入っていった。















「ちっ、チェーンもか」

 もはや癖となった舌打ちをして、イーターが言う。 その顔にあるのは焦りだ。 なんということはない。 本来ならばいないはずのヴォルケンリッターとその主。 かの存在と執務官というイレギュラーによって二人もの手駒が消えた。 残りはグライアスとコンバインとミリアだけだが、フリーとなった執務官と鉄槌の足を止めなければ乱入される。 それは、酷く面白くない。 目の前にいる膝を突いたクライドなど無視して、空間モニターを展開。 戦場の様子を確認する。

 どうやら執務官は隠れたようだ。 チェーンの戦闘記録を若干の時間をかけて確認してみるとどうやら負傷しているようだし、介入させた一般人を守るためには下手に動きはすまい。 ならばと、今度は鉄槌の騎士を確認する。 だが、それを見てイーターはもう一度舌打ちした。

「対空砲火を強引に突き破るつもりか!? く、コンバインは何をしているのだ!!」

 ザフィーラと交戦し、召喚師の目が完全にそちらに釘付けにされている。 その隙をついて反対側の方向から鉄槌の騎士が高速で突っ込んできていた。 通常の加速力だけではあの弾幕を飛び越えられない。 恐らくは、同等かそれ以上の飛翔速度を持つ烈火の将でさえそれほどのスピードは出せまい。 だが、鉄槌の騎士だけはその速度が一時的にとはいえ出せるのだ。

 マリオネットや砲台、傀儡兵の弾幕の合間を縫うようにして小柄な少女が口元を歪めている。 その手に握られているのは鉄の伯爵<グラーフアイゼン>のラケーテンフォルムだ。 紅の軌跡を残しながらいつもよりさらに高速で飛翔できるのはそのせいである。 カートリッジ三発を全て使い、ロケットブースターの噴射に魔力を全て使用することによって異常なほどの速度を力ずくでたたき出しているのだ。

 その進行先は言わずとも知れている。 イーターが振り返るように後ろを見たその瞬間、ガラスを突き破ろうと迫る紅い影があった。 もう遅い。 今からどれだけ手を回しても”間に合わない”。

「っらぁぁぁぁぁ!!!!」

 ガラスの破砕音を盛大に鳴り響かせ、分厚い展望タワーの強化ガラスをその手に握る凶悪な威力の鉄槌でぶち破ってきたその少女。 イーターに負けず劣らずの不機嫌そうなその顔は、主の無事を確認すると安堵のため息をつき、すぐにまた不機嫌そうな顔に戻った。 なんてことはない。 無事なら無事でそれで良いのだ。 ただ、色々な落とし前だけはつけさせてもらおうというのだ。 獰猛な少女の笑みが、まるで肉食獣のそれとなって表情を彩った。

「へっ、どうやらうちのボンクラが随分と世話になったみてーだな。 こっからはこのアタシが相手してやるよ誘拐犯!!」

 啖呵を切りながら使用したカートリッジを吐き出し、元のハンマーフォルムへとデバイスを戻すと相手の様子を見ながらカートリッジを装填する。 その間、イーターは全く動けなかった。 その頭にあるのはどうするかということである。

 平行してハッキングをしながら、思考を続ける。 正直に言えば、イーターとヴォルケンリッターは相性が悪すぎた。 何せ”元々”味方扱いなのである。 当時に植えつけられている”味方識別機能”が生きているためにデバイスハッキングによる情報の閲覧はともかくとして、明確な敵対行動であるデバイス掌握の許可が下りない。 そしてそれを”道具”である彼が一々変更する権限は彼には無い。 つまりは、手の内や魔法の使用タイミングは読めてもその戦闘力を真っ向から叩きつけられるのである。 そもそも直接戦闘を余り重視されていない彼にとっては、頭の痛い問題である。 もうすぐにでもアギトの記憶中枢へのハッキングが終わるというのに、なんということだ。 自己防衛は許されているため応戦はできるが、それでもハッキングが使えないというのは致命的だ。

――だが、引くことは許されない。 

 道具は道具としての最低限の機能を全うしなければならない。 それが存在意義に直結することであるが故。

「ヴィータ、気をつけろ!! そいつはデバイスをハッキングしてくる!! アギトが今、それでやられてるんだ!!」

「デバイスをハッキング? そんな阿呆なことしようとする奴はあの気味悪い奴だけ――」

 そこまで言って、ヴィータの手が止まる。 思考に奇妙なノイズが入ったのだ。 いつか、どこかでその”黄金の男”がそれを使って色々と作戦行動を取っていたという映像。 そして、彼女の最初の主にしてあの”優しげな主”の微笑みが頭を過ぎっていく。

(そういえば姉に甘えるのも好きだったけど、あいつアタシを妹扱いしてやがったっけなぁ)

 それは、もう遠い記憶だ。 思い出してはならない、禁断の記憶の欠片だった。 だからこそ、それを検知したシステムがそれを強引に排除する。 ただの”道具”に記憶などいらない。 人間らしい感情など必要ない。 全ては――。



――守護騎士システムエラー発生。

  バグプログラム強制遮断。

  以降守護騎士ヴィータ、システム再起動までは類似情報の閲覧を原則禁止。

  思考プログラム、ノイズ除去終了。 セーフモードでの演算再開。



――アブソリュート特製ウィルスステップNo349発症及び侵攻開始。

  以降、再起動まで次の人格再生プログラムの侵食ステップを最終段階へと進める。

  本体転生後の人格再生率八十五パーセントオーバーまで予定……ウィルス停止。

  引き続き人格再生と保護を目的に潜伏開始――。

  
  

「――あん?」

 一瞬のノイズ。 膨大な記憶の海に隠れたいつかの記憶。 それを今回の彼女が”取り戻しきる”前に再び思考が戻った。 首を軽く振るって違和感を確かめようとするが、彼女はそれがなんなのかを理解できない。 だから考えないことにした。 そんな”どうでも”よいことよりも今必要なのは目の前の”黒コート野郎”をぶちのめすことである。 最優先を間違えるつもりはなかった。

「なんにしても、ぶっ飛ばせば一緒だろうが!!」

 クライドの忠告を聞かずに、ヴィータがアイゼンで踊りかかる。 クライドのような俄仕込みの戦闘技術ではない。 ”本物”の戦士の技術がイーターを強襲した。

「ちっ!!」

 チェーンの演算が止まったことで、さらにリソースを取り戻したイーターが瞬時に右手にハンマーを生み出す。 魔力を擬似物質化させ、下位デバイスたる”グラーフアイゼン”を模したそれで迎撃を開始する。 叩きつけられる二つの鉄槌。 共に乗せられている術式はテートリヒ・シュラーク<痛烈な一撃>。 衝撃が衝撃を迎え撃つ。 その余波で、互いの身体が後方へ弾け飛んだ。

「んの野郎!! アイゼン、カートリッジロード!!」

「く、さすがにここまでの騎士の動きを模倣するのは厳しいか」

 吼えるヴィータと呻くイーター。 いっそ対照的なテンションの二人が、ハンマーをぶつけ合う。 機能を再現しているとはいえ、そのままぶつかって勝てるわけがない。 カートリッジシステムの恩恵を受けられるのはカートリッジを実際に使用できる人間だけだ。 イーターはそれを”理解”しているからこそ、”普通よりも多くの魔力”を注ぐことで対抗する。 基本的にイーターの戦術は相手から奪った魔法、デバイス能力とデバイスハッキングによるデバイスの無効化を用いての掌握戦闘だ。 本人はAAAからSランク程の魔法を行使できる程のスペックを持っているとはいえ、それだけ。 どれだけ最善な戦闘技術を用いても、”道具”が使用者の思考を越えることは難しい。 ”道具に徹するが故”に超えられないものがあるのであった。

 勿論、イーターがグラーフアイゼンを掌握できるのであればまた話は違うのだろうが、”味方”を裏切れないように組み込まれている味方識別機能のせいでそれをできない。 そういう”安全性”などといったところには臆病なほどに製作者はきっちりとしていた。

――そのせいで、イーターは不利を承知で戦うしかない。

 唸る鉄槌の軌跡。 小柄な体躯が回転するようにハンマーを操る。 一々見てから最善を選ぶ戦闘プログラムが悲鳴を上げている。 リソースを取り戻しつつあるとはいえ確実に存在する演算のタイムラグという致命的な隙をヴィータは見逃さない。 敵の演算を超える動きで次々と敵を翻弄し、自分のペースに持っていく。 もはや、イーターは受けるだけで精一杯という具合だ。

「すげぇ……アレが本物って奴かよ」

 唸る鉄槌が振るわれるたびに、どういうわけかイーターを次々と追い詰めていく。 あれほど自分がやられた相手をこうも簡単にあしらえるその技量に、クライドは戦慄を禁じえない。 あれが鉄槌の騎士の力なのだ。 では、彼らのリーダーである烈火の将はどれほどの力量を保持しているというのか。 人形如きをあれだけ余裕であしらっていたのだから、やはり彼女でも杖喰い<イーター>を圧倒できるだろう。 魔導師や、魔法騎士の可能性がそこには確かにあった。

 守護騎士の実力はそのポテンシャルもさることながら、戦闘技術と戦闘経験によって培われている。 それを破るにはそれをさらに超える魔力量か法外な戦闘技術、もしくは例外が必要であるというのは想像に難くない。 クライドとは絶望的に違うその差は、彼女たちが踏み越えてきた道程の凄絶さを物語っていたのだった。

「くそ、このままじゃあ邪魔になるな」

 アギトの側で肩の回復を待っていたクライドは、何かできることが無いかと模索する。 押している今、下手に援護することもあるまい。 邪魔にならないようにするのが無難だろう。 であれば、この領域から離脱することも考えなければならない。 アギトの身体を手に掴むと、クライドは逃げる体制だけは整える。

(……そういえば、敵のハッキングにも有効射程とかあるのか?)

 態々目の前に引っ張り出してきたということは、そういう限界があるということではないのか? だが、どれだけ逃げれば良いのか。 検討がつかない。

「うっらぁぁぁぁ!!」

 だが、そんなことは必要でも無いのかもしれない。 イーターを圧倒するヴィータ。 その鉄槌がついにイーターを捉えたのだ。 顔面から痛烈なハンマーの洗礼を受けたイーター。 その頭部がまるで殴られたスイカのように吹き飛んだ。 もんどりうって倒れ、首から上が魔力の霧となって還元されていく。 あれではもう、戦えまい。

「へっ、大したことねぇじゃねぇかよ」

「うぉ、さすがヴィータ」 

 ボコボコにやられたクライドには、その様が何やらまぶしく見えた。 なんてことはない、見た目お子様の彼女にできて何故自分にはできないのかと本気で思ってしまったのだ。 男の子のプライドという奴である。

「……うう、お、終わったのかよぉ?」

「おお、アギト!? 無事か? なんか変なことされてないだろうな!!」

 クライドの手の中にいた小悪魔が、のそのそと起き上がってくる。 かなりの負荷をかけられたらしく、その顔は疲れ切っていた。

「自己診断モード起動。 不具合……一応無いっぽいけど、あの変質者!! アタシの中滅茶苦茶にのぞきまくりやがって!! こちとら、オーバーヒート寸前だぞ!!」 

 憤慨するアギトの様子に、どうやら大事無いらしいことを見て安堵したクライドはこちらにやってくるヴィータを見て、礼を言う。 さすがに、打つ手が無かっただけにこの援軍は頼もしい。

「サンキューヴィータ。 正直、手も足も出なかったから助かった。 帰りにマスクドバーガー食い放題を約束するぜ」

「お、約束だぞクライド!! やめてくれっていっても食ってやるからな、覚悟しとけよ」

 アイゼンを担ぐようにしながら今にもはしゃぎだしそうなヴィータ。 その様子を微笑ましく思う反面、これで終りかと思うとクライドはドッと身体から力が抜けそうになった。 だが、そうはならなかった。 そうなる前にクライドの顔が強張る。 視線の先にいるのは、イーターだ。 首から上が無い状態で、ゆっくりと立ち上がりヴィータに向かってシュワルベフリーゲンを叩き込もうとしている。

「ヴィータ!!」

 咄嗟にクライドがヴィータに飛びつき、床を転がるようにしながら射線から逃れる。 間一髪、背後から強襲しようとしていたシュワルベフリーゲンの鉄球が背後の強化ガラスを突き破って虚空へと消えていく。

「野郎、まだ生きてやがるのか!!」

 まるでデュラハン<首無し騎士>のようにどっしりと構えるイーター。 その頭部に魔力が集っていくかと思えば、すぐに自身の頭を復元していく。 通常のリビングデッドとは明らかに違う。 彼らは魔力を対消滅させられればそれで終りだが、彼は一部分でも残っていたら再生できるようだった。

「ふん、この程度で俺が死ぬものかよ」
 
 腹立たしそうな表情でそういうと、イーターが構える。 クライドはヴィータから飛びのくと、アギトと合流する。 再びハッキングされることを警戒しているのだ。 だが、何故かそれをイーターがすることは無かった。

『……クライド、とりあえずそのちびっこいのと一緒にお前はもうここを出てけ。 アタシがとりあえず相手してやるよ』

『援護は?』

『ヒヨっ子の援護なんていらねー。 それより、シャマルたちが下でがんばってるはずだ。 可能ならそっちの手助けをしてやれよ。 一人はアタシが潰してるし、シャマルが言うには敵対してる奴はもう後こいつを含めたら四人だとよ』

『四人? ということは、二人倒したのか……』

 状況の移り変わりを記憶すると、クライドは状況を確認していく。

『だけど気をつけろよ。 周りは傀儡兵やら変な人形やら砲台で一杯だ。 とりあえず、外に出て様子を見てから逃げ切れると思ったらいけ。 無理なら戻って来い。 そんときゃアタシがなんとかしてやる』

『すまん、任せるヴィータ』

 念話に頷くと、クライドはアギトを掴み杖喰い<イーター>がついさっき開けた穴へと飛び込んでいく。

「ふん、主を逃がすか。 殊勝な心がけだな」

「てめー如きアタシ一人で十分さ。 さぁー、続きをやろうぜ死にぞこない。 二度と再生できないように粉々にぶっとばしてやる!!」

 威勢良く声を張り上げると、ヴィータは杖喰い<イーター>に向かって再びアイゼンを振り上げた。












 展望タワーから飛び降りながら、クライドは飛翔魔法を展開する。 重力の熱烈な抱擁をそれでやんわりと断ると、ツールボックスからブレイドとアーカイバを取り出す。 どういうわけか、杖喰い<イーター>はハッキングをしてこない。 その事実を不審に思いながらも、一番分かりやすい理由を察して歯噛みした。

(仕掛けてこないってことはもうあの野郎は目的を達成したってことかよ。 しかもあんな簡単に見逃すなんて俺たちはもうどうでも良いってことなんだろうな)

 この場合、アギト自身に変なことがされていないというのならそれで良い。 それだけが唯一の救いだ。 だが、このままで良いというわけではない。 とっととここを突破するのが最善だとは理解している。 だが、心の中にはあの野郎に一泡吹かせてやりたいという感情が確かにある。 勿論、それができるというのなら、やる。 躊躇する理由が無い。 だが、その力が悲しいかな”クライド自身”にはない。

 単純な力比べをさせられれば、クライドの魔法では到底たりないのだ。 破壊力が足りなさすぎるし、アーカイバを封じられれば切り札さえ使えない。 それが今のクライドの限界だった。

(くそ、認めるしかないな。 今の俺じゃあ確かにあの野郎に手も足もでない) 

 想定外も甚だしい。 イレギュラーもいいところだ。 というか、存在自体が反則である。 クライドが所持している夜天の書にも匹敵する危険度であろう。 あんなロストロギアが管理局に狙われず、こうして徘徊していること自体がそもそもあってはならないことだというのに。

「アギト、ユニゾンいけるか?」

「おう。 あの程度でどうにかされるほどアタシは柔じゃねーよ」

 再び融合し、地力を底上げする。 背面の炎の翼をはためかせながらクライドは周囲を確認した。 敵からの攻撃は無い。 だが、デバイスやアギトからの感応情報から得たデータを見てクライドは唖然とする。 馬鹿げた数のマリオネットや砲台、傀儡兵の一団が周辺を警備しているのだ。 見下ろす視界の中にも、ふざけた数が確かに映っている。 センサーの異常では断じてない。 間違いなく数百単位で囲まれている。

「おいおい、なんだよこの馬鹿げた数は?」

『質量兵器のバーゲンセールだなぁ』

 選り取りみどりの質量兵器。 砲撃音と銃声がひっきりなしに鳴り響き、夕闇に轟く。 なんだこれは? 二人して呆然としながら、思案する。 この数の敵から砲撃を受けたらたまったものではない。 戦うなど論外だ。 だが、簡単に逃げられるものでもない。 まだこちらに気がついていないようだが、気ずかれれば厄介なことになりそうだ。 いや、だが――。

「展望タワーが背中にあるなら攻撃はできないか? それに……攻撃が一箇所に集中している?」

 砲台の弾幕がよく見れば一箇所に集中している。 彼らにとっての敵。 つまりは、クライドにとっての味方が向こうにいて、砲撃を受けているということなのだろう。 ならば、助けるためにも一番効果的な手段をとらなければならない。 ミーアやキールが襲われているとするなら尚更だ。

「砲台は……まあ、大丈夫だろう。 問題は傀儡兵と……マリオネットか。 そういえば、マリオネットは操っている召喚師をどうにかしたら人形は止まるとかいってたっけ……砲台も止まる……か?」

 相手が召喚師であるというのなら、近距離戦闘を仕掛ければ倒せないことはあるまい。 勿論、それは一対一に持ち込んでの話だが。

「アギト、ここから召喚師だけを探せるか?」

『この数の中からかよ? 近くにいるなら探せないことはないけどよぉ』

「頼む、アーカイバやブレイドのセンサーじゃあ無理だ」

『了解』

 とりあえず見つかるわけにもいかない。 ミラージュハイドを唱えて姿を消すと、クライドはそのままさらに考える。 ヴィータが負けるとは思えない。 だが、容易く勝てるとも思えないのだ。 相性という奴がある。 ヴィータの打撃力は脅威だ。 けれどそれでイーターの身体を復元不可能なまでに吹き飛ばすことはできるだろうか? どうしても彼女の戦闘スタイルからは想像できない。 また、ギガントシュラークを質量操作し、イーターを押しつぶせるほどの大きさに拡大して攻撃するとしても、それは取り回しが悪すぎて恐らくは当たるまい。 ヴィータはバインド系の魔法は持ってなかったので、当てるには少々骨がいるはずだ。 対人用のそれを使うという手もあるだろうが、全部吹き飛ばすのは少し無理があるかもしれない。

「支援系のシャマルは論外、ザフィーラも串刺しかなぎ払いしか無理だ。 となるとやはり――」

 烈火の将<シグナム>しかいない。 彼女がいれば、どうにかできるかもしれない。

『シグナム、今どこにいる?』

『主クライド、無事だったか!?』 

『ヴィータに助けられた。 今リビングデッドを生み出してる奴とヴィータが展望タワーの最上階で戦ってるところだ。 俺は外に出て様子を伺ってる。 そっちは?』

『こちらも交戦中だ。 楽には勝てそうに無い。 だが、そこは確かに展望タワーなのだな? だとしたらかなり私は近くに来ている。 もう見えているからな』

『敵から砲撃されていないのか?』

『敵と交戦中だからな。 味方が邪魔で砲撃できないのだろう。 いや、”これは”そういうことか!?』

『どうした? 何かあったのか?』

『いや、問題は無い。 恐らくはしばらくすればそちらからも目視できる範囲まで行けるだろう』

『そうか……となるといけるか。 わかった。 少ししたらとびっきりの援軍を送る。 それまではそのまま敵を抑えてくれ。 勿論、倒してしまっても構わない』

『ふっ承知した』

 シグナムとの念話を終えると、次はクライドはシャマルに念話を送る。

『シャマル、そっちは大丈夫か?』

『クライドさん!? 良かった、無事だったんですね?』

『ヴィータのおかげだ。 そっちの状況は?』

『ミリアとかいう魔導師の人と交戦中よ。 一応私とキールさんとミーアちゃんでなんとか持たせてるけど……持たせるだけで精一杯』

『ザフィーラは? あいつも交戦中なのか?』

『ザフィーラはヴィータちゃんの突入の陽動で今敵の大部分を受け持ってくれているわ』

『な、なんだって!? だ、大丈夫なのかよ!?』

 上から見えるだけでもかなりの数だが、その砲撃の大部分がザフィーラを狙っているという言葉には、さしものクライドも驚愕した。 ザフィーラの防御力が一番高いとはいえ、突破力はそれほどではないはずだ。 それでも、そんな危険を押してまであの砲撃に立ち向っているのは、クライド<主>を助けるためである。 そのことが容易に理解できるために、その忠義にはクライドの心が嫌が応でも揺さぶられた。 クライドはあの砲撃に躊躇無く飛び込むなんて無謀なことは恐らくはできないだろう。 そう思うと無償に情けさに打ちのめされてしまう。 無意味に奥歯をかみ締め、ブレイドを握る腕を震わせる。

(くそ、助けられてばっかりじゃねーかよクライド・エイヤル!!)

 その壮絶な忠義には報いなければならない。 でなければ、クライドは自分が許せなくなりそうだった。 自分が生き残り、尚且つ彼らのために何かをしなければならない。 どちらが欠けても駄目だ。 それでは忠誠に報いることができない。

『ええ。 ザフィーラも引き際は心得ていますから。 でも、貴方が無事逃げられるのならこれで引けるはずです』

『……分かった。 ザフィーラにはこっちで連絡する。 っと、それと召喚師の座標分かるか? 今アギトに探してもらってるんだが、少し敵が多すぎて探すのに時間が掛かってる。 ヴィータの近くとシグナムの近くにいる奴は除外してくれ。 多分それ以外でフリーの奴が俺たちの近くにいるはずなんだ。 敵の布陣からみても多分、一望できる位置にいると思うんだが……』

『単独の魔導師ということですね? ……展望タワーの北側、ホテルの屋上に一人フリーの魔導師がいます』

 さすがシャマルである。 彼女の持つデバイス『クラールヴィント』からは探知圏内ならば逃れられないと聞いていたが、こうも容易く見つけられるとは。 彼女の戦闘支援能力はかなり凄いらしい。 目立たない部分ではあるが、こういった部分で役割分担がきっちりとできるところが守護騎士四人の強みであった。

『北側だな……わかった。 すまないけどもうしばらく持ちこたえてくれ。 こっちで流れをかえる』

『わかりました、でも無茶はしないでくださいねクライドさん?』

『ああ、気をつけるよ。 けど、少しだけ見逃してくれ』

『わかりました……では、御武運を』

「アギト、北側のホテルで絞り込んでくれ。 そこら辺に隠れてるらしい」

『おう、北側だな?』

 召喚師をどうにかする。 それで周囲の砲撃が黙るのならば、十分だ。 十分に戦局をひっくり返せるだろう。 

『ザフィーラ、そっちは大丈夫か?』

『む、主か? 無事にヴィータと合流できたのか?』

『ああ。 今はちょっと分かれてるけど助けられた。 ありがとな、陽動してくれてたんだって? そのおかげで色々と助かってる。 そっちはまだいけるか?』

『ふっ、この程度は苦境にもならんよ。 後一時間は戦えるさ』

 疲れなど感じさせない様子でそういうザフィーラ。 彼が大丈夫というのなら大丈夫だろう。 彼は客観的に思考しているし、常に冷静に物事を捉えている。 一番長く側にいるだけに、嘘を言わない彼の正確は良く知っていた。

『そうか、ならもう少しそのままで頼む。 マリオネット共を黙らせるから、その後シャマルの援護をしてくれ。 いい加減終りにしたい。 頼むぜザフィーラ』

『――ああ、任せろ主』

「ふぅ……さすが守護騎士だな。 ここ一番の頼もしさが全然違う」

 頼もしさを覚えながら、クライドは深呼吸。 やると言ったからにはやるつもりだった。 やれないことはない。 相手が”人間”を模した死人<リビングデッド>ならば人間のカテゴリーに入るのだ。 それならば、辛うじて勝てる。 ましてや、相手が前に出て戦えないのならば尚更だ。 できることは自分でしてみせる。 それができなくて、何が夜天の王なのか。 大層な称号を継承させられているのだ。 それぐらいはやってみせる。

『――みつけた!! 左から三つ目のホテルだ!! 傀儡兵の後ろで道化師っぽい奴が一人いる』

「よっしゃ、なら反撃開始だ!! いいようにされた分、百倍にして返すぞアギト!!」

『おう!!』

 気合十分、アギトが見つけた位置に視線を向ける。 傀儡兵の後ろで、確かに一人だけ人間らしい人影が見えた。 人形<マリオネット>では断じてない。 あんな鋼鉄の木偶人形などとは違うその道化師は、杖を振りながら次々と魔法を詠唱している。 どうやらザフィーラに気が向きすぎているようだ。 さすがに、あれだけの物量を投入しても倒せていないせいでムキになっているのかもしれない。

 クライドはその場で転移魔法<トランスポーター>を展開。 まだ次元転移等の高等魔法は使えないが、この程度の短距離であれば総合Cの面目躍如といったところか。 アギトの補助を得て使用するため、その転送精度は破格であった。 足元に展開するミッド式の魔法陣。 青いそれが煌いた瞬間、クライドの身体を浮遊感が襲う。

 次の瞬間、クライドは一瞬にして目的の場所に現れる。 転移を察知して後ろを振り返った道化師が、驚愕の表情を浮かべたときにはもう勝負はついていた。 攻撃の瞬間、ミラージュハイドを解除。 切り札を切る。

「き、貴様!?」

「アーカイバ!!」

 装着されるグローブ型デバイス。 刀身の無いブレイドを振り下ろすようにしながら一瞬で踏み込んで距離を詰めるクライド。 次の瞬間、Sランクのシールドさえ切り裂く見えない刃が道化師をフィールド越しに切り裂き、唐竹に両断する。 魔力の霧となって消えていく道化師。 それを確認してすぐに後ろに跳躍。 クライドに反応しようとする傀儡兵の砲撃射線から逃げつつ、ミラージュハイドを唱え直してすぐに夕闇へ溶ける様に消えていく。

 振り返った傀儡兵は、一瞬にして消えたクライドを追う術は無かった。 滅茶苦茶に撃って燻りだすことは可能だっただろうが、クライドが逃げた方向には展望タワーがある。 さすがに狙うようなことはせずに、再び当初の命令どおり周辺の敵に備えることにした。 追撃できないのはその権限が”道具”には無いからである。 明確な意思を持てるものと持てないものとの差がでていた。

『へへ、案外あの傀儡兵って奴も鈍いんだなぁ』

『ミラージュハイドの威力って奴だ。 連中のセンサーの精度が低かったんだろうよ』

 なんにしても、これで良い。 不意打ちとはいえ倒せたのならば、十分な戦果だ。 そして、これ以上リスクを背負う必要はない。 地味に、安全に立ち回るとしよう。

「よし、次はシグナムの方へ行くぜ。 一対一なら敵のリビングデッドも手出しはできんだろう。 してきたら速攻で逃げるぞ」

『乱入するのか?』

「最悪な。 多分、”俺の援護”は必要無いとは思うが……」

『アタシの出番か?』

「そういうこと。 隙を見てユニゾンしてもらう。 それでこの戦い”詰み”だ」

『おう!!』

 今までの鬱憤を晴らすべく、剣精が闘志を燃やす。 その様に苦笑しながら、クライドは転移魔法を準備する。 すでに、アギトのセンサーがシグナムの接近を感知している。 ならば、その付近に飛べばなんとかなるだろう。 召喚師を潰したことで、人形と砲台は動かないだろう。 そして傀儡兵は”リビングデッド”が近くにいるから撃たないとなれば、少なくとも脅威ではないはずだ。 杖喰い<イーター>について解せないことが少しあったが、現状ではそれを確認する術はない。 クライドは不安を押し殺すようにしながら転移魔法を唱えた。
























 炎刃と剛剣が幾度と無く剣を交え、そのたびに両者間の空間が衝撃で火花を散らした。 なんということは無い。 限りなく互いの力が拮抗しているというだけの話だ。 剣術、魔力、戦闘経験の三位一体を武器に戦うシグナムと、膂力、重さ、魔力の三位一体を武器に相対するグライアス。 高度な剣士の剣の応酬と、無骨な戦士の剣戟。 互いの剣から伝わってくる衝撃は、もはや想像を絶する領域へと高められている。

「はぁぁぁ!!」

「ふん!!」

 気合と咆哮が剣気を紡ぎ、殺気が絶えず両者の危機感を攻め立てる。 空中で乱舞する剣。 見た目にはグライアスが押していたが、シグナムはその剛の剣を受け流すようにしながら戦っているので、実際はそうではない。 なぎ払われるようにして繰り出される漆黒の刃がある。 上半身の膂力だけで繰り出されたそれを、身体の捻転とベルカの騎士独特の体捌きによって剣術に繋げて向かい撃つ。

 古来より脈々と作り上げられた正当な剣術が、我流の剣を相殺する。 そのまま鍔迫り合いになりそうなところだが、それは相手の膂力を考えれば無意味だ。 そのまま次の動作に入るように全身を使いながら、シグナムの身体が空中で流れていく。

 決して余裕があるというわけではない。 ここまでの間、あの法外な威力の剣を受け続けるのは至難の業だ。 シグナム<剣の騎士>だからこそ成しえられる妙技でさえある。 展望タワーに近づくにつれ、徐々に相手の剣に鋭さが上がってきている。 どうやら、お互いに正念場らしい。

 とはいえ、互いにその心情は相反してはいない。 それが分かるだけに、シグナムとしては奇妙なやり辛さを感じる。 殺気も剣気も本物だ。 だが、絶望的なまでに何かが違う。 理由はなんとなく分かっていた。

(試されているのだ、私は。 いや、私たちがか?)

 舐められたものだと思う。 守護騎士として戦う中で、かなりの数の魔導師と戦ってきた。 全ては夜天の書を完成させるためであり、そのためならばありとあらゆることをやってのけてきた。 管理局員をなぎ倒して来たし、蒐集のために必要な魔力を持つ巨大生物とさえ戦ってきたのだ。 そんな自分たちが、今試されている。 何が目的なのかは知らないが、ある種の期待さえ混じった剣の感触には、そんなものを感じてならない。 だからこそ、手加減はしてこないのだが、それさえも鬱陶しく感じる。

 相手に期待されながら戦うというのは、酷くやり辛い。 互いの技を競い合うために戦うというのならば別だが、自らを凌駕し、それ以外にさえ届くかというように力を計られているというのは存外に屈辱だ。

――つまりは、それはシグナムでさえ届くかどうか考えているということに他ならないからだ。

 恐らくはもっと明確なものが欲しいのだろう。 欲張りなことだ。 ただ剣を交えるだけでは足りないらしい。 次を出せと、上を行ってみせろと、そんな風にせっつかれている感がある。 無理やり押し上げられるようなその感覚は、あまりに気持ちの良いものではない。 矜持を酷く刺激される。 舐めるなと、静かに滾っていく感情がどこかにある。 余分な思考ではあったが、それでもまるで自分の剣を疑われているようで気にいらないのだ。

 カートリッジをロードする。 爆発的に威力を底上げされた剣が炎に彩られながら疾駆した。 大上段からの振り下ろし。 あの大剣では受けるしかできまい。

 瞬時に剣を掲げるようにしながら防御に出るグライアス。 辛うじて受け止めたその一撃の鋭さは、大きく彼の剣を凌駕している。 それぐらいは分かっていた。 眼前の鋭い女剣士の一撃にヒヤリとしたものを感じながら、しかし引くことは無い。 常識を超えて反応する体がそれを力ずくで押し上げるようにして弾き飛ばす。


 続く斬撃は下からきた。 空中という人間には不自然な体勢から神速の斬撃。 弾かれた勢いさえ巧みに利用し、遠心力を加えて振り上げられるそれが漆黒の大剣をかち上げる。 剣術の差がそこには確かに存在していた。 次の斬撃、次の次の斬撃、剣を休み無く繰り出してくるそれには、まるでいつかの友人のような”何か”があった。 酷く懐かしいと思う。

(さて、そろそろじゃな)

 もう既にかなり近くまで来ている。 誤魔化しも限界だろうか。 我ながら茶番だと彼は思う。 だが、生物が皆最後には死ぬように、”死人”も黄泉路へと帰るべきである。 死者が生者の界隈で扱き使われるような今が異常なのだ。 それに、”連中”への意趣返しとしてもこれが最初で最後だろう。 ログを確認されればそこまでだ。 自身の消去<デリート>は確実だろう。 だからこそ、の最初で最後の足掻きであった。

(道具は求められた結果を残せればそれで良い? はっ、その認識は間違いだイーター。 ”道具”はただの道具だ。 結果など残す必要は無い。 結果を残すも残さないもそれを成そうとした者が負うべき責任であって、道具はいつもいつも使用者に振り回されるだけだ。 それが真理というものじゃ。 それに第一、前提が間違っている。 ”我々”は誰一人として”道具”ではない)

 出会ってきた数々の死人たち。 生かされ、使い潰され、消されていった彼らを思い出す。 皆が皆、道具ではなかった。 ただの偽者であったが、誰一人として”そのこと”を認めた人間はいない。 従順に見せる者もいた。 媚びへつらう者もいたし、目に見えて反抗するものもいた。 だが、決して許してはならない一線を皆が持っていた。 その時点で初めから全て間違っている。

――まあ、それを”道具”が理解することは一生無いだろうが。  


 剣戟の隙間に、漆黒の大剣を力ずくで通すようにして、振り下ろした。 重厚なその重みをシグナムが後方に下がるように受け流す。 そうしてまた、振り出しに戻る。 距離は十数メートル。 魔導師には一瞬の距離。 そんな間合いで、互いに攻め手を探り合う。 仕切り直し。 シグナムはカートリッジを装填し、グライアスは肩に剣を担ぐようにしながら必殺の構えを取る。

「……十分だな」

 呟くように、グライアスは言う。 状況はほぼ理想的な流れを得ている。 勘の良い目の前の騎士はある程度察しているらしい。 展望タワーへの道を遮るようにしながら動こうとして、不意にシグナムの後方に青い輝きを見た。 展開される魔法陣。 その中から現れるのは、自身が生贄に差し出した少年とユニゾンデバイスだ。 彼らがことを成したというわけではない。 だとしたら彼は存在できない。 一時的にその魔手から逃れたということか。 二対一だが、別段気にするものでもない。 これで、詰みだ。 明確に反抗できる存在<強者>が何の枷も無く敵の親玉の存在を知った今、全ての状況はクリアされた。 後は、彼女らが自分を圧倒できるかどうかだ。


――思えば、少し長い戦いだった。 


 偽者に過ぎない癖に一年以上は顕現していた。 犯罪の片棒を担がされ、使い潰される。 そんな馬鹿げたことがまかり通っていた。 あのようなロストロギアが存在するということ自体に危機感を感じずにはいられない。 また、それを使っている連中も恐らくは頭の螺子が一本も二本もとんでいるに違いない。 

(まあ、これでチェーンも俺もお払い箱というわけだが……できればこれで綺麗さっぱり終りにしたいものじゃな)

 二度と呼ばれたいとは思わない。 ならば、どうするべきなのかは決まっている。 二度と呼べなくすれば良い。 ただ、それだけのこと。 だが、それだけのことを成すために少々手間取りすぎた気もする。

 と、合流した二人と一機が分かれた。 少年はその辺りのビルに降下し、一機と一人が再び彼の前に立ちふさがる。 いや、もはや二人で一人という有様だった。 煌く業火の如き翼が四枚ばかりその背から顕現し、女剣士の騎士甲冑の色が青に変わった。 それだけではない。 今までとは比べ物にならない程の魔力と剣気を紡いで目の前にいる。 グライアス自身、ユニゾンデバイスを使用したことはないが、それにどれほどの威力があるのかをその目で初めて見た。 完全に合格だ。 これでけちをつける理由は空の彼方へと吹き飛んだ。 知らず知らずのうちに浮かんだ笑みが、何よりも答えだった。

「……少しばかり待たせたな。 これで、終りにしよう」

「何、気にすることはない。 ”ようやく”終りが見えてきただけだ」

 互いに、剣を構え直し次の瞬間にはお互いの間合いへと高速で距離をつめていた。 会話はもう必要なかった。

『行くぜ、うまくやれよシグナム!! 烈火刃!!』

 剣精の炎がレヴァンティンに炎を付ける。 烈火の如きその炎は、シグナムの魔力変換資質と絡み合って莫大な量の熱量を生み出していく。 振りかぶられる魔剣の軌跡が熱量で歪んで見える。

 それに対抗するは断頭台<ギロチン>の刃だ。 破格の重量と魔力、膂力を背景にした必殺の一撃が真正面から魔剣に挑んだ。

『「紫電一閃!!」』

「つぁぁぁぁぁ!!!!」

 共に放つは必殺の一撃。 全身のバネを膂力を、魔力を叩きつける愚直なまでの一点突破。 二人の戦闘スタイルはそもそもが似ている。 近づいて斬ることを前提に戦術をくみ上げている以上、後はそこに柔軟性が有るか無いかの差しか無い。

 衝突の余波で大気が揺れた。 熱量を多分に含んだ衝撃波が周辺に伝播し、まるで砲弾が炸裂したような音が広がる。 衝撃に軋む互いの体。 だがグライアスの剛剣の方が”まだ”強い。

―― 一撃目はグライアスが僅かに押した。

 弾かれた体勢から、そのままに距離を取るシグナム。 むしろ、ここからが本番だ。 カートリッジを使わなかったのは”アギト”との融合の感触を確かめるためだったが、有る意味で彼女自身の予想を大きく上回っていた。 その事実に驚きながらもここまで自分の動きに合わせられる剣精にはとてつもない満足感を得ていた。 よくは分からないが、これならば今までよりも先に行ける気がしてくる。

『次、炎熱加速!!』

「レヴァンティン、カートリッジロード!!」

 体勢を整え、距離を詰めようとしてくるグライアスに向かって烈火の二人が剣を振るう。 二人の意思を汲み取ったレヴァンティンが、カートリッジをロードしながら形状変化。 剣の形態<シュベルトフォルム>から鞭状連結刃<シュランゲフォルム>へと変形しながら砲撃級の一撃となって疾駆する。

「『飛竜一閃!!』」

 それは、中距離攻撃用の魔力斬撃だった。 だが、グライアスは臆することなくそれに向かって剣を振るう。 一撃必殺の剣はその手にあり、それを超えるものでなければ意味が無い。 高速で飛来するレヴァンティンの切っ先を気合でねじ伏せながら相殺しようとする。 だが、余りの威力に今度は”断頭台”が後方に弾き飛ばされた。 今までとは別格のその破壊力には、グライアスは驚嘆するしかない。

―― 二撃目は仕返しとばかりに烈火が押した。

 正直な話、ここまでのパワーゲームの経験はグライアスにはほとんど無い。 真正面から自分と戦おうとする者自体が少ない。 そもそも、ミッドチルダの魔導師にとっては汎用性こそが最大の武器なのだ。 バインドを引きちぎり、シールドやフィールドを叩き割り、砲撃をなぎ払って敵をバリアジャケットごと叩き斬るのがグライアスのセオリーだ。 真正面から戦ってくるような小気味良い相手と相対することは滅多に無い。 ましてや、今は滅びた古き騎士と戦った経験など片手で数えるほどしかない。 ”これが”本物の騎士の姿かと驚愕するより他なかった。 体勢を整え、再び担ぐようにして剣を構える。 その心の中にあるのは安堵だった。 だが、まだ終わってはいない。 気を引き締めて次へと備える。 これほどの魔法をそうそう連打することはできまい。 そう思って剣士を見据えたとき、予想を軽く裏切ってくれた騎士の姿に戦慄した。

――三度目にして烈火の秘奥がその片鱗を曝け出した。

 シグナムは距離を詰めるようなことはせずにそのままの位置で剣を持たぬ左手を身体の前に交差させていく。 その手の先に灯るのは、やはり炎。 全てを灰燼に化す竜の顎<アギト>がゆっくりと、しかし確実にその口を開いていた。 

『これを止められるものなら止めて見ろ!! 剣閃烈火!!』

「火竜――」

 収束する膨大な熱量。 左腕の手の甲に剣の形で現れたその灼熱の塊こそ、シグナムだけでは決して使うことができない烈火の秘奥だ。 剣精アギトにしかと刻まれた専属騎士だけに与えられる空間殲滅魔法。 剣の騎士と剣精の併せ技たるそれは、まさしく彼の騎士の最強の奥義に限りなく近いものに他ならない。

「『―― 一閃!!』」

 振り切られる左腕。 その先端に集っていた灼熱がまるでレーザービームのように前方の空間に放射される。 その瞬間、グライアスをは確かに見た。 馬鹿げた出力の炎熱魔法が火竜の顎<アギト>から放たれるのを。 それは剣で両断するなど不可能な一撃だった。 前方の空間全てを焼き払うようにして放たれたそれを止めることなど、同規模の範囲攻撃系魔法の類でもなければできないだろう。 そして、極めつけはその威力だ。 一瞬で全てを焼き尽くす竜の吐息を防ぐ方法など、限りなく少ないのではないだろうか? 少なくともよほど強固な防御結界を張らなければ耐えられまい。

(――ふっ、文句のつけようが無いな) 

 自らの身体を消し飛ばされながら、グライアスは笑う。 その顔にあるのは、期待通りに力を示した騎士への賛辞だった。 恐らくはそれを彼女らが見ることはないだろうが、それでもグライアスは痛快に笑って消えて逝った。


「……凄いものだな」

 自らの所業ではあったが、二人して全力で放った火竜一閃の一撃にはさすがにシグナム自身呆れていた。 剣とは基本的に対人戦の武器だ。 だが、そんなことが馬鹿らしくなるほどの破壊力を秘めている。 射線上にあったホテルはおろか、”クライド”の頼みで巻き込んだ展望タワーの最上階が見事に消し飛んでいる。 あれほど優美に立っていたデスティニーランドの一角が軒並み破壊されているのだ。 さすがに、思うところがあった。 それに、アギトとの融合の感触がシグナムの中で引っかかっていたというのもある。 どこか暖かく感じるそれがなんなのかを、シグナムは少し考えた。 その瞬間、もはや思い出すことも無いはずだった旧い記憶がフラッシュバックした。 

 それは、いつかどこかで兄がいないうちに彼女と共にそれをしたときの記憶だった。 剣の騎士にとって、兄は別格の存在だった。 先代さえ超えるほどの剣の才と、騎士の鑑とも言うべき模範的な姿を地で行く兄は、夜天では最強の騎士となるべくして生まれたと言われるほどに素晴らしかった。
 だが、彼女は知っている。 その真面目さ故にずっと一人で苦しんでいたということを。 騎士と個人のあり方の摩擦に悩みながらも、それでも結局最後まで騎士として戦った騎士の中の騎士。 少し年が離れていたから、子供の頃やよくその姿を真似てチャンバラをして遊んだのは懐かしい思い出だ。

(そうだ、あれは……兄が留守のときだったか。 事務仕事をアギトに押し付けて逃げた兄の留守中に、こっそり二人して魔法の練習をしていたときだな)

 最強の騎士の最高の剣精。 まるで、自分も兄のような立派な騎士になったような気がしてその時は少しはしゃいでいた気がする。 懐かしい、本当に暖かい夢のような記憶の欠片だった。 それを感じた次の瞬間、その先を取り戻す前にシグナムの思考にノイズが走り、やがてその記憶は再び情報の海に埋没していった。


――守護騎士システムエラー発生。

  バグプログラム強制遮断。

  以降守護騎士シグナム、システム再起動までは類似情報の閲覧をゲゲゲ原則禁止。

  思考プログラム、ノノノノノイズ除去終了。 セーフモードでの演算再開。



――アブソリュート特製ウィルスステップNo350発症及び侵攻開始。

  以降、再起動まで次の人格再生プログラムの侵食ステップを最終段階へと進める。

  本体転生後の人格再生率八十八パーセントオーバーまで予定……ウィルス停止。

  また、予定外因子によるステップの進行速度上昇に伴うプログラムの修正開始……終了。 

  今回の予定完了まで後一名。 

  引き続き人格再生と保護を目的に潜伏開始――。



「……む?」

 何か、非常に懐かしいものを思い出していた気がしたのだが、シグナムはそれが思い出せないことに首を傾げた。 が、都合よく解釈させたシステムがシグナムの注意を別のものに向けさせた。

「……アギト? どうかしたのか?」

『う、うるせぇ!! なんでもねぇよ』

 融合状態でシグナムが幻視した記憶が、彼女の中のメモリに焼きついて消せない記憶を刺激していたのだった。 涙を流しながら何かに耐えるアギトの様子にシグナムは少しばかり困ったが、それでも優しげ一言告げた。

「……そうか。 だが、何故だろうなアギト。 お前とのユニゾンは不思議と心が温かい。 これからもよろしく頼む」

『うぅ……ぐす……ま、任せとけシグナム!! 今日からアンタがアタシのロード<主>だ!!』

 シグナムの中でゴシゴシと手の甲で涙を拭い去るとアギトは少し恥ずかしげにそういう。 その頬が少し赤いのは、その言葉が嬉しかったからに他ならないだろう。 二人はそのままクライドの所へと合流していく。 結界が生み出していた夕闇が、少しばかり晴れてきていた。 どうやら、先ほどの火竜一閃によって上手く敵の親玉も消し飛ばせたようだ。 主が何故”先ほどの魔法”のことを知っていたのかは知らないが、あの主がいつもいつも何かを知っているように動くのは今に始まったことではない。 上手くことが運んでいるうちはそれで問題は無いのだ。 それに、何か問題が出ても自分たちが薙ぎ払うだけだ。 剣の騎士は苦笑しながら、空を飛んだ。



 












「こんのボケ野郎!! 攻撃するから全力で防御しながら避けろっていったって、限度があるだろうがよ!! 後ちょっと逃げるのが遅れてたらアタシもそこいらの瓦礫の仲間入りだぞ!!」

「ちょ、ま、待てヴィータ。 話せば分かる!!」

 合流一番、ヴィータがクライドにアイゼンを振るった。 思わずしゃがみ込んだおかげで顔面すれすれを通りすぎたアイゼン。 さすがにあんな凶悪な魔法にまきこまれかけたとあってはヴィータの機嫌は物凄くやばかった。 ブンブンと振るわれるイーターのフィールドを容易くぶち抜いたその凶器には、さしものクライドも当たるわけにはいかない。

 だが、悲しいかなスキルが違いすぎた。 振るわれた三度目の鉄槌が容赦なくクライドのバリアジャケットを揺るがす。 さすがに手加減はしているようで、滅茶苦茶痛いだけで済んだのはご愛嬌だった。

「いつつ……」

「たく、今度からはもっと速く説明しとけよな。 幸い、敵も跡形も無く吹き飛んだみたいだからこの程度にしておいてやるけどよ。 帰り、忘れるなよ? それでチャラにしてやるよ」

「了解。 今日ばかりは守護騎士全員に美味いもん食わせる。 主の義務的な意味で」

 色々と心配をかけたということもあるし、なんとか全員無事に生きていられてホッとしていることもある。 その程度の労いができずに何が主か。

「お兄さん、お疲れさまー」

「やぁ、お互い無事で何よりだよ」

「クライドさん、無事でよかったです」

「お疲れ様。 まぁ、なんだ。 いつもはデスティニーランドにはない、抜き打ちで実に危険なイベントだったな?」

 嫌なイベントだと、全員が全員ともクライドの冗談めかした物言いに苦笑する。

「まあ、主が無事ならそれで良いさ」

「フォローサンキューザフィーラ。 さて、色々と問題も残ってるし一番は後始末だな。 ……すぐに管理局員がやってきそうだ。 あの偽者の件も含めて面倒くさいことになりそうだよまったく」

 ホテル周辺はシグナムによって薙ぎ払われているし、正直どうすることもできない。 逃げるか知らん振りを決め込む以外に道は無い。 というより全部悪いのは犯罪組織である。 そういうことにしてしまおうというのが、満場一致の意見だった。

「とりあえず、アギトを狙った奴らのせいで閉じ込められて通りすがりのベルカの騎士に助けられた。 んで、助けてくれた剣とハンマーを振るう二人組みはそのまま厄介ごとは嫌だって帰っていったということでOK?」

「はーい♪ でも、お兄さん悪だね。 全部押し付ける気なんでしょう?」

「当然。 でないと、えらいことになるぞ? キールさんもそれでいいかな?」

「ああ、それで構わないよ。 事実、連中が介入してきたのが悪い……まあ、これは自業自得だろうね。 元々犯罪者だし、このさい全部彼らのせいで良いんじゃないかな」

 苦笑するキール。 彼自身も今回のことで色々とあったわけだが、苦笑で済まそうというところが大人である。 もっとも、個人的な意趣返しも多分に含まれてはいたが。

「とりあえず、守護騎士は全員待機モードへ移行だな。 その後でアリアが派遣してくれるはずの管理局員見つけて説明。 守護騎士の派遣の話は、一応話してた通りで決定。 こんなところかな?」

 一同を見渡し、全員が頷くのを確認するとクライドは軽く結界を張って外部を遮断すると守護騎士たちを待機モードへ移行させていく。 ベルカ式の三角形魔法陣を展開しながら消えていく四人の騎士たち。 それを確認し終えると結界を解除。 少しずつ封鎖結界から開放された人たちが出てくる雑踏の中にミーアたち三人と共に混ざっていく。 その後、アリアと一緒にやってきた本物のエリーシャ執務官と出会い、一堂は面食らうことになるのだがそれはまた余談である。

 説明には主にキールとクライドが行い、全部の責任を『古代の叡智』の責任にしてしまう。 

「ああ、通りすがりのベルカの騎士がばっさりと倒してくれた。 いなかったらさすがに俺たちやばかったかもしれない」

「ベルカの?」

「ああ、ベルカ式魔法だったねアレは。 多分、”ベルカの方”の騎士だったんだと僕も思う」

「剣とか振り回して悪人の人形をばったばったと倒して、かっこよかったよね、あの”男の人達”」

 涼しい顔で説明する男二人と、大仰な仕草で子供っぽく攻めるミーア。 何気に平気で嘘を突き通す気の三人に、アギトは冷や汗をかいた。

(こ、こいつら割と根に持つんだなぁ。 アタシも気をつけようっと)

 事情聴取はそこそこ長く続きそうだったが、それ以外にも執務官が紛れ込んでいたこともあり割りと早く開放された。 ミーアたちは一応アリアたちと一緒に念のため本局の宿舎まで帰ることになり、帰りは平和な時間を送れた。 クライドは勿論、そのまま街に繰り出して守護騎士たちを労うことにした。 何はともあれ、全員が無事だった。 そのことで皆がハメを外したのは言うまでも無い。


 ちなみに、全てが終わったときもう一人の”クライド”ことディーゼルは管理局系列の病院に移送されていた。 さすがにフィジカルヒールを使っていたとはいえ、ダメージが完全に消えていたというわけではない。 とりあえず、今日は安静にということで入院する羽目になっていた。 そんな彼の枕元には、綺麗なミッドチルダ語で書かれたメモがある。 何やら携帯の番号とメールアドレスが記載されていたが、それが誰の番号なのかはそれを貰ったディーゼルしか知らない。

「結局、連中の狙いはロストロギアだったということなのかな?」

 ベッドの上に寝転がるディーゼルは、簡単に聞いた事件報告について思いを馳せていた。 そのユニゾンデバイスの所持者たちは当分は本局で過ごすということなので、様子を見ることになっているがまた今度詳しい話を個人的に聞いてみたいと思っている。

「まあ、さすがにギリギリだったし、もうガンスリンガーとは会いたくないな」

 連日の模擬戦が無ければ、フレスタと合流する前にやられていたかもしれない。 それを考えると、ヴォルク提督の無茶苦茶な模擬戦にも少しばかり感謝する必要があった。 まあ、そのせいで仕事がさらに増えていくのはたまらないのだが。

 そのままゆっくりと目を閉じ、残業と戦闘で疲れた身体を癒すべく眠ることにする。 何はともあれ、今回の事件は終わったのだ。 今は休むべきである。 数分後、ベッドの上でぐっすりと眠る執務官の寝息が静かに室内に響いて消えた。






















 深夜、瓦礫の降り注ぐデスティニーランドの中央部にて、瓦礫の山の一角が突如として吹き飛んだ。 まるで爆弾でも爆発させたような音とともに、瓦礫が雨となって周辺へと落ちていく。 その中央部には、驚くべきことに男がいた。 無機質な表情をこれでもかというほど不機嫌で刻むこの男は、確かにシグナムの火竜一閃によって身体ごと吹き飛ばされたはずのイーターだった。

 その身体には傷は無い。 黒いコートに黄金の腕輪という姿で、誰かと話すようにブツブツと呟いていた。 

「――ああ、烈火の剣精には何も細工などなかった。 記憶の方も初期化されていた。 大方墓にでも埋められていたのをスクライアの一族が掘り出したんだろう。 ”あの男”ならばベルカの生き残りが墓でもなんでも作っていてもおかしくは無いからな。 それに、連中の邪魔も入らなかったから恐らくは白だろう。 ただ、最悪なことに稼動中の三番機の王と守護騎士にあってな。 ”始末”するわけにもいかんから、つまらん時間を取らされた」

 イライラは収まらない。 不機嫌を通り越して怒りさえ相貌に刻むイーターは、その感情を抑えもせずに言う。

「……ああ、そういうことだ。 倒された振りをするのは存外にストレスがたまるな。 ん、撤収ルートは……ああ、わかった」

 呟くように通信を終えると、イーターは歩き出す。 先ほどの爆音を聞いて誰かがやってくる前に撤収しなければならない。 いくら昼間の事件のおかげで一時的に閉鎖状態にされているとはいえ、無事な部分のホテルには人がいるのだ。 長居をすることに意味は無い。

「ちっ、無意味な時間を取らせやがって。 連中は道具らしく道具として機能すりゃあいいっていうのに」

 と、そこまで呟いてイーターは重大なことに気がつく。 何かがおかしい。 冷静に考えてみれば、ありえないことだったのではないか? 何故”道具”にすぎない守護騎士たちがまるで”人間”のように活動していたのだ? 戦闘力を低下させても”蒐集”を続けるようにそういう風に主に”設定”しておかれているはずなのに――。

「まさか、剣精ではなく奴らの方が――」 

 だが、それを言う前にイーターはその身体を上下に分断されていた。 転がる体。 腹から上がまるでコマのように回転しながら倒れ伏す。 その目が一瞬捉えていたのは刀を振るった姿勢で立っている黒髪の女だ。 絶対に見つかってはならない”敵勢存在”が、そのままゆっくりと刀を振るう。 イーターに確認できたのはそこまでだった。

「シリウ――」

 金属を両断するような甲高い音が闇夜に鳴り、イーターの黄金の腕輪が両断される。 火竜一閃にさえ辛うじて耐え切ったその腕輪が、音を立てて地面に落ちる。 それで、終りだった。 実体化させていた魔力体が魔力へと還り霧散していく。 本体である黄金の腕輪を破壊されたせいで、杖喰い<デバイスイーター>の全機能が停止したのだ。

「さて、デコイが一つ消えたわよ? 次はどうするのかしらねシュナイゼル」

 長い漆黒の髪を耳の後ろかきわけるようにして、刀を鞘へと戻していくカグヤ。 なんということはない。 今回の一連の事件、初めから全て視ていたのだ。 だから、最後の瞬間にシグナムが吹き飛ばしたあたりから動き出すのを待っていた。 相手の姿さえ見つけていれば、凡そ彼女が”逃す”なんてことはありえない。

 彼らにとっての最大の脅威は、目下アルハザードと”こちら”を自由に往復する彼女なのだ。 そして、向こうには現状見つかったらそれだけでおしまいだった。 なにせ力量が違いすぎるのだから、連中にはどうしようもない。 姿を見せた時点で敗北が決まってしまったようなものだ。

「……それにしても、解析するから本体を持ってきてくれだなんて。 お使い気分で簡単に言ってくれるわねジルも」

 相手が機械なら、後はメモリーでも記憶媒体でも解析して手がかりを探せば良い。 それを簡単にやってのける連中だからそれはまあ間違いではないのだろうが、さすがに見つからないようにするのは色々と面倒くさい。 特に、”彼”の邪魔をしないように極力隠密にという注文は面倒くさいことこの上ないことだ。 まあ、彼に繋がりを見られれば餌としての価値が無くなるから仕方の無いことだとは理解できるわけだが。

 つまらなそうに右手を伸ばし、”その場”で黄金の腕輪の残骸を掴もうとした。 だが、それはカグヤの手に収まらなかった。 何故なら、その寸前に別の人物の手に拾われたからだ。

「ふむ、ミッドチルダには初めて足を運んだが、存外双子月も美しいではないか。 これは酒でも用意してくるべきだったな?」

 一体いつからそこにいたのか、カグヤでさえ”気がつかない”うちにそこにいた金色の少年が、親しげに声をかけてきた。 思わず反射的に刀を振りそうになった自分を押さえながら、カグヤは訝しげに流麗な眉を動かし、刀から手を離す。

「……アレイスター・クロウリー、どうして貴方がここに?」

 現在のアルハザードを実質上統べている最強クラスの限界突破者<リミットブレイカー>。 アルハザード十三賢者第二位にその身を置く少年は、その言葉には答えずに拾い上げた残骸に指を這わせる。

「ふむ、中々見事な切り口だ。 さすがはかつてベルカで剣聖と呼ばれただけのことはある」

「アルハザードを滅多に出ない貴方がどうしてここにいるのかしら? それに、それは私がジルに回収を頼まれているものなんだけれど?」

「ほう? だが、すまないな剣聖。 ”これ”は余が回収する。 少し楽しい”使い方”を思いついたのでな。 何、心配せずとも必要そうなデータは”改竄せずに”後で送るが故、安心するがよい」

「……」

 その言葉に、カグヤはため息をつく。 第二位の行動を妨げることは難しい。 少なくとも、この少年は普通の人間の感性をしていない。 もっと異質で、もっと破滅的な価値観を持っている。 彼が”そうする”といったなら、そうするしかない。 それが”アルハザード”での暗黙の了解だ。 彼に意見するには、それ相応の覚悟が必要である。 あるいは、命を懸けるぐらいのものがなければ、この少年は決して己を曲げない。 まるで支配者か何かのような尊大な態度であったが、それを押し通すほどの力を彼は持っているのだ。 ”彼女”であってもそれを変えるのは難しいだろう。

 だが、何故態々出てきたのかは聞いておかなければならない。 別段、彼女が回収した後にジルに渡すのだから、ジルが解析した後からでもなにも問題は無いはずだ。 態々”こんなところ”に彼が来る理由にはならない。 それに、その程度のモノ、アルハザードの技術をもってすれば容易く作れるのである。 目の前のそれに拘らなければならない理由は無いはずだ。 何か、自分が知らないものがあるというのか? あの程度の物体に?

「ふむ? 知りたいという顔だな。 そうだな……話しても別に構わんが、”本当”に話しても良いのかな? いやいや、まだ貴公は聞かないほうが良いな。 そのほうが面白いことになりそうだ。 余も貴公も、そしてあの者のためにも」

「あの者?」

 まるで、自分も知っているという風にアレイスターは言う。 まったく心当たりが無いだけに、カグヤは首を傾げて問う。 だが、どうやらまだ答える気は無いのか、金色の少年は薄く笑うだけで答えようとはしない。 だが、ヒントだけはくれるらしい。

「アルハザードには蝙蝠がどうも潜んでいるらしくてな、今しばらくはその”観察”に余は洒落込むつもりなのだ。 色々と己のあり方に苦悩しているらしいが、中々どうして。 ”最終的”にどういうことになるのか分かっていてああも自然に溶け込んでいるのだ。 面白くて面白くてついつい狩るのを忘れて飼い続けてしまっているぐらいだ。 もうすこし滑稽に踊ってもらわなければ、殺された第六層の連中も浮かばれはせんだろう?」

「……スパイがいるというの? アルハザードに?」

「タダのスパイというのは語弊があるな。 アレはそんな可愛いものではない。 貴公を騙し、余を謀り、シュナイゼルさえ騙しているだろうよ。 まあ、シュナイゼルはそれを分かっていながら使っているのだろうし、余も敢えて楽しいからそのままにしている。 もうしばらくは状況が動かない限りはこのままだな。 まあ、それもあの”生餌”次第といったところか。 見つけてしまったからには終わらせなければならない。 その覚悟は既にあるらしい。 望まなかったイレギュラーの登場で彼奴も色々と焦っているのだ。 というわけで、上手い収拾のつけ方でもそれまでに見つけておいてくれねば色々と大変だぞ? 何せ、ここまで”大々的”にやらかしているのだから、もはや彼奴の消滅は止めようがなかろう。 奴の責は限りなく重い。 状況が整えば余自ら処断してくれよう。 ”あの程度の防御”余に抜けぬわけがないからな」

 楽しげに笑いながら、少年は言う。 そこには悪意も善意も無かった。 ただ、面白いからという理由だけで状況を楽しんでいるのだ。 やはり、普通の人間の精神では断じて無い。

「ジルも貴公も身内にはことさら甘いからな。 それが甘い甘い人間の美徳であり度し難い悪癖ではあるが……いやはや。 やはり、こういった人間の必死な姿というのは実に楽しいな。 今頃は慌てふためいて策を練っていることだろうよ。 いや、初めからわかっていたはずだから、これも予定のうちなのかな? やはり、何千年と生きてきても人間は理解できん。 まあ、だからこそ楽しいのだが――」

 カグヤの憮然とした表情さえ肴にしながら、少年は笑う。 その様が酷くカグヤには恐ろしく思えた。 自らも人間の癖に、人間を簡単に嘲笑えるこの存在。 そんな人外の感性を持つ人間が何故アルハザードの支配者なのかと時たま疑問に思うことさえある。 こんな異常者だが、しかし誰も彼の行動には異を唱えない。 反逆しない。 ”それ”をすることさえ考えない。

 アルハザードを支配しているのは実質彼だが、運営しているのは第四位の『月夜の執政者』だ。 だが、少なくともカグヤは彼女が彼に意見をしたところを見たことが無い。 まるで訳知り顔で頷き、苦笑さえ浮かべて第二位の命令には従う。 何が彼にはあるのだろうか。 まだ若い限界突破者<リミットブレイカー>であり、アルハザードでは新参に位置する彼女は知りもしないが、もしかしたらジル・アブソリュートならばその謎を知っているのだろうか? 少なくとも、自分よりは詳しそうだが。

 そんなとりとめのないことを考えていたときだ。 さらに楽しげに、彼女に予想もしない言葉を少年は言った。

「――そうそう、時に剣聖よ。 貴公に尋ねたかったのだが、貴公はいつまで”生きる”つもりだ? 目的達成後にやることが無いのであれば、十三賢者でもやってみる気はないか?」

「……私に十三賢者になれというの?」 

「暇つぶしぐらいにはなるだろう? その命、”無意味に終わらせる”のは些か惜しい。 今なら欠番の五位『絶対領域』か欠落した十二位『魔導砲』辺りの位を除名して襲名できよう。 何、心配することは無い。 十三賢者などと呼んではいるが、実際は体の良い雑用係だ。 ほとんどの運営は第四位がやっているし、階層を纏めるぐらいしか仕事は無いのだ。 例外は十三位と十二位だが……まぁ、それはどうとでもでっち上げられる。 貴公は人の上に立つ者として必要なカリスマを所持しているし、まだ若いとはいえ限界突破者<リミットブレイカー>だ。 誰も意見などせんよ」

 いや、意見などさせぬといいながら少年は提案する。 だが、カグヤはその提案を受ける気は無かった。 その資格が無いと自ら考えていたし、人の上に立つような柄では無いのだ。 無論、生まれを考慮すればそういう教育もされているが、そんなのは遥か昔のことであり、あの一癖も二癖もある連中をまとめられるなどとはどうしても思えない。 それに、そんな”称号”に興味も無いし一人の方が身軽で良いというのもある。

「……ふむ? 気が乗らぬか? ならば番外位ならばどうだ? 食客やら客将程度に考えてくれれば良い。 貴公の武者修行姿は実に痛快だ。 できれば余としても手放したくないのだ。 つまらん自己満足で死なれるのは惜しい」

「随分と買われているようね、でも答えは変わらないわアレイスター。 私は貴方の”玩具”ではないもの」

 そういうと、アレイスターはキョトンとしたような顔で目を瞬かせる。 そして、何やらカード型のデバイスを懐から取り出すと、そのままカード遊びを始めた。 空中に浮かぶカード。 カグヤにはそれの意味が分からないが、占いか何かをしているのだろうということだけは理解した。 やがて、ある程度のそれをやり終えたとき合点がいったとばかりにアレイスターが頷き、カードを仕舞いながら再び笑った。 その目にあったのは一方的な理解だ。 まるでカグヤのことをそれだけで理解したといわんばかりの態度である。 

「く、あはははは。 そうかそうか、貴公には他にやらねばならんことがあるのだな? 中々どうして貴公も”可愛いらしい”ところがあるようだな。 観察日記をつけ続けるうちに情でも湧いたか? くくく、良かろう。 十三賢者の話は無しにしよう。 だが、番外位だけは与えておくぞ? 何、いつまでも貴公もあの中途半端な『難攻不落』の影に守られているわけにはいくまい。 仕事は特に無いから、好き勝手存分に振舞うが良い。 この”余”が許す。 存分にその”罪悪感”と”無限の空虚”を楽しむが良い。 今から貴公はアルハザード十三賢者番外位だ。 二つ名は後で自分で考えて第四位にでも届けておいてくれ。 それ以降、貴公の行く手を阻めるものは余と一位を除いてアルハザードでは存在しなくなる」

 勝手に番外位の位をカグヤに授けることを宣言すると、アレイスターはカグヤに背を向けて歩き出す。 と、まるで初めからそこに居なかったかのように彼の姿が消えていく。 それはアルハザード式魔法ではない。 何かもっと根本的に違う何かを用いて彼はその場から移動したのだ。 それはカグヤのようなレアスキルでも決して無かった。 魔力は使っているらしいが、彼女の”グラムサイト”でさえその術式が見えない。 つまりは、それは魔法ではないということであり、未知の力に他ならなかった。 軽い戦慄を覚えながら、カグヤはもう一度だけため息をつく。

 どうやら、全てあの少年は知っているらしい。 知っていて、何も口に出さずに娯楽にしているのだ。 恐らくは彼にとってシュナイゼルの凶行でさえ些事に過ぎないのだろう。 やはり、彼と彼では器が違いすぎる。 完全なる黄金と黄金の紛い物では、比べようも無い。 分かっていながらカグヤたちに解決させようとしているのも、恐らくは彼にとって簡単に処理できる案件であるからなのだろう。 彼が自らここにやってきたことは驚きであるが、直接手を出そうとしないところを見ると、その考えは間違っていないように思えた。

「……全て、彼の掌の上というわけかしらね?」

 やってられないとばかりに眉間を押さえると、カグヤもまたその場から消えた。 まずは友人に報告が必要だ。 欲しい情報がアレイスターから届くかどうかは分からないが、また次の手がかりがやってくるまで待たねばなるまい。 剣聖は新しく与えられた位のことも考えながら、闇に解けるようにアルハザードにいる友人の元へと向かっていった。


――まだ、しばらくは平穏な凪の状態が続きそうだった。

コメント
更新お疲れ様でした。
今回の出来事が、今後クライド・エイヤルにどんな影響を与えるのか楽しみにしています。
【2008/06/27 20:08】 | ZO #mQop/nM. | [edit]
なんというか十四話を越えてから初カキコ。中途半端ながらこの回は書き込みをせずにはいられませんでした。
だって、だって、グラ爺が散華したんですから!!!…いや別にクライド君嫌いじゃないし、シグナムとアギトのユニゾンもキタ――――(゚∀゚)――――と思いましたよ? 
でも、一芸特化パワー型+実力派の爺はガチで好みなんですよね…なんというか燻し銀的なおっさんや爺さんキャラが強いという方程式が頭の中にあるんです。
ともあれ、こういう魅力的なオリキャラを心待ちにしてます。無理をせず自分のペースで頑張ってください。
【2008/06/27 20:28】 | サザナミ #M/EAJn/Y | [edit]
何と! 四天王クラス(物語的な意味で)だと思っていた杖喰い《イーター》は中ボスでしかなかったとは!!
奴の言う細工とか改変とかいうのは、アブソリュートの手が入ったか否かということなんでしょうかね? それとももっと別の?
いやいや、目が離せません。

しかし、自分の関心事はクライドVSクライドのロリンディ争奪戦です(違
実力差は歴然。エイヤルは、どのようにしてディーゼルを倒そうと言うのでしょうか?
本気で楽しみです。
【2008/06/27 20:29】 | マイマイ #aReeLJcY | [edit]
更新お疲れ様です。最終的には完全勝利で片がつきましたね。しかし第二位の方の台詞を脳内再生すると緑川ボイスにしかなりません…。
【2008/06/27 20:36】 | 打刀 #- | [edit]
うぉぉぉ、黒幕一味の一人、一体?のイーターが早々に消えるとは。

しかしリンディとのフラグはどうなるんだディーゼルさんが一歩前進したが
エイヤルには是非結ばれて欲しいな、地の分でも死亡フラグ立ってるけど。

しかし12位「魔導砲」って誰かさんのためにある様な二つ名ですね。
5位「絶対領域」それは限界突破するほどの萌えを生み出す太ももを持つも…

そういえばグラ爺のデバイスってどうなったんだろ、粉々になったのかな?
【2008/06/27 23:48】 | knt #h0D/NfaY | [edit]
御味方大勝利、御美事にござります!
今回の戦はリンディ出番無しでしたか。まぁリミッターかかってるししょうがないけど。どうせ出ても今回はエイヤル君には絡まなかったろうしね! ……そんな悲しい結果を見ないで済んだのだからいいか。
ディーゼル君はディーゼル君でフラグ立ててるしなぁ。面白いなぁ。てか彼も強くなってるようで、我らがエイヤル君も大変だよ。

それにしてもヴィータはカッコいいなぁ。流石は漢娘w

台詞が自動で緑川ヴォイスで脳内再生されるのはもはや冗談にしか思えないよ第二位w
そんなのは設定読んだ時には既にそうだったけどw
でも色々意味深なこと言ってたなぁ……。ふぅむ。

それにつけても可哀想なアルシェよ。もうジル以外にとっては居ない人だものなぁ。
【2008/06/28 01:57】 | 無何有 #pYrWfDco | [edit]
 いかん、神裂火織風味のカグヤとマスターテリオン風味のアレイスターが脳内に飛び交ってますよ?

 キャラ上手いな~、うん。って言うか、シュナイゼルがどうしてもコードギアスのシュナイゼルの容姿でしか思い浮かばない罠。ヘタレな第二皇子しか妄想できない自分はきっと負け組みです。そう思うと、思わずプッと笑わずにはいられない。悪辣で自己中な小悪党のヘタレのギャップが堪らん(笑) 

 できれば守護騎士達に報いてる場面も見てみたかったです。こういう日常シーンとか大好きなんで。ですから次回も多大に期待(笑)しておりますので、頑張って下さい。

 しかし、ロリンディの出番が無いに等しいのが寂しい今日この頃。その意味でも次回には期待ですね♪
【2008/06/28 02:35】 | 神薙 #v6O6VgHs | [edit]
話が一段落したようなので初カキコ。

現実来訪系のSSを探し歩いていて、此処を偶然見つけたのは幸運でしたね。
最初は「クライド」が主人公で、本編より過去っぽいという珍しさから読み始めたのですが
独自の展開と魅力的なオリキャラの影響か、一気に当時の最新話まで読破してしまいました。

今後も目を離せないところですな。さしあたってはクライド2人による模擬戦とか(笑)
ただ、勝っても負けてもエイヤル君は恋人とかつくらないような気がしますね。
何せ、抱え込んでいる案件や問題が多いですし、生き延びるためには、自身のパワーアップが
最優先かつ急務な感じです。
(敵も味方も高ランカー揃いな上に、人外や超越者も関わってる……改めて考えるとトンデモナイ
状況におかれてますよね(汗))
【2008/06/28 10:06】 | 金鵄 #LkZag.iM | [edit]
初めまして
オリ主人公やその友人達に好感がもてて面白いです。
今後も期待しています。

でもオリキャラの名前が地球人でもないのに
アブソリュートだとかアレイスターなんかだったりする
のにすごい違和感を感じます。
まあ地球人だとしてもおかしいことに変わりないし、
仮に異名だとか偽名だとしてもなぜ地球の言葉なのかという疑問がある。
【2008/06/28 19:20】 | R #JalddpaA | [edit]
おお、皆が皆全然気にもしてないがエイヤル活躍したんだな!思いっきり暗殺上等ではあったが…
 後今回はこの話の中のヴォルケンリッターの二人の過去における立場が浮かんできたが、なんだかえもいわれぬ悲しみがわいてくるな。
R氏さんそれを言ったら異世界の話なのになんで自分たちは読めるんだとかなるんだから…
【2008/06/28 20:35】 | Tomo #SFo5/nok | [edit]
ヤベーとかスゲーとか抽象的すぎる感想しか浮かんでこないほど、敵も味方も強くて、戦闘が楽しいですねー。
それにくらべてクライド君は・・・ホロリ。

・・・にしても、クライド君の中の人の存在は誰かの策略なんだろうか。
と勘ぐる私がいる。
【2008/06/28 21:08】 | リアン #- | [edit]
ディズニーr(ゲフンゲフン
戦闘も一区切りついて、これからは日常とリンディさん争奪戦でしょうか?w
原作キャラの活躍もイイのですが、オリキャラ達も違和感なく存在していて活き活きとしているのがとてもすばらしいです。

そんな中、今回「囚われのお姫様」になっていたオリキャラ主人公クライド君は次回から活躍することができるのか?
なんかこのまま「囚われのお姫様」もしくは「助けられるヒロイン」的な位置に定着してしまいそうで心配ですw

それはそうと、イーターがFateのアーチャーっぽく感じてしまって首を傾げます。こう、機械っぽいところとか、その能力とか。

以上です。では、次回も楽しみにさせていただきます。
【2008/06/29 03:07】 | NIKKA #TY.N/4k. | [edit]
ZOさん サザナミさん マイマイさん 打刀さん kntさん 無何有さん
神薙さん 金鵄さん Rさん tomoさん リアンさん NIKKAさん

どうも皆さんコメントありがとうございます^^

戦闘関連のはそろそろお腹一杯といった頃でしょうか。 ここいらで日常の奴をちょっと入れたいところですね。 書くのは難しいんですが、楽しくやれたらなぁと思ってます。
後、BBSで提案を受けたんでちょっとSSの目次作ってみようかなと思います。 どんな感じになるかはちょっとまだアレですが、読みやすくはしたいですねぇ。 では、失礼します^^

 
【2008/07/02 00:53】 | トラス・シュタイン #da/Koam6 | [edit]
アレイスタークローリΣ(゜ロ゜;
クロちゃんが居る!?
【2008/10/14 16:56】 | みょん #EBUSheBA | [edit]












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