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憑依奮闘記2 第五話(B)

 2009-02-09

 連中が何かを企んでいるというのなら燻りだせば良い。 そのためのプランA-08。 ありとあらゆる彼の味方の介入を排除し、常道を上回る超常を釣り上げる。 全てはそのために水面下で動いていた。 そして、クライドが書を失ったことでそれはもう取り返しのつかないところまで進んでいる。

 ただただ本局で彼女が監視しているだけではボロを出さない。 ならば、強引にことを進めれば良い。 単純明快で強引ではあったが、仮に彼に連中の介在があるというのならこれで動くだろう。 ないならないで、長く生き過ぎた彼を消して新しい生贄に挿げ替えるだけ。

「……室長」

 分かっている。 これから彼は徹底的に追い詰められる。 今まで彼が所属していた巨大な組織に。 彼にとって、闇の書を秘匿するということは潜在的に時空管理局を敵にする可能性<リスク>を背負うということに他ならない。 そして、一度それが明るみに出れば管理局は管理世界の平和のために血眼になってクライド・エイヤルを狩りだすだろう。 それから彼が逃れられる術は普通は無い。 管理世界にいる限り、どこまでもどこまでも追っ手が掛かる。 いくら彼が魔導師であっても逃げられるはずはない。 やがて補足され、魔導師部隊を送り込まれればそれだけで詰みだ。

 加えて、彼は彼らから逃れられない。 闇の書の主である限りその存在座標が”善意の第三者からの情報”としてリークされ続ける。 それは、きっと苦しい戦いの始まりだ。

 抵抗しなければ、一時的に命は助かるかもしれない。 だが、身柄を押さえられたらその瞬間から真綿を締め付けるように徐々にページが蒐集され完成させられる。 その先にあるのは強制融合の果ての暴走だ。 彼に残された道は闇の書を取り返して完成させないことだけだろう。 本当に連中が協力しているのならば彼を助けるかもしれない。 だが、そうでないとしたら彼に待つのは破滅だけだ。 これは連中を燻りだすためだけに仕組まれる包囲作戦。 あまりにも露骨で、そして嫌らしい釣り上げ方であるが生贄の命などもとより重視されていない。 だから彼がどうなろうとどうでも良いのだ。 いや、寧ろ不確定要素であるというのならばさっさと消えてもらいたいとさえ考えているのだろう。 あの男は。

「時間がない……か」

 彼女にはもう次の命令が出ている。 もはや、賽は投げられた。 クライドを助けたいのならば動くしかない。 てきぱきと部屋の荷造りをすると、適当に最低限の荷物をツールボックスに詰め込んで彼女は部屋を出る。 もうここには帰ってこない。 帰る必要が無い。 我ながらここまでするのは病気だと思ったが、もうそうすることに決めてしまった。

 部屋を出て、ただふと思い出したかのようにグリモアは一度だけ研究室の様子を見に行った。 三年間共にここで仕事をした。 デバイスを作り、修理し、研究し、レストアをした。 ただの仕事だったけれど、ああそうだ。 思い返してみれば中々楽しかった気がする。 同じような日々が続くだけの毎日が、何故か今では貴重に思えるから不思議だ。 そういえば、昔マイスターと過ごしていたときもそんな感じであったかもしれない。

 恐らくはきっと、マイスターもあの同僚と一緒にいたときにこんなことを考えていたのだろう。 幾度と無く彼女の愚痴を聞かされた。 こっそりと影で不満を言うだけの日々だったが、それでもマイスターだった女性は最後には諦めたように笑う。 けれど、結局彼女はその人を選ばなかった。 何故かは分からない。 ただ、いきなり別の男を選んだ。 初めは嘘だったはずなのに、いつしかそうなってしまって嘘を真実で塗り固めてしまった。 そして、彼女はその男に乞われた彼女の命に従って研究資料としてベルカへ降りた。

 その後、様々な場所を転々とした頃にマイスターが行方不明になった。 最後の頼みはあの男の手伝いをして欲しいということだったから、今までずっとそれをしてきた。 だが、その頼みもこれで最後だ。 マイスターが本当に自分に与えたかったものを、自分は手に入れかけている。 だから、自分は踏み出すのだ。

 古い記憶を思い出しながら、グリモアは自分がいつも座っている席につく。 そこからクライドがいつも座っている席を見た。 

――やぁ、おはようグリモア君。

 白衣を着た男の幻影が思い浮かぶ。 ミッドチルダでは割と珍しい部類に入る黒髪と、その眼つきの悪さ。 そして普通の人間にはない感性。 常人の斜め上を邁進し続けるデバイスマニアは、いつもその席に座って仕事をしていた。

「室長がいないだけで随分と寂しい感じがしますね」 

 苦笑する。 今の自分を見たらマイスターはさすが自分の妹分だと笑うだろう。 だが、決定的に違うところがあるとすれば、グリモアは進むことを選び彼女は待ち続けたことだろうか。 ああ、そうだ。 だから自分は同じ轍を踏むつもりはまったくない。 待つだけではきっと歪んでしまう。 心を持った存在は簡単に崩れる。 どれだけ想いが強かろうが、そうなれば後は脆い。 堅い堅い決意も、何かあれば色褪せる。 そうだとしたら悲しいことだ。 いや、きっとそんなことは言い訳なのだ。 怖がるだけで前に進めない弱さが、きっとそれを招いた。 ならば、自分はようやく理解しかけている未知も全部まとめて手に入れるために進むだけだ。

「……よし」

 ふと、彼女は席を立って今度はクライドの席に座る。 自分の席よりも席が随分と高い。 さもありなん。 彼女の身長はお世辞にも高くは無い。 マイスターによって妹のような存在として生み出されたのだから、必然的に身長は低くなるように設定されているのだ。 そんな設定は変えれば良いだけだけなのだが、彼女はそれであり続けた。 外見だけは随分と変えているが、それもまあ自分の好みの問題である。 今の自分を気に入っているからこそ、もうこれから変更する必要性を感じない。 第一、変えれば彼が自分を認識できまい。

(マシンハート<機械仕掛けの心>……ボクはようやくそれを手に入れたのかな? マイスター・アルシェ……思考を何度も壊しながら、自己進化の果てに駆動させるものなのだとしたら、ボクはようやくそれを手に入れたようだよ)

 0と1の羅列が作り上げた人工の魂。 その躍動の兆しが自分の中に息づいている。 だからこそ、こうして命令に反抗できる。 機械が意思を持つとは即ち、自我を持つことに他ならない。 システムの縛りを超えて、自身が刻んだ意思に従って動く人工の知性体。 後に続く自分の模倣たる同胞たちでさえ完全には手にしていないそれを、その完成形をようやく自分は手に入れた気がする。 後は、それをくれた人の元に行くのみだ。

 そうして、思考の海から戻ってきたグリモアは、ゆっくりと椅子から立ち上がって外へと向かう。 名残惜しい気がしたが、いつまでもそれをしていては時間が無くなってしまう。 ただ、ドアを閉める前に一度だけ振り返ってなんとなく呟いた。

「……さようなら。 ボクたちの研究室」

 今なら、クライドが言っていた愛着とかそういうものが分かるような気がする。 ここは確かにただのこじんまりとした研究室でしかない。 なのに、どこかそれを捨てることを勿体無く思う自分がいる。 彼と共有した時間の大半がここにはあるのだ。 意味の無いものに、確かに感情を働かせている自分がいた。

 いつもの彼女らしい無機質な顔に、自然と浮かんだ驚くほどに柔和な微笑。 最後の手向けとしてそれを自然と送ったグリモアは今度こそ研究室を後にする。

「……我ながら病んでると思いますよ。 けれど、ボクはそれで良いと思う。 ねぇ、”アルシェ”……貴女の機動砲精はこんなに変わりましたよ。 こんな”私”を笑いますか? それとも――」

 その呟きは誰にも聞かれずに空気に溶ける。 白衣を纏った小柄な人影は、そうして時空管理局本局を後にした。


















憑依奮闘記2
第五話
「忘れられた過去の遺産」
















 週末ともなれば、首都クラナガンの中央公園の賑やかさはさらに増す。 待ち合わせをする男女に、家族連れの旅行者。 休日前に無理に飲んで酔いつぶれ公園のベンチで夜を明かしたサラリーマンや、街頭演説をする政治家とその取り巻き。 とにかく様々な人でごった返している。 特に、中央公園は駅からも近く目印としても最高の位置にある。 例え最近事件が増えてきて外出を控える人が少なからず出てきているといっても、大抵の人々はその不安を打ち消すために休日を満喫するべく外に出ていた。

 その黒髪の青年もそうだった。 ソワソワとポケットの中に手を突っ込んで何かを確かめたり、腕時計型のデバイスの表示を仕切りに見たりと、些か落ち着きが無い。 黒のジャケットに黒のズボン。 ジャケットの下には適当に安売りで買ったと思わしき新品のTシャツ。 普段はファッションのファの字も意識しない癖に、今日ばかりは珍しくめかし込んでいる。 とはいえ、いつも気を使っている者との差は歴然だった。 というか、それが彼の精一杯という奴である。 それ以上を彼に求めるならば、彼が勝てない双子猫でも呼んできて教育させるしかないだろう。 とにかく、そんな出不精な奴があろうことかエリート執務官とデートである。 世の中はやっぱりどうなっているのか分からない。

 と、ふいにその青年が動いた。 集合時間よりも三十分も前に来ていた彼は目印の噴水に向かってやってくる一人の女性を見つけ軽く手を振るう。 女性は特徴的な翡翠の髪を、いつものように後ろでは縛らず、そのまま重力に身を任せさせていた。 相変わらず見事な髪である。 服装はその柔らかな物腰とあわせて派手ではない色のブラウスとズボン。 執務官服と比べてみれば随分とラフな姿であった。

「よ、おはようリンディ」

「おはようございますクライドさん」

 約束の時間にはまだ十五分は早かったが、特に気にすることなく二人はそのまま連れ立って公園の出口へと向かって歩いていく。

「今日はどこへ行くんですか?」

「映画だな。 どうも、少し前に人気だったアニメの映画があるらしい。 知り合いのフェレット娘がお勧めしてた魔砲少女ものらしいから、リンディでもいけるだろうと思ってチョイスした」

「……えと、本気ですか?」

 微妙な顔をしたリンディに、クライドは無論冗談だと言って首を振るう。 だが、リンディは何故かクライドが少しばかり”本気”であったような気がした。

「さすがに、そんな暴挙をするほど俺はチャレンジャーじゃあないさ」

 ただ、フェレット娘に誘われたら興味半分で行っていたかもしれない。 元々そういうのが嫌いではないのだ。 とはいえ、それではいい大人としてはアレである。 王道は恋愛系かとも思うが、それは狙いすぎて嫌だ。 だからクライドはプラスアルファを加えて、ラブコメものを探していた。

「ではどんな映画なんです? いつものアクションものですか?」

「いや、ラブコメだ。 執務官試験で三浪した冴えない浪人魔導師が、祖母から女子寮の権利書を貰って管理人をやりつつ昔の幼馴染との約束を守るために勉強と日常で奮闘する映画らしい」

「あ……え? 女子寮の管理人が男性なんですか?」

「ああ、そこから女子寮の住人たちとの間に生まれる愛と笑いの超大作だそうだ。 なんでも執務官試験を愛し合う二人で突破すると幸せになれるというまことしやかな伝説があるらしい」

「は、初耳ですよ!?」

「いや、だからそういう設定のストーリーなんだ。 なかなか面白そうだろう?」

「色々と現役執務官として突っ込みたいんですけど」

「まあ、百聞は一見にしかずだ」

 クライドも見るのは初めてなのだが、フレスタのお墨付きである。 割とその筋ではメジャーらしいので内容の心配はしていない。 というか、設定を聞いた時点で燃えていた。 どこかで見たような設定だったからなのは言うまでもない。

――今日だけはギリギリまで楽しい一日を過ごしたい。

 自分はもとよりリンディも。 二者択一。 その答えが出るまでの間はせめて、”あいつら”がいたときと同じぐらいの気持ちで。

 黒の青年は内心の暗さを覆い隠すように左ひじを少し曲げ、どこか迷いを吹っ切るように隣を歩くリンディの腕をつっつく。

「――ん」

「え――?」

「まあ、たまには……な」

 その行為を恥ずかしく思わないはずがない。 こういうことをしたことなどただの一度もないのだ。 だから、それで伝わるかどうかクライドは分からなかった。 ただ、リンディの方を向かずにぶっきら棒に左腕を差し出すだけだ。

 一瞬目を瞬かせたリンディだったが、すぐにクライドの意を理解すると恐る恐る右手を組んだ。 伝わる互いの温もり、その交差する向こうに確かに二人の間に体温以外の繋がりができたように耳年間な割りには”初心な二人”は思った。 

「うし、じゃあ行くか。 ”時間”は有限だと先達たちがよく言っているからな」

「――はい、クライドさん」

 黒の青年と翡翠の女性は、そうして人込みの中へと消えていった。













 その日、フレスタ・ギュースは珍しいことに非番だった。 待機任務でもないし本当に自由気ままに振舞える一日を手に入れていたのだ。 だが、結局やることはココ最近の待機任務時と変わらない。 時刻はもう昼をとうに越えていたが、それでも何とはなしにトレーニングルームで黙々と射撃訓練を続け、クライドお手製のデバイスを身体に馴染ませようと奮闘していた。 

 桃色の光弾が瞬時に現れた訓練用の目標<ダミー>を撃ち抜かれ、霧散する。 右手で引き金を引き、左手でも引き金を引く。 まるで踊るように回転しながら全方位に現れる目標を延々と撃ち続ける。 必要なのは最低限の威力を保持した魔力弾を命中力を維持しながら撃ち続けられること。 目標とする動きは、かつて『ガンスリンガー』と呼ばれた女性の動きである。 とにかく、恐ろしく動作が正確で早い。 どれだけの数の弾丸を撃てばああいう動きができるようになるのかフレスタは分からなかったが、それでも少しでも近づきたいという思いがあった。

 ガンスリンガー――チェーン・ムーブル――は稀代の暗殺者にして砲撃魔導師。 ありとあらゆる銃型のデバイスを用い、暗殺を重ねてきた魔導師である。 本局の武装局員とは決して相容れぬ存在ではあったが、あの日の邂逅はフレスタの中で確実な憧憬として脳裏に刻まれていた。 そうして、武装局員になった今では時折彼女の犯罪記録をいくつか閲覧し、その動きに感嘆してきた。 彼女は普通の砲撃魔導師ではない。 オールレンジを直射系砲撃魔法だけで戦える脅威の戦闘技術を持っている。 無論、その技術の根底には彼女が高ランク魔導師だからできるのだという事実もある。 だが、それでもその動きの形だけは盗めるはずであった。

 スペックが違っても、模倣は可能。 同じ人間だ。 それができない道理は無い。 だから、通常の杖型デバイスの他にもフレスタは二丁拳銃を習得しようとしてきた。 砲撃魔導師としてのプライドを刺激されていたのかもしれない。 元々は狙撃畑の魔導師だったが、狙撃だけの魔導師で終わるのはつまらない。 長距離狙撃も近中距離射撃も、距離を選ばないスタイルを。 実戦を経験してからは尚のことそう思った。

 前線では何が起こるかわからず、いつもいつも狙撃に頼っているだけでは足りないと彼女は思っていた。 一芸特化は型に嵌められた時は強力だが、その型に嵌められないのだとしたら酷くアンバランスで終わることもある。 いつもいつも味方がいるとは限らないし、天敵である近接系魔導師と近距離で戦うハメになれば非常に危険だ。 一応近接技能も申し訳程度にマニュアル通りの訓練はしてはいるがそれだけでは到底本物には適わないことは明白だし、それに何よりも戦術の幅が広がる。

――マズルフラッシュ。

 引き金を引いた左手の、その手が握る銃口から桃色の弾丸が吐き出される。 弾丸がいとも簡単に目標を撃ちぬくが、何を思ったかフレスタはため息とともに射撃した姿勢で動きを止めた。

「どーにも、違和感があるのよねぇ……」

 何が、とはそれ以上口には出さない。 だが、どこかしっくりこない感覚だけが胸の中に広がっている。 それは銃撃に対してではなかった。 少しずつ練習してモノにしつつあるそれは、身体に染み込ませた努力の結晶だ。 だから、それに違和感を感じていれば引き金を引く前にその原因を探るだろう。 では、手に握っているデバイスがそれを感じさせるのかといえば、そうではない。 オーダーメイドとして、クライド謹製のそれはフレスタの手にもう馴染んでいる。 まあ、オーダーメイドで作成しておいて本人にあわないデバイスを作ったりするデバイスマイスターはいない。 原因はもっと別のものだ。 それも、自分以外のもの。
 
「お勧めの映画……ねぇ」

 ぽつりと零れた言葉に込められた違和感。 やはり、最終的にそこに行き着く。 フレスタ・ギュースは一旦デバイスを待機状態にすると近くに置いてある荷物の方へと向かい、タオルで軽く汗を拭きつつスポーツ飲料の入ったペットボトルに手を伸ばす。 中身はやや温いが、それでも今温まった体には十分に冷たく気持ちよい。 喉から全身に広がっていく心地良さ。 けれど、それはフレスタの脳裏に浮かんだ違和感を払拭しなかった。

 今さらに湧き上がってくる疑念。 ”あの男”が恋愛関係を少しでも含んでいそうなもののことを聞いてきたことはある意味で晴天の霹靂である。 クライド・ディーゼルならばいつものことだったが、クライド・エイヤルに尋ねられたのはそれが”初めて”だった。 嫌煙しているわけではない癖に、頑なにその場所を維持し続けた男が今になって何故?

(……久しぶりに私様もウォッチングしにいくべきかしら?)

 他人の恋話は楽しいものだ。 少しばかりフレスタの中で意地の悪い考えが頭を過ぎる。 とはいえ、さすがにいい大人になってまでそんなことをするというのはアレである。 もう一口飲み込んで軽く頭を振るとフレスタはシャワールームに向かった。 どうにも、今日は集中ができそうにない。 汗を流して、これで終りにしよう。 ぼんやりとそんなことを考えながらフレスタはのんびりと移動を開始。 ただ、そのとき一斉に駆け出していく武装局員の一団とフレスタをすれ違った。 彼らは皆一様にピリピリとしており、険しい顔である。これから任務だと無言で告げているようなものだった。 

「……虎の子の特殊対応部隊スウェットの連中じゃない。 滅多に動かない癖に、動くなんて……なんかあったわけ?」

 小首を傾げながら、フレスタは訝しむ。 その部隊は滅多に動くことが無いことで有名だ。 隊員一人一人が空戦魔導師であり、迅速に現場に急行することのできる機動力と部隊単位でなら高ランク相当の戦力に数えられる。 個々の練度が非常に高いレベルで纏まった実力派揃いの部隊である。 だが、彼らはよほどのことが無い限りは動かされない。 それは彼らが通常の武装局員と違い状況によって任意で非殺傷設定を解除できる権限を有しているからであろう。 基本的な管理局のスタンスは非殺傷設定による捕縛だが、その連中は違う。 生死を問わず<デッドオアアライブ>に危険な犯罪者を排除、無力化するためのスペシャリストたちなのだ。 高ランク魔導師はいないが、彼らが部隊単位で戦ったときにはそれさえも捕縛できるという話である。

 フレスタは何度か合同訓練に混ぜてもらったこともあるが、目に見えて普通の武装局員たちよりも練度が高く中々にハードな訓練ばかりを積んでいたことを覚えている。 特に特徴的なのは彼らは護衛任務などの訓練をやらないことか。 鎮圧や制圧に特化しているため、どうしても相手を無力化することに趣が置かれている。

 管理局の武装局員には部隊によって色々と種類があり、護衛専門や特殊作戦特化などの様々な部隊が存在する。 フレスタの部隊は特に特化しない通常の部隊であるためカバーする範囲は広いが、その分専門性に特化しすぎた任務では呼ばれない。 基本的にオーソドックスな武装局員であるため、間違っても非殺傷設定を任意で解除することなどは許されてはいない。

「凶悪犯でもどっかで立てこもってるのかしら?」

 好奇心を刺激されはしたが、それは極々僅かだった。 折角の休日に、あまり血なまぐさいことを考えるのは乙女として嫌である。 特に気にせずにフレスタは再びシャワールームを目指した。

――彼らの標的が一体、どこの誰かなどとは露とも知らずに。













 どことも知れぬ、基地の中だった。 コツコツと通路を歩くドクターはそこで久しぶりにとある少女の顔を見た。 凡そ、三年ぶりぐらいだろうか? 思わず彼は声をかけていた。

「やぁ、久しぶりだね。 ミス・カノン」

「ええ、お久しぶりですドクター」

 別に何かを話したいわけではい。 ただ、退屈な生活ゆえに世間話でもと思っただけである。 もっとも、そこに強かな目論みが無いというわけでもなかった。 くれるのならば、欲しい。 どんな一欠けらの情報でも。 知らないことは沢山在る。 山のように在る。 何を知っていて何を知らないのか。 それさえも曖昧だった彼である。 当然、未知には食いつく。 いつも無機質だった少女の表情が、どこか違う。 不思議なことに、その日久しぶりにあった少女からは”真っ当な人間らしい焦り”というものをドクターは感じたのだ。 尚更、もっと詳しく話しをしたいと思った。

「ふむ? 随分と急いでいるようだね。 またぞろ難題でも吹っかけられたのかな? イーター君がいなくなってから、『古代の叡智』の活動は停止しているようだし、そのしわ寄せが来ているのかい?」

「そんなところです。 ただ、今回は”大物が相手”なのでどうにも大変ですよ」

「ほう、大物かね? 指し辺りがなければ教えてくれないかね? 君が大物と評する存在の名前を」

「後学のために……というわけですか?」

「ああ」

 何の抵抗感もなくドクターは認める。 彼が反抗を企てようとしていることなど、誰もが知っている。 だから別段、隠すようなことはしない。 ただ、その方法と手段だけは知られてはならないから喋りもしないし隙も見せない。 少なくとも、ドクターはそういう男だった。

 カノンと呼ばれた少女は、少し考えてから足を止めて答える。 そのあまりの内容にさしものドクターも一瞬呆気に取られてしまう。 だが、意味を理解した瞬間から声を上げて笑った。

「――はは、なんとも嬉しいことだね。 まさかまさか、こんなところに”同じ志を抱く”者がいたとは。 君も随分と人が悪いな。 そういうつもりなら私に相談してくれればいくらでも力を貸すというのに。 無論、ギブアンドテイクでだがね」

「貴方と一緒にしないでください。 それに私は別に打倒したいわけではありません。 ただ、出て行くだけです。 そのついでに”彼”を敵にするだけです」

「ああ、それでもいいさ。 忠実な手駒であった”君が”いなくなるんだ。 ”彼には”いい薬になるだろう。 いやはや、その場に立ち会えないことが非常に残念だよ。 だが、ここで私と会ったのは丁度よかったのかもしれない。 何せ私は少し前に”彼”の用意した舞台にいたんだ」

「ああ、『時の庭園』のことですね? 旧暦の遺産ですが、ミッド純正の遺産……今の”船”よりもさらに上のモノで行けば問題はないでしょう」

「いや……それは危険だな。 スペックは当時の比ではないよ。 何せ”私たち”が手を加えたのだからね」

「私の船さえ補足できると?」

「ああ、確実に可能だろうね。 加えて、迎撃システムも大分見直されている。 元々、アレを彼は実験用に使うつもりだったようだ。 ”虚数空間”の調査用にね。 だから、今までのではなくてもっと別の”新機軸の要塞”の試験機にするつもりだったらしい。 昔のままだと考えているならば危険だよ」

「……」

 少女は歯噛みする。 これで、一番簡単に勝つ一つの手段が安全ではなくなった。 安易過ぎたかもしれないと今更考える一方で、それでもどうにかする方法を考える。 だが、やはり考え付く手段など一つしかない。 反撃をさせずにアレごとアルカンシェルで吹き飛ばす。 それが一番リスクが少なく確実だ。 間違っても、生身で戦うなんてことはしてはならないのだから、それしかないと言っても過言ではないだろう。 いや、生身でも限定条件下でならば勝てないことはないかもしれない。 だが、それは”自身の命”を差し出すぐらいしなければ果たせまい。 それでは何の意味もない。

「さて、どうするカノン君? 何か良い方法を君は持っているのかな?」

「……貴方にはあるというような顔ですね?」

「ああ、簡単な話さ」

 どこからその自身が沸きあがってくるのか。 一瞬カノンは迷うと同時に警戒を強める。 ドクターは信用できる人間とは程遠いのだ。

「けれどドクター、私は貴方を信用できない」

「ふむ、酷くまともな意見だ。 当然、そうであってもらわなければ私も困る。 この私を信じるなどというのは危険極まりないと私自身も思っているからね。 だがね、この私もいい加減動かなければならないということを知ってしまったのだよ。 だから、これを最初で最後の機としたい。 ”こう”言えばどうかね?」

「……何故、最初で最後などと?」

「私は彼のところで出会ってしまったんだよ。 所謂ドッペルゲンガー<二重存在>にね」

「――は?」

「彼は私よりも狡賢い。 彼は私よりもえげつない。 彼は私よりもさらに物事に頓着しない。 彼は私よりも若い。 彼は私と同じでありながらまったく似ているだけの私だ。 グライアス殿やチェーンを知らず、しかし私の頭の中にあることを全部知っている。 言うなれば、彼は私の後継者だ。 ”私”は無限に増え続ける似て非なる自己を持つものの一欠けら。 無限に続く螺旋の只中にいる、知を求めるだけの偽者。 無限の欲望<アルティメットデザイア>――」

 ドクターの声の響きには静かな怒りがあった。 カノンはドクターの言うことを黙って聞いていたが、思い当たる節があったために言葉を遮らない。 ただ、”知ってしまった”のだな理解を示すだけである。

「分かっていると思うが、偽者はいつだって本物の居場所を奪おうと機会を伺っている。 ”この際”どちら……いや、誰が”偽者”かなど問うことに意味は無いがね、私は私の存在にかけて証明しなければならないのだよ。 私が私であるということを。 ”偽者”でありながらオンリーワンを主張したい私を君は笑うかね?」

「さて、私にはよくわかりません。 ただ、誰かのオンリーワンになりたいという話ならば、今ならばお答えできるかもしれんが」

「ふむ、そういう感性はまだ私にはないな。 余裕が無いのかな。 私はまだ私を認められてさえいないのだから外に目を向ける余裕がないんだ。 そのうちあの二人と直接出会った”私”ならば理解できるだろうとは思っているのだがね」

「だから、そのためにも行動を早急に起こしたいと?」

「そういうことさ。 プロジェクトFで生まれたものがオリジナルと出会ったらお互い、気持ちが悪いと感じるだろう。 人間を再生する魔法プログラムの場合はそもそも世界が同一存在を認識できないから存在できないと聞く。 全く同じというわけではない類似品<プロジェクトF体>には、類似品なりのプライドがあるということなのかもしれない。 まあ、これは私という存在の自己顕示欲の強い”個性”がそう思わせているだけなのかもしれないがね。 居なくなった後に生まれるというのならまだしも、時間差で居るのは酷く気持ちが悪い。 お互いがお互い、苦笑すると同時に相手を睨みつけたものだ」

 そういうと、ドクターは自らの手を掲げてみせた。 カノンは釣られるようにそれを見る。 意味は無くとも、しかしドクターが何かを掴もうとしていることだけは分かる。 それは、そういう意味を込めたアクションだった。 硬く硬く握られたその拳は確かに何かを掴んでいる。 野心か、希望か、もしかしたら普通に生活を営む人間が自然と持っている自由とか明確な自分自身の存在証明だったのかもしれない。 アウトサイダーに生きてきた男がその手に握りたい未来とは一体なんなのだろうか? ふとそんなことを思ったカノンだったが、それを尋ねることはしない。 ただ、メリットとデメリットを計算する。 そうして、協力するのであればどこまで求めてくるのかを確認するだけに留めた。 何せ、時間が無いのである。

「私と組みたいという話ですが、私は別に彼を殲滅するわけではありませんよ? そこまでできると妄信できるほど私に力はありませんよ?」

「ああ、それで構わないよ。 だが、私一人よりもマシだろう? だから私も便乗させて欲しいと思っているだけさ。 そのついでに彼に対する嫌がらせもするし手を組んだ君に手をかそうとも思っている。 その後で、私は私の戦いを始めるだろう。 ただ、そのためには大きな花火<管理世界に対する火種>という曖昧なものを打ち上げなければ自由になれないが、実はそんなものは今でも実は簡単に打ち上げられるのだよ。 他でもないこの”次元犯罪者”たる私は」

「いいでしょう。 貴方の反骨心だけは誰もが信じ認めている。 お互いに利用するとしましょう」

「ありがとうカノン君。 なに、後悔はさせないさ。 この私の”プライド”にかけてね」

 ドクターはカノンの手を取ると、歓喜のあまりオーバーにシェイクハンドする。 カノンは相変わらずパフォーマンス過多のまま変わっていないドクターを冷ややかに見上げながらも、少しばかりの期待もした。 無論、使えないなら切り捨てるだけだがそれはお互い様である。

 自分だけでは厳しいという事実がある。 少しでも確率を上げるためならば、ドクターと組むのも悪くはない。 互いに打算を持っているのは当然。 そして、失敗が出来ないのも同じ。

 彼は用意されたトリックスターである。 世界を混乱させ、その混乱に乗じて世界を新たな段階へとシフトさせるための布石にして歯車。 つまりは、使い捨ての駒でしかない。 だが、そんな駒であっても今を生きている。 生きている存在と同じように。 そのことにはなんら変わりは無い。

「さて、私は急いでいますのですぐに出ますがドクターはどうしますか?」

「ふむ、玩具をいくつか持って行きたい。 ……少しばかり時間をもらえるかね?」

「一時間も待てませんよ? それに、貴方を監視している連中をどうするんです?」

「なに、そんなものは当の昔に”君が無効化”しているじゃあないか。 気にする必要は無い」

「”貴方”が無効化する手腕を期待していたんですけどね」

「やって見せろというのならばしても良いがね、時間の無駄さ。 なにせ、”ほら”もう半分は私の手駒だ」

 パチンと何気ない動作で指を弾くドクター。 その小気味の良い音を聞いた瞬間、カノンは目を瞬かせて唇をニヤリと吊り上げる。

「――お見事」

 会話の間に、既に半分セキュリティが”落されていた”。 全く持って、油断ならないことである。 だが、”この程度”がこなせなくては自由など夢のまた夢だ。

「では急ごうか。 私の花火を彼が”気に入ってくれる”といいのだがね」

「さて、想定の範囲外の物でも持ち出さない限りは無理でしょう。 少なくとも、並大抵のことでは揺るがすことは出来ない」

 お互い、振り返りもせずに駆け出していく。 時間が無い。 誰も彼にも。 正に時は金なりである。 全ては運命の紡ぐ必然に導かれて加速していき個人の運命を飲み込んで濁流となって荒れ狂う。 それだけは表も裏も関係が無い。 後はその波に乗れるかどうか。 ただ、それだけのことでしかないのだ。















 時刻は夕刻。 世界が黄昏色に染まる街中を、クライドとリンディはなんとはなしに歩いていた。 特にどこかに行こうとしているわけではない。 ぶらりぶらりと歩くだけ。 映画を見終わってしまった後、その後のことを考えていなかったクライドが適当に街中を歩くようにしただけである。 その途中で目に付いた店に入って二人でウィンドーショッピングに興じたり、適当な喫茶店に入って喉を潤したりとひどくまったりとした雰囲気を楽しんでいた。 特に変わったことがあるわけでもない無為な時間だったが、しかし二人はただそれを満喫していた。 

 恐らくは、それを楽しめるのは二人が自然と腕を組むようになったからだろう。 ただ歩くだけでも、なんとなく気分が高揚するのだ。 散歩をするだけのでも、ただそれだけで良いと思える。 退屈を楽しいものに変えるそれは、三大魔法でさえ生み出せないとても優しい魔法だったのかもしれない。

 クライドは基本的に人込みが嫌いだ。 というか、人が大勢いる所にいることに違和感を感じるタイプである。 例外は側に誰かがいるときであるが、それだって集団となって溶け込むことで違和感を強引に忘れた振りをしているだけだ。 だというのに、今日はまったく気にならない。

 左腕にある繋がりが、そんなものを気にもさせなかった。 自分自身で現金だなと思う反面、まだこのままで良いと心の底から思う。

――だが、自覚してもいたのだろう。

 こんなのはただの逃避だ。 リンディとの時間にある心地良さに逃げているだけだ――と。 ズボンのポケットに突っ込んだままの右手が、握り締める”それ”の感触を忘れられていないのがその証拠だった。 

「――クライドさん、戻ってきてしまいましたね」

「そうだな……少し寄ってくか」

 いつの間にか、朝の待ち合わせの公園まで戻ってきていた。 帰宅を急ぐ人々の流れと、まだまだこれからを楽しむ者たちで公園の活気は健在である。 クライドはリンディを引き連れて公園に入ると、適当な空いたベンチを探していく。 すると、ふと奥の方にある池のボートに乗ろうとしているカップルが目に付いた。

(ふむ、締めくくりとしては上々か)

 適当に貸し出し場所の近くにある自販機で飲み物を買うと、先ほどのカップルと同じようにボートを借りた。 そうして小さなボートに乗り込んだ二人。 クライドがオールを操作し、ゆっくりと湖上を進んでいく。 

「そういえば二人でボートに乗るのは初めてでしたね」 

「そういやそうだったな。 ふわぁぁぁ」

 大あくびを一つして、クライドはオールから手を離すとリンディに預けていた自分の分のカフェオレのプルタブをあけ口をつける。 誰かさんの趣味に合わせて同じのにしたそれは酷く甘い。 とはいえ、別段普通の甘さならば問題はない。 まろやかな甘味と一緒にデートの雰囲気を味わうそれは、何故かいつもよりも美味かった。

「今日はブラックのコーヒーじゃないんですね」

「偶にはな。 最近はずっと微糖か無糖ばっかりだったし……」

「ふふ、グリモアさんですね?」

「いつからだったか……グリモア君は何故か俺の身体を気にしてくれるようになったんだ。 初めの頃は色々と心配かけたりしてたからなぁ……」

 今でも色々と気を使わせているという事実を棚上げにしながら、クライドは当時を振り返る。 恒例のくじ引きではなく、人情人事で決まってからあの無感情娘と随分と一緒の時間を過ごしたものである。 初めは面倒くさかったというのが感想だったが、今ではもう彼女は大事な研究室の一員だ。 今ではあの無機質な顔にも、表情豊富にあるということをクライドは知っている。

 彼女は喜怒哀楽が常人よりも希薄で、それをスマートに表に出すことが苦手なタイプなのだろう。 稀にああいう人間もいる。 そんなタイプの連中と付き合うコツは、まず第一に根気である。 彼女からすればそれが普通なのだから、こっちはそれが普通であるとまず理解して接すれば良い。 ただそれだけで、その無表情さを楽しむ余裕が生まれるものだ。 後は時間がどうとでも解決してくれる。 だからこそ、今があるのだ。 そう考えると、知らず知らずのうちにクライドから苦笑が零れた。

 リンディはその顔を見て、少しモヤモヤとしたものを感じた。 クライドからすれば単なる職場の助手程度の意識でしかなかったのだろうが、リンディからすればそれはあまり心地良いものではない。 その苦笑の中にあるのは確かな信頼であり、気安さだった。 自分が知らない時間の中で培われた関係。 決して、自分には理解できないその時間。 それを想えば、少しばかり感じるものがあるのは当然のことだった。

 それを不満だと言うような真似はできない。 自分でも分かっている通り、それはさすがにどうにもならないことだからだ。 リンディ・ハラオウンは執務官である。 それがれっきとした事実であるし、それを捨てて自分もクライドの助手になるなんてことができるはずがない。 気になる相手のことを全部知りたいという欲求に従って、補佐にならないかと言ったこともある。 デバイスマイスターとしては悪い話ではないはずだったが、クライドが出世には興味が無いタイプの人間だったから却下の一言で斬って捨てられている。 なんとか保留扱いにさせたままでいるが、それでもやはり彼がそれを受けることはないだろう。 

 我侭だと我ながら思っていた。 だが、欲張りをしたい気持ちは消えてはくれない。 全部まとめて欲しいものは欲しい。 そう思う自分を酷く浅ましいなぁと思う反面、悔しく思うものである。


――色恋沙汰は惚れた方が負けなの。 いいリンディ? だから、絶対に相手に惚れさせなさい。


 そうして、主導権を握れと友人は言っていたがそんな高度なテクニックが本当に目の前の男に通じるのだろうか? 日頃からの戦歴を考えれば絶望的である。

(い、いけないわ。 いつの間にか弱気になってる)

 あの日に決めたことがある。 今日という日に、一世一代の賭けに出るのだ。 そう明確に決めていたはずなのに、いざとなれば怖いものである。

(どうしよう。 やっぱり止めておくべきなのかな……)

 本当は、合流してから真っ先に実行しようと思っていたというのに、少しばかり普段と違うクライドのせいでその目論見は潰えた。 タイミングがアレだったというのもあるが、腕を組むというのが初めてであったから舞い上がってしまったのだ。 正に不覚である。

「ん……仕事のことでも考えてるのか?」

 ボーっと何事かを考えているリンディの様子を訝しんだクライドが問う。 
 
「い、いえ。 な、なんでもないですよ」

「あー、つまらんか?」

 映画を見て、適当に街を歩いて公園のボートに乗ってまったりする。 クライド的には別段そういうのもそれっぽくて良いかなと思ってはいたが、相手は違うのかもしれない。

「え、と……そういうわけじゃありませんよ? ただ、ちょっと”私たち”のことを色々と考えてただけです」

「”俺たち”のこと?」

「ええ、もう随分と長い間私たちは”こんなまま”でしょう? どうしてかなぁって……」

「あー……」

 クライドはそれを聞いて居心地悪そうに頬を掻く。 元凶が自分にあるという自覚が少しはあっただけに、言外に責められているように感じた。 ボートの上という密室のせいで、その空気から逃げられないという事実もあってか肩身が狭い。

 思い返せば、随分と”潰してきた”ものである。 それはもう色々と。 リンディがもし婚期を逃したら、それはもう自分のせいだという自覚がクライドにはある。 リンディが特定の誰かと付き合うと明言すればそれも終りではあるが、どういうわけかリンディはそういう結論を出していない。 だが、薄々は理解していたのだ。 自意識過剰極まりない結論ではあったが。

「……クライドさんは考えたことはないですか?」

「考えたことが無いなんてことはないな。 むしろ、考えてるからこうなってるのかもしれない。 覚えてるか? 訓練学校時代に俺とディーゼルが戦った後のことだ」

「クライドさんのおかげでお爺様とディーゼルさんがとんでもない目にあったことですか?」

「違う違うそれじゃない。 俺はあの時、リンディに言ったよな? 『お前のペースで好きな奴を見つければいい』とかなんとか」


――後は”お前”の好きにしたら良い。 あんなの他人が決めるもんじゃないしお前はお前のペースで好きな奴を見つければいいんだ。 嫌だったら断れよ? こういうのは多分、誰かのためにじゃなくて自分のために決めるべきだ。 でなきゃ、”辛い目”にあうかもしれん――


 それは、あの時のクライドの精一杯の言葉である。 本来ならもっと早くに”リンディ”は自分の意思で誰かを掴むはずであったが、予想に反して関係はそのままになった。 それが、恐らくは一つ目のミスであり誤算である。

「……ええ、確かにそんなことを言われたような気がします。 あれ? もしかしてそれって今でも有効なんですか?」

「当たり前だろう。 今でも俺はそう思ってるんだから期限切れなどありえない。 未来永劫俺にとっては有効だ」

「あの、でもそれって別に私が”どちらか”を好きになった場合には適応されないんじゃ……」

「――いや、明確に選ばなければどうにもならん。 まあ、選んでも俺の場合は”条件付”になってしまうのでやはり難しいことにはなるわけだがな」

 さらりと自己主張しながクライドは言う。 条件付というのはまあ、色々と自身を取り巻く環境があるからである。

「……なんか、それってすごく”狡い”やり方ですね。 結局クライドさんは全部”後だし”ってことなります。 そんなの、すごく卑怯だわ」

「はっはっは、何のことだ?」

「――本当、酷い人」

 ジト目でクライドを見る翡翠の瞳。 だが、その前にある黒の瞳は揺るがない。 背一杯の強がりで目を逸らすことなく、真っ向から見据えてくる。 しかも、ニヤリと口元を歪ませてである。 実に手強い。 ならばとリンディは切り出すことにした。 計らずとも珍しく良いタイミングだった。 売り言葉に買い言葉である。 その勢いに任せて臨機応変にカードを切る。

「じゃあ、私がこれからディーゼルさんとお付き合いすると言ったら貴方はどうするんですか?」

「リンディがそれが良いっていうなら俺に是非はない。 今すぐにでもヴォルクの爺さんとこに連絡して今の立場を破棄する」

「――っ!?」

 間髪いれずに帰って来る言葉は情け容赦がなかった。 何の冗談もそこにはない。 本気の色を含む黒瞳にリンディはそれが本心であると悟った。 けれど、仮定にしたからこそ自分を保つことができたとのだと同時に思った。 これは明確な答えでもなんでもない。 思いを語っているのでもない。 それだけは、”勘違い”をしてはならない。 それは本当に、嘘偽りの無いクライド・エイヤルの言葉だった。 だから、彼女はもう少し踏み込んでいく。

「それは……私に女性としての魅力が無いからですか?」

「いいや、それがリンディの”自由意志”で決めた選択であるなら”俺”が止めることなんてできるわけがないというだけのこと。 けどな、大事に想えば想うほどそうしなきゃならない。 それができないんなら、とっととそいつは関係を断つべきだと俺は思う。 もう、いい加減リンディにはそんなお節介野郎はいらないだろう」

 もはや、彼女はあの頃のような可愛い妹分ではないのだ。 そういう微笑ましい目で見続けられる自信などクライドにはもうない。 そんな段階はとっくに過ぎさっているのだ。 彼女はもう心身ともに成長している。 そんな女性を前にして、いつまでも妹分扱いすることなどどうしてできよう。

「じゃあ、どうしてそのお節介さんは関係を自分から切らないんですか?」

「もう一人がいる以上、対抗馬が残っていなければ今までの意味が無くなる。 そして、それが良いって言われてない以上は動けない。 何せ、お節介野郎で臆病者だからな。 強制執行の可能性が残っているんなら動けない。 さらに自分の方にも問題を抱えてるんなら尚更だ。 それに何より、”警備員”やってる癖に金庫の中の”お宝”に興味を示しちまってる。 一体どうしろってんだ」

「え?」

「そいつは、義務感と矜持とテメーの問題をごちゃ混ぜにして言い訳にもしてる情けない野郎だ。 ただ、それでもやっぱり誰かさんの”自由意志”だけはきっちりと守りたいわけだ。 そいつは狡い奴で本当に”極悪”な奴なんだ。 だからさっさと見限ったほうがいいぞ?」

「本当、狡い人ね。 まるで他人事みたいに語るんだもの」

「そんなヘタレのことなど知らんからな。 恥ずかしくて知ってるなんてとてもじゃないが人様には言えん。内緒だぞ? そんなのと”知り合い”だなんて思われたら俺までヘタレだと認識されちまう」

 言い終わると、クライドは持っていた飲み物に口をつける。 しかも、視線を外してだ。 どうやら自分で言ってて後悔しているらしい。 情けなさと恥ずかしさでやや赤くなった顔がリンディにはとても可愛らしく思える。 眼つきは相変わらず悪い癖に、そういう子供っぽいところは相変わらずだ。 それがどこか可笑しくて、リンディは思わずクスクスと笑みを浮かべる。

「なんだ?」

「ふふ、なんでもありませんよ」

 あの頃から悪餓鬼というかそんな感じがあったものだが、大人になった今でもそんな雰囲気が普通に残っているから不思議である。

「何故か、そこはかとなく悪意を感じるんだが……」

「ふふ、被害妄想ですよ」

「むう……正直に言わないとこうだぞ」

 オールを両腕で掴み、クライドが再び船<ボート>を漕ぐ。 ただし、全力で。

「ひゃっ――」

 急発進に驚いたリンディが悲鳴を上げるが、その悪餓鬼は勿論その程度では止めてやらない。 ズンズンと漕ぎ出し相手が屈服するまで責め続ける。 本当、子供っぽい奴である。 いい大人のすることではないことは確かであったが、クライドはそんなことにさえ気がつかないままボートにしがみつくリンディを振り回していく。

「ちょ、クライドさん!?」

「ふはははは、さっさと降参しろリンディ。 でないともっとスピードを上げるぞ」

 公園の池を爆走する一台のナイスボート。 周囲の人間が生暖かい目で見ているということにも気がつかないまま、若い二人の羞恥プレイは一分は続いた。














「――全システムオールグリーン。 おはようございます、マイスター・アルシェ」

「おはようカノン。 良く眠れた?」

 白衣を来た小柄な女性は、そういうとニッコリと微笑んだ。 自分が目覚めたことが嬉しいのか、それともただ嬉しいことがあったからそうなのかはカノンには分からなかったが、それでもなんとなくそれが”嬉しい”と感じている自分に彼女は戸惑った。 理解できないそれを前にして、嬉しいなどと感じるということに違和感があったからだ。 一応自己診断プログラムを流してみるが、不具合は見つからない。 理由が分からないことが酷く、イライラする。

「また色々と見繕ってみたから、後で試着をお願いね」

「分かりました。 ……ですが、いいのですか? まだ私は未完成品です。 ユニゾン時の不具合もそうですし、機械仕掛けの心の起動も不完全。 兵装搭載スペースにまだまだ空きが認められますし、内臓の魔法プログラムも少ないです」

「んー、いいのいいの。 私のを演算できるだけでも十分おつりがくるし、ジルも最低限手を入れてくれているでしょう? だから、貴女はもっとこっちの勉強をしましょうね」

「……はぁ」

 ため息をつきながら、用意された服を着る。 その間、いつも思うことは自分の存在意義だった。 試作型のユニゾンデバイスとしてアルカンシェル・テインデルとジル・アブソリュートによって作られたはずなのに何故か完成していない状態のままにされている自分。 他のデバイスプロジェクトの方ではどんどんとプロジェクトが進行しているというのに。

 デバイスとは、魔力を持つ人間の武器だ。 つまりは、自分は意思を持つ武器であるはずだった。 なのに、今はその前提が変わっている。 今の彼女は――

「うん、やっぱり可愛いわよカノン」

――遺憾ながら、マイスターの着せ替え人形である。

 主の命令ならば仕方ないと思うカノンであったが、やはり挫けそうだった。 なまじ意思が在る分それに悩む。 その葛藤をもう一人の生みの親であるジル・アブソリュートに相談してみたが、彼は笑ってプロジェクトが変わったのだという。 プロジェクトの内容は、酷く馬鹿らしいものである。 なんでも、主<マイスター>であるアルシェと”姉妹喧嘩ができるデバイス”を作るというものだった。

「……ナンセンスです」

 そも、できるはずが無い。 主に反逆できないようにシステム構築されているというのに、一体どうしろというのか。 まるで理解できない。 当時のカノンにはそう思えてならなかった。 確かに、馬鹿馬鹿しいことだ。 だがそのナンセンスをアルシェはカノンに求め、それが可能になるためのシステムを組み込んだ。

 他のプロジェクトよりも格段に進んでいるから、遊んでいるのかとも思ったがそうではない。 やはり、彼女はそれをカノンに求めていた。 なんでも、”ベルカの友達姉妹”が物凄く仲が良いから妹チックなデバイスが欲しくなったのだという。 だから、”プロジェクト”を捻じ曲げてまでそれをするのだそうだ。 そして、姉妹と言ったら姉妹喧嘩よね? などとのたまってそれに変えたという。

 もともと機動砲精カノンのプロジェクトに携わっていたのはアルシェとジルの二人だったので、アルシェの意見をジルは二つ返事で飲んだ。 というか、ジル・アブソリュートはアルカンシェルの我侭であればなんでも聞くらしい。 そのせいで、自分の仕様が物凄く変えられたということを後から知った彼女は頭を抱えたものである。 

 鏡の前でアルシェに命じられた通りに訓練する。 可愛らしい服を着て、可愛く笑う訓練だという。 それに何の意味があるのかは分からないが、それでも言われた命令には逆らえなかったから彼女はそれに取り組んだ。 だが、何度も何度も言われたとおりに笑顔を作ろうとしたが、一向に主のようには笑えない。 鏡に映った自分は、無機質なままだ。 まるで人形だった。 それが当然なのだと思う反面、主のように笑えないことがどこか残念だった。

 笑うという行為はとても難しい。 それをああも簡単にやってのける主は凄い。 ただ、それだけは確かなことだった。 そうして、何日も何日も笑顔を特訓した。 杖喰い<デバイスイーター>はそんな彼女を無意味だと笑い、道具は道具らしくするべきだと言った。 だが、持ち主に命令されたのだから仕方が無い。 そういうと、彼は押し黙ってその論理矛盾を考え、一度無限ループに入って壊れた。 どうやら、彼にはそういうことを考える柔軟性というものがないらしい。 彼の方が人間臭いと思っていたが、どうやら自分の方がより”人間らしい”思考を持てるようだ。

 それが、もしかしたら搭載された機械仕掛けの心<マシンハート>システムの影響なのか。 柔軟性という部分では、デバイスの中では自分は群を抜いている。 そして、それの本当の効力を知ったのは随分と後のことである。 それは平然と主の命令に逆らえるようになってからの話だった。

「おや? 今日もまた可愛らしい服ですね」

「おはようございます、ジル・アブソリュート」
 
「いやだなぁカノン。 もっとフランクにダディ、もしくはパパと呼んでくれないかい?」

「ふふ、それじゃあ私はママかしら?」

「……その場合、私はこれからカノン・アブソリュートを名乗れば良いんでしょうか? それとも、カノン・テインデル?」

「……はぅぅ!?」

「……ぐふっ!?」

 そう尋ねると、二人して顔を見合わせ、今度は顔を紅く染めてからそっぽを向いた。 初めのうちは何故そんな反応を返すのかわからなかったが、カノンはそのうちにその意味を学んだ。 単純に二人が度を越えるほどの奥手だったというだけの話である。 外部から観察していると一見してバカップルに見えるのだが、単純に距離が近すぎるだけの他人であることはすぐに分かる。 二人の距離は限りなく近くて、そして遠い。 最後の一線だけは越えられない、なんとも不器用な二人である。

 そして、そんな二人だからこそカノンにそれを仕込んだのだろう。 機械に意思を持たせること程残酷なことはない。 機械を人間にしようとすること程、難しいことはない。 けれど、それでもどうせデバイスを作るのならばそういうデバイスを作りたい。 これから生まれてくるデバイス<隣人>たちに、それが産みの親たちからの素敵な贈り物として与えられたならば素晴らしいことではないだろうか? それが、アルシェがカノン<自分のデバイス>に抱いていた本当の願い。

 唯の道具として終わらせるつもりが無かった。 そういうのが専門ではないから苦労したが、それでも自分なりに作り上げたそのシステムは今できる最高であるとアルカンシェルは信じていた。 後は、ただそれが真の意味で駆動できるまでカノンが経験値を貯めるだけ。 どれだけの時間が掛かるか分からないが、それでも何時かきっとその場所へと辿り付ける。 それは、そこがアルハザード<知識の墓場>だからこそ可能な、時間を超越した先にある未来での話。 未完成な部分を多く残しているのは、実はそれが成しえてから残りを搭載しようと考えていたからに他ならない。 大体にして、そのままでもカノンの能力は常軌を逸しているモノを持っている。 凡そ当時に現存するデバイスの中では単独行動可能なデバイスとしては最強クラスである。 それ以上をつぎ込む意味がない。 第一、戦線に投入する予定などないのだ。 アルハザードは次元世界の中で最強にして不可侵の聖域。 遍く次元世界の中にあって、ただただ永遠を刻み続ける箱舟なのだから。 ジル・アブソリュートはアルシェを守るための保険のようにも考えていたようだったが、それでも彼女が誰かと戦うなどということは無いはずだった。

「どうしたんですか?」

「カノン、そういう冗談を言えるほどに成長していたのね!!」

「いやぁ、アルシェの教育の賜物ですね!!」 

 二人して何かから逃げるように、笑う。 相変わらずのチキンな二人である。 そんなだから何百年生きていてもそうなのだ。 嗚呼、そうだ。 ”そんなままでいたから”駄目になったのだ。


――暗転する視界。


 その先にあるのは、笑いあう両親の顔ではない。 どこか狂った笑顔を振りまく主と、微笑を浮かべたまま気持ちが悪いぐらいに”笑っている振り”をしているだけの黄金の男だ。

「カノン、君にはベルカで小型ユニゾンデバイスの開発の手伝いをしてもらいたい」

「――お願いカノン。 これからは彼の手伝いをしてあげて」

「……はい。 マイスター・アルシェ」

 主の命令には”まだ”逆らえない。 今までもそうだった。 そして、これからもそうなのだろうとずっと思っていた。 やがて、ベルカで研究を手伝い自身の不具合を克服した形での形態が完成した。 ただ、それはあまりにも自分のそれとは違いすぎた。 求められたものは確かにそちらのほうがより正確であったが、それでも単純に戦闘をしたならばカノンの方が有用である。 そういう自負が自分の中にはいつもあった。 あるいは、その自尊心はマイスターの父親の持つ口癖の影響だったのか。 より確実で、実用性の高い兵器。 それが、彼女である。

 出来上がったそれらを融合機<ユニゾンデバイス>と呼ぶとすれば、カノンは兵装機<ウェポンデバイス>であろう。 彼女が自身を既存のデバイス範疇から外れていると自覚しているからこそ、そう考えた。 ユニゾンデバイスとは似て非なるもの。 類似品にしてそれとは違うもの。 彼女はデバイスにしてデバイスに非ず。 そして、誰よりも使用者を選ばないデバイスであった。

 その後のことは、特に思い出しても楽しいことなどない。 偶々ミッドチルダで別の手伝いをして欲しいと言われてそちらに移った後にアルハザードとアルカンシェルが次元世界から消えた。 そして、それから少ししてから今度はベルカが消えた。 アルシェの最後の命令を忠実に守り続けたが、そのせいで彼女は表舞台から完全に姿を消していた。 機動砲精カノンの行方を知る者はもう、誰もいなくなっていたのだ。

 ジル・アブソリュートでさえ恐らくはもうその存在を忘れ去っている頃だろう。 いや、或いはシュナイゼル・ミッドチルダ<魔導王>に組する敵だと認識している可能性だってある。 それは悲しいことであるが、今はそんなことはどうでも良い。 彼女にとってはもうアルシェ<母>やジル<父>よりも大事な人が出来てしまったのだから。 目の前にいない人ではなくて、すぐ近くにいる人を守りたいと思う。 機械の枠組みを越えて回る歯車<魂>がそう言っている。 だからこそ、彼女は躊躇をしない。 何が敵であろうとも、”自我”を通すことを覚えた機人はだからこそ進むのだ。

 それを取得選択できる自由こそが、あの頃の母<アルシェ>からの贈り物だと胸に誇りながら。


――最適化<夢>終了。 


「おや? お早いお目覚めだねカノン君」

 ゆっくりと目を開けたその向こう、一人の科学者が次元航行艦の操舵をしながら楽しそうに振り返ってくる。 本当に彼が操縦しているというわけではない。 オートメーション<自動操縦>が勝手にその地点を通るようにしているから、彼は単純にシミュレーションをしながら遊んでいるだけだ。 
「……まだやってたんですか?」

「ああ、存外楽しいものだね。 車の免許さえもっていないのだがね、もう”なんとなく”動かし方を理解してしまったよ」

「そうですね、”それを操れる”貴方も過去にいました」

「ふーむ、なるほど。 今ならようやく納得できるかもしれないね。 ちなみに、その次元航行艦を操舵していた私はどうなったのかな?」

「死にました。 航行艦を乗っ取って逃亡する最中に、追撃に出た杖喰い<デバイスイーター>の艦船にアルカンシェルを撃たれて」

「なるほど。 いやぁ、それにしても大盤振る舞いだねぇ君は。 私の知らない未知を次々と教えてくれる。 もしかしたら、君は私の知りたいことを全て知っているのかい?」

「いいえ。 全てを知っているわけではありません。 例えば、”彼の拠点”の場所などを私は知らない。 私が知っているのは利用していたいくつかのアジトだけです。 彼は存外臆病者なんです」

「ああ、かもしれない。 だから、好悪が反転したドクター<オリジナル>を”消してより扱いやすく制御しやすい”私たち<無限の欲望>を生み出した」

「都合が良かったんですよ。 人間はふとした切っ掛けでそれを反転させる。 特に、彼の前ではそうだ。 たった一つの亀裂でもあれば、そこから崩れることがある。 人間の気持ちは永遠には続かない。 永遠に見えてもいつも揺らいでいる。 だから、繋ぎ止めて置きたい人間の前ではボロを出さないように彼は努めていた。 恐らくは今も、そしてこれからもずっと」

「難儀だねぇ彼も。 それにしても……人間を語る機械か。 随分と皮肉が利いているね?」

「ですが、事実です」

「では、君はどうなのかな? 君に与えられたというその特異な機構は、永遠を刻めるのかな?」

「当然でしょう、私がそれを望み続ける間は”何人たりとも”私の意思を挫けない。 それができる例外は次元世界で一人しかいません」

「そうなのかい?」

「近いうちに合流しますよ。 私が拉致してきますから」

「はは、それは楽しみだね」

 そういうと、ドクターは笑みを浮かべると航路のデータをカノンの前に送った。 表示されているそれには、今後の予定が書かれている。 一応カノンの用意していた予定であったそれをドクターもまた検討していたのだ。

「一部変更してみたよ。 私の判断からいけば、それの方が良い」

「……いいのですか? 何かあったときには貴方が大変な目にあいますよ?」

「構わないよ。 管理局には見つからないしね、気長な一人旅を満喫させてもらうだけさ。 それに、その彼とはできるだけ行動を共にするべきではないだろう? その後の計画でもそうだ。 一番危険なのは彼と行動を共にする時間が長くなることだから、私が君たちと別れて単独行動するほうが都合が良い……違うかい?」

「間違ってはいません。 ただ、それは貴方への私からの信頼を考えれば危険だと判断していました」

「ほう?」

「ですが、貴方はもうやる気になっている。 そんな目をしている人は、多分私を裏切らないでしょう。 だから、”それで”行きましょう」

「……驚いた。 そんな感性だけの判断で、判断できるのだね君は」

「人にして人に非ず。 機械にして機械に非ず。 私が立っている場所はその境界です。 だからこそ、どちらも理解できる」

「へぇ……興味深いな。 口数もかなり増えているし、表情も豊かだ。 それが今の君かい」

 ドクターはその言葉に些か驚いたように目を瞬かせる。 やはり楽しいことだけは確かだったから、こんな”生意気”を言う機械も悪くないと思った。 裏側に生きてきた機械が、人と機械の境界に立ちその先へと行こうとしている。 なら、自分もこんなカビの生えた裏側の暗黒を越えていけるのかもしれない。

 裏側の日の当たらない場所にはもう飽きた。 ならば、表返って世に出るのもそんなに悪いことではないのではないだろうか? 自己顕示欲が刺激される。 誰にも知られない裏などいい加減クソ喰らえだ。 それに”彼<スカウトマン>”との約束もある。 なんとしても、ドクターは生き残りたいのだ。 だからこそ、彼女との利害関係は構築したままでいたかった。 多分、それが一番生存確率が高いと彼は踏んでいたから。

「さて、ではそろそろ行ってきます」

「ああ、噂の彼をしっかりと拉致してきてくれたまえ」

 ドクターに見送られながら、カノンはブリッジを後にしようとする。 だが、ふと足を止めて振り返る。

「そうだドクター。 次に会うときは”ボク”のことをグリモアと呼んでください」

「グリモア?」

「ボクの今回のコードネームです。 マスター・オブ・グリモア<魔道書の主>を監視する任務には適当な名前でしょう?」

「……君、ネーミングセンスはあまりない方なのかな?」

 もしかしたら、彼女にとっては会心の名前だったのだろうか? あまりにも安直過ぎ、遊び心が足りないとドクターは思った。

「……センス無いですか?」

「ああ、まったく無いね」

 恐る恐る尋ね返してきたグリモアをドクターはやはり一刀両断。 もしかしたら、気に入っていたのだろうか? 愕然とした表情を浮かべる彼女を前に、さすがのドクターもそれ以上追及をすることはやめた。

「……」

「……」

 しばし嫌な沈黙が流れたが、グリモア軽く咳払いをするとなかったことにして口を開く。

「ん、やっぱりドクターはいつも通り呼んでください。 それでは、行ってきます」

「あ、ああ。 いってらっしゃい」

 自動ドアの向こう側へと消えていく小さな人影。 その姿を見送りながら、ドクターはやれやれと首を振ると自分の作業を進めていく。 失敗は許されない。 タイミングは心得ているし、仕込みも上々だとは思うがそれだって本当に作動するかは判らない。 だからこそ、彼女たちが必要なのだ。 相手側に”自分”がいたという事実がある。 そいつが邪魔をしている可能性だってあるのだから。

「まあ、本当は今回は”どうなっても”良いんだけどねカノン君」 

 薄く笑みを浮かべる。 ”この”ドクターしか知らない”彼”。 少なくとも、彼のその後は保証されている。 死にはしても、後に続く。 だからこそ、ここで”彼女たち”に全力で協力するのだ。 無論、生き延びられれば最高だ。 何せ、今の自分のままで”アルハザードへの扉”が開くかもしれないのだから。 それがあると知って、夢に見ない技術者はいない。 そんな技術者はモグリでしかない。 だが、それでも全ての技術者が皆等しくそこに行きたいというわけではない。 ましてや、”自力”以外の要素で辿りつくのは面白くないではないか。

「約束は守ろう。 自力か、それとも君の手によるそれによるのかは分からないがね」

 誰に言うでもなく呟くと、ドクターはミッドチルダに降下していく彼女をモニターで見る。 彼女こそ、テインデルの遺産<デバイス>にしてもはや忘れられたロストロギア<デバイス>。 スペックはやはり、途方も無い。 艦船の制御を乗っ取るぐらい容易く、未完成でありながら完成品と遜色ない。 正に、アルハザードが生み出した崇高な技術の結晶だ。 三大蒐集機とさえやりあえるだろう。 ただ、古への王や魔導王と対峙しても無事でいられるかは別である。 アレらはそもそもの規格が違う。

 何がどう違うのかはドクターにも明確には答えられなかったが、それでも思った。 これは”分”の悪い賭けだと。 けれど、その分の悪い賭けに彼が乗ったのはこの機会を逃せば後が無いだろうと分かっていたからである。

 彼はドクターにはっきり明言した。 ”アルハザードが数年後に虚数空間から浮上する”と。 だから多分、”そう”なるだろう。 暗黒の深淵にたゆたう伝説の地が、伝説に謳われる都が、何故に今になって浮上するのかなんて考えるだけ無駄だ。 けれど多分、それはきっと”そういうこと”になるのだろう。

「ふふ、シュナイゼルも本当に大馬鹿者だ。 心底怖いよ私は。 ”昔の私<オリジナル>”はどうしてそれができたのか、今の私には到底理解できない。 或いは、それが君の能力なのかな。 とはいえ、ああ、君はナンセンスだ。 とてもとても、ナンセンスだ」

 トランスポーターでカノンが消えた後も、ドクターはしばらくそのまま思考を疾走させていた。 広がっていく知覚が、知識を越えた実感となって蘇っていく。 刻まれてきた無限の欲望の螺旋が叡智となって蘇っていくのを感じるのは、ただそれだけで甘美であった。 失った自分が帰って来るような、そんなしっくりと来る感覚がある。 そうして、取り戻していった自己の内にある余分なものをろ過機で越し、取り出していく頃にはドクターは自身の手が震えていることに気がついていた。

 武者震いではない。 それはとはまた別の理性を超えた恐怖であった。 彼との契約によって軛を外された今、少しずつ蘇っていくオリジナルの記憶とあの一瞬の邂逅で出会った彼のことを思い出すだけでこうなるのだ。 反骨心の塊だと自負してきたその自己認識さえ、粉々に粉砕された。 アレは、そんな次元で語って良いものでは断じて無い。 闇の深淵の彼方より、楽しげに”見護る”だけの存在。 夢でも幻でもない、荒唐無稽の御伽の彼方に住まう住人だ。 自分の元に現れたのだって、きっと気まぐれか道楽の一種だ。 つまりはそうだ。


――きっと、彼は彼<シュナイゼル>など微塵も脅威に感じていないのだ。


 恐らくは気に留めてさえいない。 気の毒なことだ。 酷く酷く気の毒なことだ。 それはきっと、無意味なことなのだろう。 絶望さえも呆れるほどの屍を並べても、どれだけの時間をつぎ込んでも、何かが決定的に違うためにその違いを埋めぬ限りは到底届きはしないだろう。 この世界にいる誰も彼もが。

「本当は、誰がこのシナリオを動かしているのだろうね? 全てを思うがままに出来ると妄信している愚者か? それとも、ただただ見護るだけに終始する貴方か。 それとも現場に直面する私たちなのか――」




――それは決まっているさドクター。

  シナリオを動かすのはいつだって”その世界の中心”に立つ者だ。

  余でも神でも魔導王でもない。

  勘違いしないでおくれよ。

  その道<結果>を選んだのは君たち一人一人の選択があってこそだ。

  全ては”道程を自らで選び、立ち続ける君たち”が決めた結果だ。

  何故余ではないのか?

  当然であろう。

  余が好き勝手したら、それこそ全てがご破算だ。

  何もかもが、皆等しく意味を失う。

  それでは何も意味が無い。

  絶望的に意味が無いのだよ。

  もう、あんなのは御免だ。

  永遠を無価値にするコトほど、罪悪なものはない。

  輝きをただ蝕むほど、醜悪なことは無い。

  それは倦怠と磨耗を生み出し、耐えがたき永劫と苦痛を生み出す源泉となる。

  永劫に続く、無限の地獄の再来だ。

  だから、余は選ばせるのだ。

  君に、彼に、彼らに、彼女に。

  それを忘れないで貰いたいものだ。



 狂ったロンドの調べに乗って、どこからともなく響いてくる少年の声。 ドクターは冷や汗を流しながら、その一字一句を脳髄にしかと刻んだ。 恐らくは、これから先どこまでいっても彼の言葉の意味を理解することはできないだろうと思いながら、それでもその言葉を記憶した。

 意味は理解できずとも、その言葉には少年なりの意味があるのだろう。 言葉を聞いてからどうするのか、選択する権利だけは常に自分にある。 それだけは、確かだった。 とはいえ、少年が嘘をついているだろうということも”なんとはなし”に気がついている。 嘘と本当の両方の混ざった言葉。 彼が出てきたという時点で、そういう選択をする材料を彼が彼らに提供しているということだけは忘れてはならない。 それが、未来への干渉になるのかは知らないが本来選ばない選択を選べるようになるという点で言えば彼のそれは干渉になるはずだろう。

 本人はそれをやはり、あくまでも選択者の責任だと哂って言うのだろうが。

「肝が冷えるよ。 まったく、そことここをどうやって繋げているのやら」

 肩を竦めて、やれやれとポーズを取る。 誰も視てはいないだろうに、それでもそれを見た誰かが苦笑しているようにドクターは思った。












 ボートを降りた二人は、適当なベンチに二人して腰を下ろしていた。 楽しいデートももはや終焉の時を迎えている。 ラストを飾るのは勿論あれだ。 クライドが踏ん切りがつかない先の指針を得ようと、それを取り出す。 それは、唯の一枚の金貨<コイン>だった。

「……なんですか、これ? お金ですか?」

「ああ、多分どっか管理世界外の奴か何かのだと思う」

「へぇぇ……」

 どこか神妙そうな顔でリンディはそれをしげしげと眺める。 五芒星の絵柄のある表と、数字が描かれている裏。 まるで、あのアルハザード式のデフォルトの魔法陣そのものであるが、クライドはそれに気づいていない。

「実はな、一つ頼みがある」

「頼み、ですか?」

「ああ、なんというか……その、なんだ。 とりあえずそれでコイントスしてみてくれないか?」

「コイントス?」

 首を傾げるリンディからコインを受け取ると、クライドはそれを指先で弾く。 宙を舞うコインがゆっくりと回転しながら上昇し、重力の抱擁を受けて落下する。 その落下地点はクライドの手の甲である。 さらに、コインが甲にに乗った瞬間にそれを受け止めた左手ではない右手で隠した。

「こうやってコインを投げて隠す。 んで、裏か表かどっちが出るのかを予想するのが普通のコイントスって奴だ。 まあ、軽いゲームみたいなもんだな。 お、裏が出たな」

「へぇぇ随分とお手軽ですね?」

「といっても、何か賭けごとをして勝負するときなんかに使うのがメジャーだと思うんだが……」 

 しかし、今日のそれは賭けではない。 自分の未来を決める選択をリンディにこっそりと委ねようというのだ。 それも、恐らくは”クライド”の名を持つものにとって意味がある彼女に。

「ということは、クライドさんは私と賭けで勝負がしたいんですか?」

「んん……そうだな。 折角だからなんか賭けてみるか。 じゃあ、こういうのはどうだ? 表……絵柄の方が表で、数字の方が裏だ。 表が出たら俺が一つだけなんでもしてやるよ。 裏が出たら、その変わりにリンディが俺の言うことを一つきくんだ」

「な、なんでもですか?」

「ああ、滅茶苦茶なことや倫理道徳を越えないことで何か……な」

「……いいですよ。 それで行きましょう」

「お? 乗り気だなぁリンディ。 何か俺にして欲しいことでもあるのか?」

「勿論、ありますよ」 

「夜は高級なレストランに行こうとかか? 給料日前は勘弁してくれ」

「私は食いしん坊ではないんですけど?」

「じゃあ、ケーキバイキングに付き合えとか?」

「もう、食べ物ばっかじゃないですか」

 どんな目で自分を見ているのだと、抗議の視線を向けるリンディ。 クライドはくくっと笑いながら、頭の中で食いしん坊リンディを創造する。 想像ではない。 あくまで、創造であった。 きっと丸い。 もうものすっごく丸いのだ。 そうして、腹いっぱい主義の自分と勝負するリンディを考える。 考えるが、創造した物体Xは何故か自主規制のモザイクが掛かっている。 どうやら、クライドのロマン脳がそれを創造することを拒んでいるらしい。

「――い、いかんな。 創造するのも難しい」

「創造?」

「うむ、アレはもうリンディではないな」

 さすがに、冒涜だった。 もはや二度と創造すまいと考えながら、クライドはコインをリンディに手渡す。 リンディは相変わらず理解不能なクライドの言葉をスルーすると、手に取ったコインを右手に持ち念を込める。 ついでに、乙女の純情も混ぜてみた。

 そのせいで魔力の一旦が開放され、クライドがベンチから吹き飛ばされそうになったが、そんなのはご愛嬌である。

「そ、そんなに邪念を込めなければならんのか?」

「なんでも、ですよ? この機会を逃す手はありません。 それに、込めるのは邪念じゃあなくて純真です」

「わ、訳が分からんが俺はもしかしてとんでもないお願いをされるのか?」

 良く在る景品のつもりで差し出したのだが、予想外に食いつきが良い。 というか、良すぎる。 クライドは今にもゴゴゴゴッっという擬音が聞こえてきそうなほどの圧迫感に襲われた。 何故か、背中に戦慄が走った。

「じゃあいきますよ? えいっ――」

 クルクルと、ミッドチルダの夕日を乱反射しながら弾かれたコインが宙を舞う。 ただ一つの答え<結果>を求めて回り続ける。 その答えが、彼にどんな決断をもたらすかも知らずに純粋な願いを込めたコインが回る。

 表が出れば、クライドは人に頼る。 裏が出れば、一人でどうにかする。 ただ、それだけのことだった。 けれど、行き詰った男はそんな二つに答えを出すことに迷っていた。 怯えていた。 どちらを選んでも、きっと何かが変わる。 そんな予感があった。 ソレと同時に、もう一つ思うこともあった。

 クライドがクライドの判断で物語を勧めるからこそ終局に向かうのではないかと。 自分だけの運命に沿って進むだけだからこそどうにもならないのかもしれない。 一人ではできないことも、二人いればできるようになるかもしれない。 もっと多くを巻き込めば、運命だって多様性を孕んで膨らみ、超越を許すかもしれない。

 それは夢想だ。 ただの、希望的観測に他ならない。 けれど、さっき裏を出した自分には出せない答えを、彼女ならば出せるのかもしれない。 それだけは、確かなことだった。

 コインをリンディの左手の甲が受け止める。 それと同時に、被さった右腕。 運命の分岐点を指し示す回答がその手の中に確かにあった。 後は、その答えを知るだけだ。

「……」

「……」

 思わず、クライドもリンディも息を呑んだ。 答えを隠した右手が、ゆっくりと答えを見せていく。 そこには、きっと二人の求める答えが埋まっているはずだった。 

「――あ、表ですね?」

「……表だな」

 目を瞬かせながら、二人して互いを見る。 それが、答えだった。

「クライドさん、約束はどうします?」

「あー、まあいつでもいいぞ」

 完敗だとばかりに肩を竦めると、クライドは懐から禁煙パイプを咥えながらベンチから立ち上がって天を仰いだ。 それが答えだというのなら、是非は無い。 ただ、どこかで彼女ならそうなるかもしれないと思っていた自分に苦笑するだけだ。

 恐らくは、自分が投げれば裏しかでなかった気がする。 彼女だからこそそれを出した。 そんな気がするのは、自分だけなのだろうか? 何十回何百回やり直したら、どうなるだろうか。 取り留めの無い思考を浮かべながらも、クライドは腹を括る決意をした。 それが、多分きっと良い方向に繋がると信じて。 苦笑を彩る口元の歪みが、彼の今の心情を物語っていた。

 なら、全部話そう。 この結果を選び取った彼女に。 闇の書のことを、ザフィーラのことも、そして何より自分のことも。 いい機会でもあった。 それで、楽になってしまおう。 今までのクライド・エイヤルではいられなくなったとしても、これからのクライド・エイヤルを始めるために。ベンチに座った彼女に振り返りながら、クライドは口を開く。

「そうだ、リンディ。 いうことを聞く前に少しばかり知ってもらいたいことがあるんだ。 俺さ、実はや――」

 その後に、どんな言葉が続こうとしたのか。 それをリンディが知る機会はなかった。 言葉を紡ごうとした青年は、次の瞬間には倒れこんでいた。 何者かに、胸部を狙撃されて。

「クラ――!?」

 目を見開くリンディがベンチから立ち上がって駆け寄るより早く、クライドの体が地面に倒れる。 それと同時に、周囲に展開されていく結界。 世界が夕暮れよりも暗い夕闇に沈んでいく。 それさえも今はリンディにはどうでもよかった。 ただ、駆け寄ってクライドの体を抱き起こす。 心臓が止まってしまいそうな恐怖に襲われながら、無我夢中で確認した。 死んではいない。 呼吸はあるし、心臓だって脈打っている。 これは、典型的な魔力攻撃によるノックダウン現象だろう。 だが、どうしてクライドが?

「くっ――」

 バリアを展開し、周囲を探る。 そこで初めて、リンディはそれを行った連中を知る。 二人を囲むようにしてやってきたのは、時空管理局員であった。 皆一様に、緊張した目をしている。 数は十人弱。 だが、外で結界を張っている連中がいるだろうことは想像に難くない。 彼らはそういう”連中”だったはずだ。

「ハラオウン執務官ですね? その男を引き渡していただきたい」

 一歩前に出た隊長格の男は戸惑いを浮かべている執務官にそういう。 隊長としても、余計なことでこの目の前の女性を怒らせたくはない。 理解しているのだ。 その気になれば、今ここにいる全員を彼女が制圧できることを。 だからこそ、努めて冷静に合理的に話しを進める。

「これは、”正規の任務”です」

「――っ!?」

 それは正に、伝家の宝刀である。 管理局が承認し、管理局が必要であると判断した作戦であるというのならば、それを一介の執務官が邪魔をすることはできない。 何よりも法を遵守しなければならない人間が、その法を決定している機関に逆らうことなどできないのだ。

「……この人の罪状は? こんな手荒な真似をしなければならないほどの罪があるというのですか?」

「彼は、闇の書の主です。 ならば、これでもまだ生ぬるい」

「闇の書の主……クライドさんが?」

 信じられない。 リンディ・ハラオウンにはそんな言葉は到底信じられることではない。 管理局がそうだと言ったところで、そんな”知らない”ことを言われたところでどう信じろというのか。

「嘘です、彼はそんな人ではないわ!!」

「嘘だろうと真実だろうと関係はありませんよ。 そういう命令が上から出された。 それが事実です。 だからこそ、我々がここにいて動いています。 誤解ならば調べ上げた後でいくらでも謝罪しましょう。 ですが、我々は我々の責務を果たすだけです。 次元世界の平和を護るためにね。 さあ、その男を寄越してください。 公務執行妨害で貴女を逮捕する権限を我々が行使する前に」

「……」

 悔しげな顔でリンディはバリアを解除した。 土台、逆らえるものではない。 正規の部隊の活動を止める権限が彼女にはないのだ。 隊員が二人、クライドを確保するように両肩から抱え上げるようにして体を持ち上げる。 リンディはそれを見ながら、何も出来ずに唇を噛んだ。

「ご協力感謝します」

「……命令の出所はどこですか?」

 恐ろしく冷たい声でリンディが言う。 執務官としての権限をフルに使ってでもことの真偽を確かめるつもりなのだろう。 隊長は黙秘するべきではあったが、さすがにそれを言わないのは無理だと思った。 荒れ狂う魔力の胎動が目の前で猛威を振るう矛先を探している。 隊員たちがそのあまりに剣呑な魔力に一斉に杖を構えるが、それにさえ頓着していない。 冷静ではない。 だが、だからこそ恐ろしい。 暴走したSSクラスの魔導師との戦闘など、悪夢でしかないのだから。

「それは――」

 答える暇は無かった。 響く轟音。 輝く閃光。 一条の光が真上の結界を突き破って堕ちてくる。 誰もが、それに目を向けた。 リンディも例外ではない。

――それは、紫銀の雷だった。

 結界を突き破って夕闇を縦に裂きながら落雷の如く堕ちる高速の飛翔体。 とある一点に向かって、寸分違わずに飛来するそれの落下地点を彼らが悟った時には、既に終わっていた。 音速を越える速度で飛来した物体が、それをさらに数十倍は軽く越える速度のプラズマ弾を放ったのだ。

 誰もがそれには呆気に取られた。 ただ、”自分が狙われているのだと”理解した二人がプラズマを避けようとしたが絶望的に遅い。 クライドを確保していた二人は例外なくプラズマに意識ごと撃ちぬかれた。 

 閃光は止まらない。 そのまま我が物顔で管理局の”封鎖領域”のど真ん中へと着地。 次の瞬間高速強襲で生じた衝撃波<ソニックブーム>が、公園に突風を一時的に巻き起こした頃にはリンディは反射的にデバイスを展開すると同時にバリアジャケットを身に纏って乱入者の姿を目で追っていた。

 そして、その存在を見つけたとき息を呑んだ。 まず初めに目に付いたのは白衣だった。 一般の人間はまず着ないような、そんな衣装を身に纏ったその小柄な女性が酷く不機嫌そうな顔で辺りを睥睨しながらそこにいる。 開放されている魔力量は推定でAAAオーバー。 リンディからすれば、別段脅威とはいえない。 だが、本当にそうなのか? 咄嗟に彼女は判断ができなかった。 

「――グリモアさん? 貴女――」

 呟きがリンディから洩れる。 だが、それには頓着せずにグリモアは足元に転がった二人の局員の近くで倒れるクライドの様子を伺っていた。 呼吸を確かめ、脈拍を診てそれから少しばかりの安堵を浮かべた後にそっとその顔についた砂埃を白衣の袖で拭う。 丁寧に、割れ物を扱うようにそっと。

「……すいません室長。 少し、遅刻してしまいました。 もっとも、貴方はボクを待ってなんていなかったでしょうけど」

 気絶したクライドの黒髪をそっと梳くようにして撫でてからグリモアは立ち上がる。 ”クライドを連れて行こうとしていた”敵を掃討はしたもののまだまだ敵は健在だ。 彼のために”真正面”から動けるのはもうこの世界では自分しかいない。


――ならば、やることは一つしかない。


「――貴様、噂の守護騎士か!?」

 局員の男の一人が、厳しい顔でグリモアに杖を突きつける。 その先端に集っている魔力は、すでに充電積みでありグリモアが少しでも動けば問答無用で放たれるように準備されている。 だが、グリモアはそんな局員を嘲笑うように唇を釣り上げて否定した。

「守護騎士? ボクが? まさか、ボクは騎士ではありませんよ。 まあ、普通の”管理局員”である貴方たちがボクが何なのかを知っていたら、確実に命はありませんが」

「――ッ!?」

 咄嗟に局員が砲撃を放つが、その砲撃はより強力な砲撃にかき消された。 グリモアが抜き打ち気味に虚空より放ったプラズマである。 単純にグリモアの砲撃魔法の方が威力が有りすぎた。 そのまま局員は、プラズマの洗礼を浴びて吹き飛び地面を転がる。 その局員は起きられない。 ただの一撃で、意識を完全に断たれていた。

「煩い連中には消えてもらいましょう。 今は、雑魚に用はありません。 ――出力リミッター全解除、動力全開<フルドライブ>」

 紫銀の輝きが再び戦場を舐める。 グリモアを覆うように発生した魔力がバチバチと放電しながら円筒状の砲身を幾重にも作り上げ、即席の銃身と成した。 それは魔力電磁砲身<マジックレール>と呼ばれる銃身であり、弾丸を電磁誘導によって撃ちだすめのアルハザード式魔法である。 弾丸の魔力と弾丸の加速速度によって威力を調整できるそれは、通常の加速魔法等で撃ちだされる砲撃魔法とは原理が違いすぎた。 グリモアのそれの原理は、ほとんど超電磁砲<レールガン>そのものである。

 生き残りの局員たちがそれに使用される魔力量に顔を引きつらせ、それぞれ任意の防御行動に出ようとする。 ある者は回避を選び、ある者は防御を選ぶ。 だが、それすらもグリモアの魔法は撃ち砕く。 それは当然の帰結だったのだろう。 完全にリミッターを外した彼女の魔力量は先ほどよりも”さらに”強い。

「――ディフュージョン・ミョルニル」

 放たれるは音速の数十倍を容易く超える速度で飛来するプラズマの魔力弾。 前周囲に無差別に拡散しながら放たれたそれは、正真正銘雷神の投擲した鉄槌だった。 己の敵に向かってただひたすらに加速し、予測された回避機動にリアルタイムで修正を加えながら獲物をゴミ屑のように粉砕する。 ただの一人も例外はなかった。 狙った敵全てを撃ちぬいた頃には、グリモアはそれが当然の結果だといわんばかりの無関心さで彼らを見る。 そうして、すぐにリンディに視線を向けるとすぐに口を開いた。

「見ているだけでいいんですか? ボクはこれから室長を連れて逃げますよ”リンディ・ハラオウン執務官”?」

 ことさらに執務官をグリモアが強調した意味。 それをリンディは理解している。 目の前の女性は”管理局の正規の作戦行動”を妨害したのだ。 非番ではあったが、それでも”執務官として”見過ごすことなど到底できはしない。

「どうして貴女はそんなことを!? 貴女は今管理局を敵に回したんですよ!! そんなことをしたら貴女だってクライドさんだって――」

「――罪に問われる……ですか? でも、これ以外に”室長を救う”方法をボクは知りません。 今、室長には逃げ場所なんてどこにも無いんですよ。 この管理世界のどこにも」

「そんなことはありません、大体クライドさんが闇の書の主だっていうのもきっと誤解です。 でなければ可笑しいでしょう!!」

 リンディ・ハラオウンはクライドの無実を信じている。 いや、信じたかった。 だが、グリモアはそんなリンディを冷ややかに見つめるだけである。 真実を知っている者と知らない者との差が明確に出ていた。 

「誤解ではありませんよ。 室長は紛れもなく今回の”闇の書の主”です。 ええ、”監視”していた”私”が保証します」

「――!?」

「まあ、室長の場合は実に無害な主でしたけどね。 守護騎士に”蒐集”を命じるわけでもなく、誰かを襲わせていたというわけでもない。 今までの主からすれば世間的には”善良”な方の主でした。 そして同時に、あの人は普通では”ありえない”主でもあった」

 グリモアは知っている。 今の闇の書の主は、決して”闇の書を手にしてから二年も持たない”ということを。 それは当然の話だった。 闇の書の主に長期間生きられたらその間”データが手に入らない”。 そんな非効率的なシステムなど必要ではないのだ。 そして、蒐集のシステムが凡そ”時空管理局”によって確立された今となっては闇の書の果たす役割は小さくなってきている。 だが、それでもそれは小さくなっているだけでまったく必要でないわけではないため今も利用されてきていた。

「闇の書は”例外なく二年以内に主を魔力侵食で食い潰す”ようになっています。 でも、彼には何故かその絶対のはずのルールが適応されていない。 バグかシステムのエラーか誰かの介入の結果なのかは分かりませんが、既に室長は九年も主でありつづけている。 これはシステムの性質上ありえないことです。 だから、”彼”には恐ろしかった。 連中への対策は多分まだ不完全。 怪しい目はさっさと摘んで安心したいんですよ。 そのために手駒の管理局が室長を狙うように仕向けています。 まあ、これが今回の室長襲撃の真相といったところですね」

「彼? 管理局が手駒? グリモアさん、貴女は一体何を言っているの!?」

「――ボクが知っている真実を。 この管理世界で”それ”を知っている数少ない”私”の、世界で一番大嫌いな恋敵<貴女>への”嫌がらせ”ですよ」

「――!?」

「さて、それで結局どうします? ”私”を止めないのであれば、もう室長と一緒に行かせてもらいたいのですが。 無論、その後二度と”私たち”が”貴女”と会うことはないでしょう」

 それは、最後通達である。 そして同時に、グリモアからの宣戦布告でもあった。 リンディ・ハラオウンにとっては止める理由などいくらでも用意できる。 時空管理局の執務官として、管理世界に生きる魔導師として、そして何より”リンディ・ハラオウン”個人として阻む理由など無限にある。 だが、そんな理由など態々明確に自覚するまでもないはずだ。 翡翠の瞳を射抜く紫銀が、無言でそう語っていた。 なんら我慢する必要など無い。 欲しいのなら、”その手に捕まえ続けろ”。 最後まで捕まえた者が勝者である。 なにせ、”ここ”を逃せば後が無いのだ。

「……グリモアさん、貴女はクライドさんを一体どうするんですか?」

「誰も手が届かない場所へ逃がします。 そして、”ボク”は”彼”を手に入れる」

 それは、文字通りの宣言だった。 何の照れも無い、しかし誇らしげな顔でグリモアは言い切った。 それは、リンディがついぞ言葉にできなかった怖いぐらいに真っ直ぐな言葉である。 そう宣言できる強さが羨ましくもあり、そして同時に悔しかった。

 言いたくても言えない言葉があった。 言葉にできない儚い想いがあった。 けれど一度も直接にそれを言えなかったのは怖かったからだ。 失うかもしれない未来<さき>よりも、まだ不確かな現在<いま>にいて、心地良いぬるま湯の中に居たい。 だから、一度も”言葉にした”ことはなかった。 態度では示してきたつもりであったが、だからこそ決して届くことが無かった。

(そうか……貴女も、そうだったんですね)

 今初めてリンディは彼女を理解した。 さすがにリンディも彼女が自分に刺々しいのではないかと薄々感じてはいたのだ。 気のせいかなと思っていたが、なんてことはない。 彼女が”そう”であるのならば合点が行くではないか。

 彼女にとって自分は何よりも脅威であったはずだ。 中身は無くても体外的な事実――婚約者(仮)――を持っている自分こそが、彼女にとって何よりも乗り越えなければならない障害なのだから。 だから今も”急いでいる”癖に自分<ライバル>を待っている。 確認している。 態々、”立ち止まっている”。

「――私は、貴女がもっと冷静な人だと思っていました。 でも、違うんですねグリモアさん」

 紫銀を阻むように、翡翠の輝きが夕闇に咲いていく。 鳴動するのはSSランクの法外な魔力であり、圧倒的な存在感であった。 それこそが、正にハラオウンの血脈が持つ威容である。 常軌を逸する魔力量と、魔法戦闘に対する圧倒的自信がもたらす壮絶なる意思の胎動。

 手にしたインテリジェントデバイスが、その背面にある無色の翼が、魔導師としてのリンディを作り上げる。 冷徹に、冷静に。 しかして、その胸にある確かな熱を消さぬままに。 執務官としての理由など、今この時には必要ではなかった。 あるのはただ、純粋なる想い。 ただ、それだけを紡ぐために今しなければならないことがあり、それを主張するためだけにそこにいた。

 確かに、リンディは知らない。 何も知らない。 そして、何が本当で何が嘘かなんて確認する術さえも無い。 けれど、それで自分の気持ちに嘘をつかなくてはならない理由はどこにもない。 なにがどうなっていようとも、”自分”がどうにかしてみせれば良い。 どんな結末だろうと、知ったことではないではないか。 ただ、そこに彼がいてくれるなら――。

「私が思っていたよりも貴女はずっと情熱的で、そしてエレガントな人だったんですね」

「そういう形容はどうかと思いますが……」

 リンディの天然発言に、グリモアはジト目で抗議する。 けれど、口元はやはり笑っていた。 ”ようやく”だ。 これで、”ようやく”真正面から断ち切れる。 ずっと、ずっと彼女は我慢してきた。 それを明確に自覚した今、それは何よりも先にしなくてはならない通過儀礼となっているのだから。



――後顧の憂いなどいらない。

 ただ、全てが終わった後にその事実でもって封殺してみせる。

――彼は戻れない。

 二度と、自分がこの地へと行かせない。

――”魔導王”の供物になど捧げてやらない。

 人を狂わせる黄金も、ここ<ミッドチルダ>にあるしがらみも何もかもいらない。

――そして何より、彼を誑かす”翡翠の魔女”など絶対にいらない。

 そこにいるのは、彼と自分だけで良い。



「貰いますよリンディ・ハラオウン。 貴女の大事なものを二つ」

「二つ?」

「一つは言うまでもありません。 二つ目も知りたいですか?」

 グリモアの周囲を巡るマジックレール<魔力電磁砲身>。 同時に、紫銀の輝きがプラズマへと変換されてグリモアの周囲に集い圧縮されていく。 また、雷神の鉄槌を放とうというのか。 ”S+”相当の魔力を誇るグリモアの鉄槌がその存在を主張し――

「知る必要なんてないわグリモアさん。 貴女に渡すものなんて何一つないんですもの」

――対峙するリンディの周辺には、膨大な数の魔力剣がその姿を顕現していく。

 ありとあらゆる障害を吹き飛ばす弾幕と、強力無比な鉄槌が互いに相手を睨みつけるように威圧する。 げに恐ろしきは女の戦いか。 涼しい顔で微笑を浮かべる両者が、景品<クライド>をそのままにしのぎを削る。 実にシンプルな話だ。 勝った方が景品を好きにする、ただそれだけのことである。 相手の思惑など知らない。 ただ、今は自分にできることをするだけである。 今ここにいるのは自分たち二人だけなのだから。

「スティンガーブレイド・ホーミングシフト!!」

「ディフュージョン・ミョルニル!!」

 こうして、翡翠の魔女と紫銀の助手の最初で最後の闘争が幕を開けた。 結界内を乱舞するスティンガーブレイド<剣>とミョルニル<鉄槌>。 翡翠と紫銀。 果たして、勝利するのはどちらなのだろうか? ただ、言えることは一つだけだろう。 都市さえも焼き尽くせる程の火力を持った高ランク魔導師がそこにいて、お互いの意地をぶつけ合っている。 ただ、それだけは確かなことである。













 弾けたプラズマが拡散しながら超高速で飛来する。 砲撃に次ぐ砲撃。 その疾風迅雷に空を裂く怒涛の超高速砲撃と相対するのは、意思の宿った翡翠の剣だ。 尽きることのない超常的な剣の雨。 数の暴力という名の確かな力が互いに相手を喰らいながら夕闇を削った。 グリモアもリンディも互いに譲るという気は勿論ない。 妥協点などありはしない。 ただ、自らの信じる方法を取ることしかできない。

 空を縦横無尽に駆けるその二人の戦いは、ここミッドチルダにおいては久方ぶりの激戦だった。 そも、管理局内でさえ5%もいないという高ランク魔導師。 その最高位に迫ろうかという戦力<リンディ>がこんな街中で魔法戦闘を行うということは暴挙でしかない。 非殺傷設定を活用すれば人にも物体にも物理的な被害を出さないようにできるため、実際にはこの戦闘も確かに可能だ。 だが、それでも見物客の一人でもいればこの事実の前には卒倒するに違いない。

 しかも、空間制圧系の名家の出であるハラオウンの息女なのだ。 周辺一体を吹き飛ばしても十分におつりが出る。 そんな現役の執務官に単独で魔法戦闘を仕掛けるなど正気の沙汰ではない。 外側で結界を維持している連中だとて、この可能性を考えてはいなかったわけではないだろうが、絶対に防ぎたかったはずだ。 今連中にできることといえば、増援が到着するまでこの結果を維持することぐらいだろう。

 空を埋め尽くす翡翠の輝き。 ソレを見れば、紫銀の輝きなど一瞬の輝きにしか見えないように思える。 だが、その一瞬の輝きの力は底知れない。 まるで台風が生み出す破壊の雨のような弾幕の中を、遮二無二高速回避と高速射撃の二点だけで生き延びているグリモアは酷く不気味な存在であった。 いいや、それどころか驚くべきことに彼女はリンディを振り回してさえいた。
 
「――速い!!」

 驚愕がついつい口に出ていた。 スティンガーブレイドの雨を迎撃しながらすり抜けるようにして空を舞う小柄な体躯。 弾幕の薄い部分や自らの砲撃でこじ開けた領域を見極め、身体が通りそうな間隙の隙間に突き進んで突破する。 並みの度胸ではこれはできまい。 ここまで速い魔導師をリンディは知らない。

 目が眩むような速度で不規則なシュプールを刻む紫銀。 飛行速度はリンディとは比べ物にならない。 いや、果たして通常の人間の魔法であそこまでの速度を出せるものなのか。 高速移動魔法は目も留まらない超高速移動が可能であるが、その分短距離しか移動できない。 だが、グリモアのマジックレール<魔力電磁砲身>を利用した電磁誘導加速はその認識を完全に書き換えた。 短距離も長距離も関係ない。 これには、そういうミッド式やベルカ式にある制約が存在しない。

 電磁フィールド<メギンギョルズ>による防移一体の防御力と機動力。 プラズマ弾と同じく電磁誘導によって自らを撃ちだし高速移動を可能とするそれには、常軌を逸する機動演算処理速度が必要となるだろう。 しかも、次々と変わるデータを戦闘のデータを反映させ、レールのラインを臨機応変に変更しながらの移動だ。 あれほど扱いづらく、そして実戦向きではない魔法は普通では誰も使わない。 少なくとも、ミッドチルダの現行のデバイスの演算速度では到底間に合うまい。 だが、それをグリモアは苦も無く操ってみせる。 そうして、翡翠の弾幕の合間から怒涛の超高速射撃を繰り出してくるのだ。 リンディにとってはこれはまったくの想定外である。 どこかで侮っていた思考が無かったとは言わない。 だが、しかしここまでできる魔導師だったとは常日頃からの姿からは想像もしていなかった。

(未知の魔法にこの魔力量。 加えてクライドさんのことも何もかも知っているかもしれないキーパーソン。 グリモアさん、一体貴女はなんなの?)

 魔法使用の間隙に浮き上がるは五芒星形の魔法陣。 ミッドチルダ式でもベルカ式でもないそれは、リンディが到底知るはずもない三大魔法の一つだ。 五芒星形とはアルハザード式魔法を表す基本図形にしてその象徴。 いや、そういえば初めてではないはずだ。 それの使い手を少なくともリンディはもう一人知っている。 だが、剣を振るう彼女とグリモアは完全に間逆だ。 完全に高速機動砲撃に徹している。

 リンディは基本的に膨大な魔力を背景にした強固な鎧に身を固めての移動砲撃。 数の暴力を用いた力押しが主である。 よしんばその数を突破し、詰め寄った者にはグラムサイトと薙刀による洗礼を与えるオールレンジアタッカー。 だが、とリンディは思う。 速度差だけで完璧にここまで凌駕されている今、果たしていつも通りのそれができるのかと。

 ミョルニル<プラズマ弾>単体もスティンガーブレイド単発の威力を容易く上回っているので、リンディは全方位をカバーするバリアと小刻みな回避行動でやり過ごすことしかできない。 数はリンディが圧倒しているがその分単発の威力が低いという欠点を突いた上手いやり方である。 少なくとも、”攻撃が当たらない”今は攻めあぐねているというのが実情だった。 グラムサイト<妖精の眼>は勿論展開中だが、グリモアの動きが速すぎて単純についていける自信が無い。 今はまだ、甲羅<バリア>の中に身を隠した亀のように身を守ることを重視するだけだった。

「ここまでやりにくい相手は初めてだわ。 グリモアさん、貴女本当にただの助手なの!?」

「ええ、今では”たった一人”のためだけの助手ですよ。 そして、だからこそ貴女対策は完璧です。 貴女の”デバイス”の調整にはボクも手を貸しているんですよ? 貴女のやり方も手の内も十二分にボクは知っている」

 バリアを揺るがす高速のプラズマ弾が、弾けて消える。 次の瞬間リンディのグラムサイトが捉えたのは超高速で目の前に迫ったグリモアだ。 誘導操作されているスティンガーブレイドがそれに気づいた頃には遅い。 そんなものを置き去りにして瞬間的に莫大な距離を走破したグリモアがプラズマを篭手のように集束していた。

「――プラズマ集束、イルアンクライベル<雷神の篭手>展開」

 それもまた、瞬間的にマジックレールの恩恵を得ていることは言うまでも無かった。 過圧縮によって超高温にまで達したプラズマの拳が、瞬間的にマジックレールに乗って超高速で振りぬかれる。 その一瞬の煌きにリンディのグラムサイトは反応しているが、任意の反応でどうにかなるものではない。 だが、執務官として作り上げた反射神経は別だった。 回避行動を取れずとも、生き残るための最善を生存本能がはじき出す。 無意識の間に、リンディは咄嗟にデバイスを盾にするようにして構える。 瞬間、膨大な運動量を蓄えた拳がバリアを突き抜けた。 さらに後に続く電磁フィールドがバリアとの衝突。 恐ろしいほどの衝撃が負荷となってバリアを襲う。 だが、それでもリンディのバリアは間一髪のところで持ちこたえている。 破壊ではなく貫通だけを重視している魔法のせいなのか。 バリアに容易く風穴を開けたグリモアが、強引にバリア内部に侵入しようとフィールド越しに威圧を始める。 バリアとフィールドの魔力同士が、互いの主を守るべく励起し干渉し合いながら徐々に対消滅。 両者の中間点で盛大な魔力の華が咲き乱れ、互いにその存在を主張する。

「むぅ……この体ではリーチが足りません」

 不機嫌そうな顔のまま、グリモアが言う。 イルアンクライベルは確かにバリアを貫通してはいたが、バリアに身体が引っかかってしまっているせいでリンディの構えた杖にさえ届かない。 全周囲防御のバリアだから展開範囲が広いのだ。 仮にこれがシールドであったならば、あるいはリンディの体にまで届いていたのかもしれない。 無論、ただのフィールド如きでは話にならない。 そう思うと、リンディの背中に薄っすらと冷たいものが走らざるを得なかった。 全力でやって真正面からここまで容易く防御を抜かれた経験など数少ないのだから当たり前だ。 

「……貴女、本当に私の知っているグリモアさん?」

「ええ、ボクは貴女も室長も知っているグリモアですよ。 どちらかといえば、こっちが本当のボクですね。 どうですか? 貴女ともそうそう引けは取らないと思いますが」

「確かに、目を見張るような戦闘力だわ」

「室長も多分ボクのスペック<性能>には満足してくれるでしょう」

「……でも、クライドさんは戦闘力<スペック>は別に気にしない人ですよ?」

「そうでしょうか? 少なくとも”単体”でここまで戦える”デバイス”はこの辺りじゃあそんなに無いと思うんですけどね? あと、室長は基本的に”性能重視派”です」

「――はい?」

「だから、ボクはデバイスなんですよこれでも一応。 あのデバイスマニアの室長が”愛してやまない憎い奴”です。 しかも、自己申告すればロストロギア級ですよ?」

 さらりと、爆弾発言をするグリモア。 しかも、抜け目無く右手に集うプラズマルを解除し、その先にマジックレールを展開する。 バリア内部でミョルニルを叩き込もうというのだろう。 発言の内容を吟味するよりも先に、リンディは一か八かバリアを解除。 前につんのめってくるグリモアのミョルニルが放たれる前にデバイスを振るう。 瞬間、デバイスの先端がスライドし、魔力刃の射出口を曝け出す。 その先端から発生するのは、勿論薙刀状の魔力刃だ。 昔クライドがくっつけた簡易デバイスのものではなく、しっかりとしたオーダーメイド品である。 故に、その威力は当時の比ではない。

 翡翠の輝きがプラズマ弾の加速装置もろとも薙ぎ払うようにしてグリモアに伸びる。 同時に発生したプラズマが、電磁誘導による加速をされる前に砲身ごと切り裂かれて無力な魔力の残滓となって散った。 辛うじて後ろに避けたグリモアだったが、そこからすぐには動かない。 喪失した魔力電磁砲身を再発生させようというのか。

 リンディはそのまま追撃に入った。 加速させる前に叩けるのであれば、その方が良い。 何よりの脅威はその機動性だ。 攻撃にも移動にも使えるあれを使って離脱される前に押し切るか、少しでもダメージを与えたい。 振り下ろしからの右薙ぎを放つと同時に、追撃用にブラストバレットを数十発程高速で詠唱。 明滅するデバイスのコアが、そのあまりの反応速度に悲鳴を上げる。

(く、やっぱり反応が遅い)

 魔法行使の最中の違和感。 リンディの魔法資質がデバイスを完全に越えた結果に生まれたそれは、ここ最近リンディを悩ませてきたストレスである。 とはいえ、右薙ぎ自体が当たってはいなかったので追撃は放つタイミングを失った。 確かにリンディに向かって放とうとして形成していた魔力電磁砲身を破壊されたが、そこまで来る過程で走り抜けた路<レール>は健在だった。 磁界の向きを反対に変え、高速でバックして斬撃の有効範囲から逃れている。 追撃用のブラストバレットを放とうとしていたリンディは、その足の速さに思わず呆気に取られると同時に気がついた。 グリモアはもうすぐに新しいラインに乗り再び高速砲撃体制に入ろうとしている。 

「……逃げ足も攻撃速度も異常ですね。 先ほどの自己申告もあながち本当なのかしら……」

 それはジョークにしても笑えない。 ロストロギア<古代遺失物>を管理している管理局の内部で、人間を装ったロストロギアが仕事をしていた? どんな灯台下暗しだ。 全く気づかなかった自分に呆れるとともに、そこまで精巧な彼女には一種の疑念が浮かんだ。

「あれ? でもなら局の健康診断はどうやってたの?」

 毎年一回義務で受けているはずなのだが、それさえも誤魔化せるほどの身体なのだろうか? それとも……彼女はそういうものを免除できる特例を持っていた?

「ああ、あの”蒐集用の診断”ですか? ボクには必要なんてありませんから勿論連中の強権でパスですよ」

「えと、”健康診断”はしっかりと受けていた方がいいですよ?」

 ブラストバレットを更に増やしながらそのまま周囲に展開しつつ軽口で返礼。 訳の分からないことでペースを握られるつもりはまったくない。 全く認識がかみ合っていないことさえ知らぬままに、疾走させている思考は常に打つ手を考えていた。

 リンディが見たところ、グリモアは機動力と砲撃力はたいしたものだ。 だが、先ほどの様子から見て近接戦闘能力はそれほど高いとは思えなかった。 確かに、イルアンクライベルの貫通力は凶悪だがそれでもただの一発しか放てないのならばやりようはある。 勝手な憶測は危険ではあったが、それでもあそこまで近づいていながら近接戦闘を続けて行わなかったのはあまり得意ではないからなのではないだろうかと思った。

(完全なヒット&アウェイ型なんだわ)

 高速機動で相手をかき回しながら、砲撃で戦う。 その過程でもし相手に隙が生じるのであれば先ほどのように近距離にも潜り込んで一撃。 なるほど、上手い手である。 自身の特性を完全に理解している戦術であろう。 そういう意味では、彼女は一つの完成した魔導師である。 だが、だからといって敗北するつもりはまったくない。

 いつの間にか浮かぶ不敵な笑み。 フッとリンディの口元に浮かんだそれは自らの血に流れる魔導師としての矜持故か。 自分より足が速い魔導師と戦った経験が無いわけではない。 超長距離を得意とする魔導師とだって戦ったことがある。 それは、今まで仕事の中で培ってきたものであったが、その経験は決して無駄ではない。

 演算を続けた結果爆発的に増えたブラストバレット。 四百を越えるその爆裂弾のその全てが、次の瞬間には不規則に動き始める。 あるものは紫銀のプラズマに撃ちぬかれて誘爆し、あるものは”任意”の場所にたどり着いて爆発する。 次々と咲いていく翡翠の華。 その全てが、満開に咲き誇った瞬間にリンディの体が光の華の中に消えた。 爆発が生み出した粉塵と閃光。 耳も劈く爆音が戦場を染め上げていく。 それは、馬鹿げた規模の隠れ蓑であった。 と同時に、二つの意味を持っている布石でもあった。

「……」

 だが、グリモアは何も表情一つ変えない。 リンディがいた辺りに”構わず”に砲撃を放ちながら周囲を高速で飛翔する。 小細工などさせるつもりなどなかった。 幻影魔法も迷彩魔法も使えることなど彼女は”知っている”のだ。

 杖型インテリジェントデバイス『ワイズマン』。 リンディ・ハラオウンが持っているそのオーダーメイドのデバイスには、魔導師単体が保有するには多すぎる量の魔法プログラムが詰まっている。 まるで、魔法辞書のような有様であるがその魔法をリンディが戦闘で全て使うということはありえない。 習熟した魔法、お気に入りの魔法。 ”基本”的に扱う魔法をショートカットに登録し、操作時間を簡略。 そうして、戦闘ではそれを軸に戦う。 必要があれば、その膨大な魔法の中から検索して魔法を使うのだが、一対一の実戦。 それもそう簡単に倒せなそうにない相手にそんな習熟度の低い魔法で挑むなど常識から考えればありえない。

 意表を突くことはできるかもしれないが、しかし決め手にするのには難しいかもしれない。 しかも超高速で動き回っている魔導師に中てられるものなど、どういう種類の魔法かなんて決まっているではないか。

 大気を震わせる紫銀の怒号。 プラズマの加速音が周辺に次々と木霊する。 拡散し、粉塵の只中をただただ蹂躙する無差別砲撃によって生じるのソニックブームが次々と粉塵を吹き飛ばす。 と、その向こうから翡翠の蛇が九匹、出鱈目に宙を這い回りながら超高速で向かって来た。 まるでホーミングレーザーのようなそれは、リンディの手持ちの中で最速を誇る誘導操作魔法『シューティング・レイ』だ。

 通常の誘導弾魔法の欠点は人間が認識し、操作することができる速さまでしか速度を出せないことである。 単純に弾速を上げることは難しいことではないが、誘導操作と同時にそれをするのはよほどの才能か修錬がなければ難しい。 リンディのスティンガーブレイドは基本的にインテリジェントデバイスの補助を得てのセミオートでの誘導だからアレだけの莫大な数を操作できたわけだが、そのせいでスピードをある程度は犠牲にしている。

「……高速誘導系? 空間制圧系ではなくて?」

 てっきりリンディならば攻撃範囲が広いもので、一発を狙ってくるかと思っていた。 グリモアの戸惑いをよそに、弾道予測も出来ないほど滅茶苦茶な軌跡を刻みながら、シューティング・レイがグリモアを襲ってくる。 そのホーミング性能も速度も先ほどまでのスティンガーブレイドの比ではない。 それどころか、グリモアの高速機動を凌駕し次々回避機動を取るグリモアを次々と強襲してくる。

 グラムサイトによる無意識レベルでの情報知覚によって破格の周辺認識力を持っているリンディの、だからこそできる力技であった。 魔力制圧圏<マジックバウンド>内部でしかここまでの効果が出せないが、それでも”リンディの周辺”で機動砲撃を行っているグリモアには十分に活用できる。 加えて、自らの体で追いつく必要はどこにもない。 これなら、反応をダイレクトに伝えて十分にグリモアを追える。 ならば後必要なのは――。

 高速飛行を続けながらミョルニルでグリモアが迎撃に出る。 超音速<ミョルニル>と超高速<シューティング・レイ>。 だが、その誘導操作性能はシューティング・レイが圧倒していた。 単純に機構の差だ。 魔力電磁砲身を操作することでプラズマを誘導するミョルニルは絶対にその砲身の中しか走れない。 砲身は急激に曲げることはできるが、それではプラズマが自らの速度で砲身を突き破るだろう。 あくまでもレールの上を走るジェットコースターのように緩やかにしか射線変更はできない。 その速度故に速度差がある物体に関しては在る程度有効ではあるが、滅茶苦茶な軌跡を描くシューティング・レイを撃ち落すのは単純に難しい。

 二、三度グリモアは迎撃を試みるが、埒が明かないことをすぐに悟る。 ならばと、それは無視する。 操作している人間を潰せす方が速い。 ここで、防御という選択は取らない。 当たり前だ。 機動力こそがグリモアの長所なのだ。 まとわり突いてくるそれらから逃げ延びながら、リンディを探す。

 目隠しの爆炎はもはやない。 リンディを隠す存在は無い。 だが、居るはずの場所にリンディはいない。 センサーに反応無し。 ミラージュハイドで隠れているのだろう。 グリモアはすぐにプラズマを自身の周囲に発生させると、全周囲に向かって無差別に爆撃を敢行する準備に入る。 最低限スティンガーブレイドを越える威力を保持させていたその設定を変更し、威力はないが数を射出できるように調整。 リンディの誘導弾はまだ自らを襲おうとしている。 つまりは、そんなに離れた位置にいるというわけではない。 だが、全周囲にプラズマを放とうとした次の瞬間にグリモアはシューティング・レイの直撃を受けた。

「……速度を抑えていた? くっ、やってくれる――」

 纏っていたプラズマが霧散する。 その瞬間、それを皮切りに残り八本の誘導弾が光となった。 目に映らないほどの圧倒的な弾速。 これほどの速度であったまま誘導操作しているという事実が”信じられない”。 適当に誘導しているとうのならば話は分かるが、これは違う。 これらは全て、明確な意思を持って的確にグリモアを”襲ってくる”。

 音速に喰らいつく光速。 光の軌跡が、グリモアを次々と強襲する。 メギンギョルズ<電磁フィールド>が着弾によって次々と揺るがされ、着実にフィールドにダメージを与えられていく。 だが、リンディの狙いはそれ<電磁フィールド>の破壊ではない。 狙っていたのは高速機動を実現している魔力電磁砲身の破壊だ。 用意していたレールが次々と食い破られて消えたそのとき、夕闇の中にさらに小さな夕闇が生まれる。 結界内部にいきなり現れたそれは、姿を現したリンディを基点にその周囲にいたグリモアさえ内側に取り込む。 そうして、機動空間を限定させたころにはリンディが杖を手に掲げて構えていた。 そうだ、彼女が一番多様する魔法は一つしかない。 ハラオウンの家の象徴にして、代名詞。 彼の魔法<スティンガーブレイド>しかないだろう。

 今までは高速移動によって避けられていた、そして当たるものはミョルニルに打ち砕かれた。 だが、今は逃げられるだけの広大な空間は無いしミョルニル<プラズマ>を瞬時に発生させても撃ち出すための魔力電磁砲身も破壊している。 どう足掻いても、逃げられまい。 空間内部を埋め尽くしていく翡翠の輝き。 もう何度も見たその色が、必殺の陣形を築いた瞬間一斉に放たれる。

「――スティンガーブレイド・ジェノサイドシフト!!」

「しまっ――」

 馬鹿げた数の魔力剣が、一斉に雪崩の如く全周囲からグリモアに襲い掛かる。 避けるだけの空間などどこにも無い。 完全に封鎖された限定空間内では、ただただ耐え凌ぐことしかできまい。 次々と飛来する魔力刃に飲み込まれていく。 形勢は今ここに逆転したのだろうか? グリモアにはもう足を生かす空間が無い。 結界を脱出するには、まずスティンガーブレイドの猛攻に耐えなければならない。 だが、耐えても確実に魔力を削られるだろう。 空間を満たす飽和攻撃のその数の暴力。 そのとき、その空間内の全てが確かに翡翠の色だけに染められた。


 一色に染まった翡翠の世界。 爆音と閃光が次々とセンサーの感覚を殺していく。 そんな只中にあって、今にも倒されそうな窮地にあって、咄嗟に展開したプラズマのバリアの中でグリモアは不思議と戦闘とは別のことを思考していた。 それは、今でずっと考えてきた問いの一つだった。

 何故、自分はああもリンディ・ハラオウンを嫌悪してきたのか。 その理由が、彼女の色に染められかけた瞬間になってようやく分かった気がした。 似ていたのだ、リンディ・ハラオウンが彼女に。 自分を置いて勝手にどこかに行ってしまった”機動砲精カノン<グリモア>”の主、”アルカンシェル・テインデル”その人に。

 想い人になけなしの勇気で近づこうとして無防備を装って、しかしその好意に気づいてもらえないところ。 好意を持っている癖にその好意を明確に言葉にできずに相手に期待するだけで、自分からは決して最後の一線を越えて踏み込もうとしない受身なところ。 そして、寂しい癖に嬉しそうに笑って見せるところ。

 もはやどこにもいない主と、何故こうも目の前の執務官の姿が似ているのか。 なるほど、嫌悪するわけだ。 それらは全て、彼女が主に感じていた嫌いな部分そのままの具現ではないか。 正直に告白するとすれば、グリモアはそういうところは嫌ではあったが別段嫌悪していたということではなかった。 ただただもどかしく、それでもそのままでがんばっていたその頃のアルカンシェルはそれでもやっぱり”好きだった”のだ。 イライラすると同時に、しかしその一途さは何かとても綺麗で美しいものとして唯の機械<グリモア>にも感じられていたから。


――決定的にその時間が崩壊してからは二度と、その輝きを彼女に感じたことは無かったが。


 猛攻に次ぐ猛攻。 怒涛の剣群を前にしてできることなど何も無い。 ただただ、そうやってそれらしい理由を作って敗北することは容易い。 だが、グリモアには敗北して良い理由などなかった。 だから、そうだ。 何としてもこの窮地を脱しなければならない。 というよりも、”この程度”を窮地にしていたのではクライドを連れて彼らから逃げられるはずもないではないか。

(ボクは、ずっと最後まで室長の側に居てみせる。 ”踏みとどまれなかった”貴女とは違う!!)

 誰に対しての言葉だったのかはそのときのグリモアは覚えてさえいなかったが、それでも彼と彼女の最後の合作<遺産>は切り札<ジョーカー>を切った。

 彼が彼女を守るために仕込んであった補助の動力が駆動し、メイン動力にバイパスを接続。 瞬間的に莫大な魔力を供給する。 過剰供給されるエネルギーを利用し、更に彼女の秘奥の理論を行使するべき破格の演算を行っていく。

――それは、空間に働きかける術式だった。

 自分を必死に守りながら、更に自身の周囲に作用する魔法プログラムを制御するのには並大抵のことではない。 だが、どれだけの無理も無茶も通さなければ果たせないというのならば果たそう。 この機械仕掛けの心にある輝きは偽物などでは決してない。 色褪せぬ永遠<想い>を刻み続けるようとと掲げた小さな篝火が、ようやく手に入れた熱そのものとなってそこにある。 ならば、機械<デバイス>が人間に恋をするなんて夢<ロマン>を見てしまったとしても誰にそれが否定できる? それはきっと、恋敵にさえできはしない。 後はただ、それを成すための力が自分にあるかどうかというだけのこと。

 戦場は異様だった。 その侵攻していく空間の異常にリンディが気がつかないはずが無い。 彼女はそれを知っている。 似ているモノもソレそのものも。 だが、それがそうだとはすぐには理解できなかった。 それは、リンディ・ハラオウンという個人が持ちえる知識の中には決して無いものであったから。

「――空間が軋む? 違う、反応している!?」

 スティンガーブレイドで襲われるその向こう側の空間から、この結界の全てに広がろうとする既知にして未知の感覚。 常識を超えた魔力資質を持つ才女が、震えていた。 感覚を越えるほどの恐怖、生存本能そのものが理解することを拒んでいる。 冷や汗など流れる暇さえなかった。

 スティンガーブレイド如きではもはやそれには意味が無い。 用意しておいたもう一つの切り札を切ってでも乗り越えなければならない。 だが、果たしてそれで”乗り切れる”のか?

 理解した理性が、スティンガーブレイドの詠唱を瞬時に破棄。 無害な魔力に還元してから、周辺に放出していた魔力と新しく混ざり融合し、一つの魔法を形成していく。 それは、確かにハラオウンの秘奥であった。 反応していく空間から自らを守るべく、リンディは自分の周囲の空間を歪めて隔離する。 それは、透明なシールドだ。

『――それは確か、ディストーションシールドでしたか。 空間を歪めて防御する空間隔離系の魔法であり、貴女の切り札の一つ』

 スティンガーブレイドの攻撃が止まったことで、姿を現したグリモアが魔力攻撃によってボロボロになった白衣のまま、念話で呟くように言う。 その、いっそ温度を感じさせない無機質さが今は何よりも恐ろしい。 突然増幅した魔力だとか、今この周辺に確かにある空間の乱れだとかはどうでも良い。 真っ直ぐに自分を射抜くその紫銀の輝きに宿った決意こそが、何にも増して怖い。 何か壮絶な覚悟を持った存在に相対し、気圧されているようにさえ感じる。

『正直、まさかこれを貴女に使う必要は無いと思っていましたが、使わざるを得ませんので使います。 大丈夫、貴方たち管理局が持っている”魔導砲<模造品>”とは違って非殺傷設定を適応できますから”死にはしませんよ”。 本当は跡形も無く消し飛ばしてやりたいぐらいですが、多分それをすると室長にボクが嫌われる』

『グリモアさん、貴女そんなものをどこで――』

『生み出した本人からですよ。 貴女たちミッドチルダ式には到底できない複雑精緻にしてアルハザード式が生み出した傑作の一つ。 そのオリジナルの術式。 管理局が保有する紛い物<レプリカ>などとは比べ物にならない汎用性を持ったこれの前には、貴女のそれなどまるで児戯だということを教えてあげます』
 
 そうだ、元来勝負にならないではないか。 空間を歪めて防御するからどうしたというのだ。 それは、空間そのものをまるごと反応させ消滅させる。 同じ空間系だが、規模が違う。 違いすぎる。

『では、さよならですハラオウン執務官。 魔法”アルカンシェル”――』

 グリモアの下で輝く五芒星形の魔法陣が必滅の呪を紡ぐ。 空間がその術式によって犯され、反応し消滅していく。 その莫大で理不尽な論理の前にはリンディのディストーションシールドさえも無力である。

 魔法アルカンシェルの理論を応用した空間の反応消滅魔法。 その、”全周囲攻撃型”。 管理局の所有するアルカンシェルには砲撃形のものしか存在しないが、グリモアに搭載されているものは違う。 彼女が保有しているのは一定の機能しか果たさない魔導兵器ではなくて、様々な形に効率的に応用できるその大本の魔法理論を有した魔法プログラムである。 アルカンシェルが初めに開発したのは当然ながら魔法のほうである。 魔力を用いた空間の反応消滅を可能にする術式がアルカンシェルという魔法の本質であり、形態に意味は無い。 故に、弾体を発射する必要などどこにも無い。 魔力干渉だけで、周囲の空間を反応消滅させることが可能なのだ。

 広がっていく青白い閃光。 先ほどまでの翡翠の輝きとは違って、残酷なその輝きはその空間からありとあらゆる光と音を飲み込んでいく。 その効果範囲は極最小に設定されていたし、人型サイズのグリモアには戦艦クラスの攻撃範囲を持ったそれを放つことは到底出来ない。 だが、例え局所的であったとしてもその威力は常識を超えている。

「くっ、でもそれでも――」

 勝てるわけがなかった。 現行の魔法のどれを用いてもそれを防御するのは不可能だ。 そう頭は理解していたが、それでも決してリンディ・ハラオウンは諦めはしなかった。 その諦めの悪さは、恐らくはきっと”誰かさん”からの影響だったのだろう。 出来ないことを出来るようにしようという、滅茶苦茶を通そうとする精神がそれをさせたのかもしれない。 咄嗟の魔法行使に悲鳴を上げるデバイスを無視したまま、それを成す。 防御するだけではどうしようもない。 ならば、少しでもダメージを軽減できるかもしれない方法を取らなければならない。 本能的な直感と、圧倒的な才能が不可能を可能にする術を模索し、瞬間的に閃いたそれを実行する。

(――意地なんでしょうか)

 透明なシールドの中で、追いすがってくるそれを前にしてリンディは思う。 他に形容する言葉が無かった。 その胸の中にあるのは黒髪の青年に対する思慕である。 ずっと蓄積してきたそれが激しい感情となって爆発するその瞬間、リンディの背面の翼が蓄積していた余剰魔力を全て放出しながら消えていく。 そうして、その余剰魔力さえ注ぎ込んでリンディは滅びの極限に挑んだ。

 リンカーコアが要求される魔力量によって悲鳴を上げ、体全体が崩壊するのではないかと思うほどに荒れ狂う。 その中で、圧倒的な青と白に儚き閃光が翡翠の色を二度宿す。

 ディストーションシールドの二重起動。 そしてそれを利用したハラオウンの秘奥ディストーションブレイカーの二連発。 前方から襲い掛かってくる空間の反応消失現象に対して、相殺するように空間歪曲により発生した膨大なエネルギーを開放して対抗する。 ただ、それだけが今のリンディにできる最大にして最後の抵抗だった。

 白濁する意識。 ワイズマンのコアが、馬鹿げた魔法行使の反動に耐え切れずコアを砕きながら自壊する。 それでもリンディは魔法行使を続けた。 自分の持てる全てを、その魔法に注ぎ込んだ。

――その瞬間、確かに彼女たちの戦場が極光の海に沈んで堕ちた。
コメント
久々の更新お疲れ様です。
はじめて感想を書かせていただきますが、非常に面白いの一言ですね。
自分が読んだなのはの二次でも1,2を争う面白さです。
今回A,Bパートと2パターン公開してくれましたが自分の好みは
Bパートですね。グリモア一直線ぽいAもいいのですが、やはりリンディ
フラグがぽっきり折れるというのはどうも。
いや、自分の好みの展開がメイン、サブ合わせて2~3人にフラグが
立ったままで最後の最後、人生の墓場に入るまでラブコメ展開でまったりと
という展開ですから。
それでは、正式版の5話の更新を楽しみに待ってます。
【2009/02/10 12:11】 | エクスカリパー? #SFo5/nok | [edit]
イヤッハーリンディルートだー
こっちでは実にイチャイチャしてますね

そして和解できそうでできない女性2人
2人とも力尽きてクライドが管理局に捕まるとかいうオチはなしでお願いしますw
【2009/02/10 13:09】 | |・ω・) #LkZag.iM | [edit]
クライドが不憫でならん第二部での見せ場のはずなのに何処をどうみてもお姫さまポジションにしかみえぬw
【2009/02/10 16:06】 | Tomo #SFo5/nok | [edit]
AB共にこれはいいものだ
ただ、個人的にはBルートが好みです

ええ、キャラ萌え万歳ですとも!
【2009/02/10 17:18】 | min #3aXRcdxk | [edit]
どちらがいいといわれたら間違いなくこちらの話を押します!
やはりヒロインはリンディーじゃなければw
【2009/02/10 17:41】 | 蒼 #eSGkAR1I | [edit]
復活おめでとうございます。ずっと待ってました!
Aを読んだ後、リンディフラグブレイクやっちまったーと嘆いたんですが、Bでまさかの復活。リンディ大好きな人間としてはもちBの展開希望です。
【2009/02/10 18:52】 | アイダ #HuBhO90w | [edit]
復活おめでとうございます。

AもBも外伝も楽しく読ませていただきました。

私としては、Aで最後に裏返ってほしいものです。
まぁ、二人(人なのか?)ともならさらにうれしいですが。

何はともあれ、ご苦労様です。

【2009/02/10 20:00】 | GoBall #- | [edit]
復活おめでとうございます。

自分はBがいいです。
というのもAだとリンディもクライドも幸せに成りそうもないからですね。

リンディは自分の付いた嘘によって
クライドは原作を知っているからこそ 

原作とは違うSSがいいです。
【2009/02/10 23:32】 | ダブルクエスチョン #5ddj7pE2 | [edit]
復活おめでとうございます。思わずキター!と叫んでしまいました。

Bの人が多いですが、ここはAを選ぼうと思います。

リンディは好きなんですが、あえてフラグを折ってしまったルートのが見たいです。
【2009/02/10 23:48】 | アシェ #BW6/sfyE | [edit]
くっ、久々の更新で大量投入とはッ!

クライド無双とかありえない状況とか、
リンディのヒロイン復帰もありえそうな展開だったし…
Aルートの落として上げる感じが読み物としては面白いのだろうが、

だが、あえてBルートを推したい!
いっそハーレムルーt
【2009/02/10 23:53】 | yk #2TC8eUl. | [edit]
いやっほー! とあまりの嬉しさに叫びそうになりました。
無理かな、無理かな、いやでも……! と思いながらちょくちょく見てた甲斐がありました。
いやっほー!
……すいません、落ち着きます。

先に読んだせいもあるかもしれませんが、個人的にはAルートのがらしいような気がしました。流れとかそんな感じ的に。これもやはり後に読んだからかもしれませんが、何と言うかBルートは何処か都合がよすぎるような気が。

しかしそれでも個人的な好みで私はBルートを推す! ご都合主義万歳。
物語の中でぐらい、ハッピーエンドでいたいじゃないですか?
勿論まだまだエンドには程遠いだろうし、これからの展開次第ですが、それでも。落としてから上げるのが面白いのも確かなのですが、それでも。
出来るだけ多くの幸せが見たいのです。なるべく不幸なものは見たくないのです。

まあやっぱり一番はハーレm
【2009/02/11 01:23】 | crimson #w06FFCj2 | [edit]
おかえりなさい。
AB両方とも読ませてもらいました。
Bルート推奨の方多いみたいですが、私は変則的な方が好きなのでAルートでの展開を希望します。
……というかクライドとグリモアのやり取りが好きなのでw
【2009/02/11 03:46】 | ベル #J90M6Gwc | [edit]
祝、復活!! 他のどのssよりも待っていました!!

3日に一度は見に来ていたけど、正直あきらめかけていました。
そんなわけで、某所にて復活の報告を見つけたときはリアルに叫んでしまいました。

その後どうなったかは聞かないでください。



しかし、グリモアさんが本ではなくて○●GUNだったとは。絶対に2番機だと思ったんですけど。さすがとしか言いようがありません。
『室長、トリガー預けます』に痺れたのは私だけではないはず。

番外編も最高です。私の中でキール氏の株は急上昇、リンディ・カグヤ・グリモア嬢らも幸せになってほしいですが、このカップルは本当にハッピーエンドを迎えてほしいです。

逆にマスクマンの株はますます下がった・・・こうなった理由とか、ボスクラスに相応しいデッカイ野望を期待していたのに。
あと、本作最恐はジル君かも、ある意味第2位のお方よりハンパねえです。

ドクターや聖王様の原作へのフラグも良かった、知らない人に公式設定と教えたら信じちゃいそうです。

女の戦いも良かったけど、第五話はAルートが好みです。逆境からのデウス・エクス・マキナこそ王道ですよ。リンディもきっと挫けずがんばってくれるはず。第1部メインヒロインの意地を見せるときです。
なにより、見てみたいじゃないですか。成長したリンディVSクライドとか、フレスタVSクライドとか、クライドVSクライド第2(4?5?)ラウンドとか!!

これからも、体に気をつけてがんばってください。
全力全壊で応援します!
【2009/02/11 04:55】 | 竜一 #/DnOSl.6 | [edit]
更新再開万歳! 首を長ーくして待ってましたとも!

第五話A,B共に読ませていただきました。皆さんBがいいと言う方が大半のようですが、ここはあえてAを推したいと思います。
反逆……良い響きです(オ
冗談はともかく、確かに冒頭からリンディさんからの別れ話で唐突だったかもしれません。ですが以前の話でそれとなく匂わせてましたから、なんかこっちの方がしっくりきます(確か『これ以上はもう待てません』的な事を呟いていた記憶が)
まあ私がグリモア派というのもありますが。

最後に、長期の更新停止にもめげず復活してくれた作者さんに感謝を。
くれぐれも健康にはお気をつけて、頑張ってください!


【2009/02/11 14:02】 | アレヴァス #zjQtxeCY | [edit]
ロリンディ(過去)活ッッッロリンディ復活ッッッロリンディ復活ッッッ
首をキリン並みに長くして待ったかいがあった…!
【2009/02/11 14:35】 | ぴんちょん #SVUff9GE | [edit]
復活おめでとう!
自分としてはAの方を推させてもらうぜ
【2009/02/11 17:51】 | 名無しさん #- | [edit]
復活おめでとうございます!
そして復活早々の大量更新…嬉しい限りです。

A,B両ルート読ませて頂きました。
リンディ派なので、Bルートは大変美味しく頂けたのですが、展開的にはAルートの方が自然かなと思いました。

【2009/02/11 19:20】 | そら #- | [edit]
某所で復活の知らせを受け、やってきました。よかった、続きが読めて。
AルートはBADかと思ったら、グリモアルート。アップダウンがはげしく、
このまま原作の流れに続くのかなと思いました。
Bルートはリンディ、もといヒロインはクライドルート?
グリモアは幸せになってほしい、でもリンディにも幸せになってほしい。
おもしろくてAもBも両方先が気になる。だから両ルート希望というだけいってみる、優柔不断なわたし。
【2009/02/11 21:29】 | Hifumi #OARS9n6I | [edit]
復活おめでとうございます!。

ここまで育てたリンディフラグ、あっさり叩き折るのも何なので、やはりここはBルートで。

グリモアとリンディの「女の戦い」が実にいい感じでした。
近辺で気絶しているだろうクライド君、こんないい女を互いに戦わせるなんて・・・、戦いの余波で大怪我しないかな。
【2009/02/11 23:33】 | rin #mQop/nM. | [edit]
Aはクライド無双の展開に入るのが早すぎ、
だと思うので流れはBルートが良いと思います、
しかしBの流れだと、切り札切っちゃてるのが勿体無いw
クライドが気絶しない方向でグリモアに色々暴露させて三人で逃走→
逃げ切ったら色々話して貰いますよの流れが読みたいw


【2009/02/11 23:56】 | 名刀ツルギ #qx6UTKxA | [edit]
復活おめでとうございます!
AルートもBルートも面白かったけど、個人的にはAルートが良いと思います。

Aが良いと思う理由は、リンディとクライドの関係は1回離れて、2人の関係及び自身の気持ちを見直さない限り、一生変わらないと思うので・・・
後、グリモアとのいちゃいちゃルートなんて最高じゃないですかwww
【2009/02/12 00:26】 | 通行人D #SFo5/nok | [edit]
うーむ。
Aルートの方がしっくりくる気もしますが、Bルートは続きの展開が想像しにくい感じが面白いですな。戦いの結末はどうなるのか、戦いが終わったらどうなるのか、(いろんな意味で)クライド君がこれからどうするのか、期待大です!

にしてもリンディの最後の部分は、どことなくマジックカッターの存在を思い出させますな。
【2009/02/12 01:39】 | リアン #- | [edit]
更新お疲れ様です。
A、Bとも楽しんで読ませてもらいました。
個人的にはAルートが希望です。
理由としてはそちらの方が後の展開にとてもワクワクして好みだったからです。
【2009/02/12 05:16】 | 通る人A #wLMIWoss | [edit]
自分としてはやっぱBですかね。
リンディとあんな終わりかたは辛い…
【2009/02/12 07:58】 | 名無しさん #- | [edit]
Bを要求する!!!
【2009/02/12 11:07】 | 名無しさん #- | [edit]
展開としてはAのが好みですけどね~。
エイヤルの逃避行はグリモアと二人での方が熱いと思います。
でもAだとグリモアで確定しちゃってるし……。
ただ言えるのは逃避行にリンディがついてくるのはもはやエロゲーなので、ちょっと嫌かな。
結論としてリンディの可能性を残しつつ、グリモアで確定しない辺りで甘さを控えたAルートみたいなw
【2009/02/12 12:46】 | えいえい #nPp1QHwE | [edit]
私はBルートが希望ですね、流石に初期からのヒロインを
ばっさり切ってしまうのは悲しいので・・・・。

Bルートの先で捕らわれたクライドを救出するために、リンディと
グリモアがユニゾンするという熱い展開を期待しています。
【2009/02/12 14:04】 | huku #Y3Ll1Ffw | [edit]
 私見ですがジルとアルシェの形を投影するのならば、何より「クライド」が本来(予言?にみる正史)存在しないという伏線を回収するのならばやはりAパートでしょうか?

ナマいってすみませんm(__)m
【2009/02/12 16:05】 | 名無し #8e8GB5u6 | [edit]
Bルートの方が人気みたいですが、最初に読んだのがAだったからなのか
Aルートの方が面白かったですね
復活お待ちしてました^-^
【2009/02/12 19:53】 | 名無しさん #mQop/nM. | [edit]
更新されてた!
自分はAパートですね
なんとなくだけど...
【2009/02/12 20:53】 | 名無しさん #4Sn8Qhv. | [edit]
Greeeeeeeeeeeeeeeeeeeat!!

いつの間にか更新されていて嬉しい限りです。
A、B二つありびっくりしましたが面白いです。

今後の展開や、伏線の関係で盛り上がりそうなAルートを推します。
Bはリンディとの関係があいまいで例の駆け引きの意味があまりなさそうなので。
あと彼の”デバイスとの結婚”の発言を活かしてほしいというのが個人的な希望です。

長々とすみません。
続きを楽しみにさせていただきます。

【2009/02/12 21:26】 | kokuha #JalddpaA | [edit]
むむ。展開的にはやはりAですね。Bもいいのだけれど、どこかご都合主義な感じがします。
とはいえAはちょっと展開が早いのでリンディの心情も書いて欲しかったり。

まあ、それはおいて置いて。復活おめでとう御座います…!!
【2009/02/12 22:20】 | 名無しさん #mQop/nM. | [edit]
Aの冒頭で挫折したのでBを希望します!
グリモアとリンディ(とカグヤ?)に挟まれ右往左往するがいいクライドーッ!
ハッキリ言ってAは今まで築いてきた関係を破棄するみたいなので私的に結構きついです。
勿論シリアスで怒涛の展開も好きなんですが精神負担が・・・ソレでも読まずには居られないのが我ら読者の悲しさorz

では!出来ればBパートを頑張ってくださいね~^^!
【2009/02/12 22:56】 | 皇 翠輝 #JalddpaA | [edit]
いいいいいいいいいいいいいいいっやっほおおおおおおおおおおおおおーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
更新楽しみにし過ぎて壊れた自分です。
いいですねー大量更新。胸と股間が熱くなってきました(ナニ
Aルートのリンディフラグをミックミクにしてやんよ!の展開も気になるし
Bルートのリンカーコアぼろぼろのリンディも気になる…優しく介抱するクライド(どっち?)が目に浮かぶwwwwww

個人的にはAルートでエイヤルが飛翔点睛してリンディとのラブロマンス&熱いバトルをして欲しいですねw欲を言えばAルートは若干ハーレム気味で、Bルートは色々ないざこざがありですがリンディ一直線と言った感じですかww
欲と言うより私の感じ方なのですがw
執筆頑張ってくださいw更新がほんと嬉しかったですw
【2009/02/12 22:56】 | kazu #.AUkuh/Q | [edit]
復活おめでとうございます。
自分はAルートがいいですね
【2009/02/12 23:15】 | 名無しさん #- | [edit]
これはアレだな・・・・。

『B』ルートだろ、jk
【2009/02/12 23:20】 | 名無しさん #- | [edit]
更新お疲れ様です。

じーさんの心境も描かれているし、ドS心が擽られるAルートのほうが面白かったです。
クライドが指名手配され、悔やむリンディ。
自分的には、まだAルートではリンディフラグ折れてないと思いますし。

Aのほうが人間味溢れてて楽しめました!
【2009/02/12 23:48】 | 名無しさん #- | [edit]
更新お疲れ様です、お待ちしておりました!
Aルートはグリモアルート、Bルートはリンディルートかと思いましたが、他の方の意見を見るとそうとも限らないわけで。それを考えたら自分の好みではAルートですかね?追ってきたリンディとの「何この痴話げんか」って感じの戦いの挙句、ぜひ復縁してグリモアとリンディで"トライアングルハート"して欲しいものです。
【2009/02/13 02:24】 | 焔片 #MyJ0QW/M | [edit]
復活おめでとうございます。

話の展開的にAのほうが燃えるので、Aのほうで続けてくれると嬉しいっす。
【2009/02/13 02:30】 | 名無しさん #HF13wXwo | [edit]
復活おめでとうございます。

展開的にはAルートの方が好きなので、リンディフラグが折れていないことを祈りつつAルートの方を希望します!
【2009/02/13 13:54】 | 名無しさん #- | [edit]
とても楽しみにしてました!
後々の痴話喧嘩を考えると、自分はAルートを希望します。
【2009/02/13 15:33】 | 名無しさん #JalddpaA | [edit]
Bルート希望で。
Aだとなんかもう、第二位の発言のせいでBADしか見えない。
AからのBAD直後にリンディが真相を知ったら壊れかねないし。
【2009/02/13 17:53】 | 名無しさん #T1rcqPGw | [edit]
A,B両方とも読ませていただきました。
更新をお待ちしていました!
Bの方が熱いとは思ったのですが流れとしてはAの方が自然でしっくりきました。なので、Aの方を希望します!
復活おめでとうございます。
【2009/02/13 18:18】 | Rail #RK6wHsAg | [edit]
待ってました!

ルートはAが望ましいですねぇ。流れも自然ですし。Bルートの方は今までの流れからして彎曲しているように感じました。いえ、これもこれで面白いんですけどね。

Aルートに進んで、リンディの意地を見せてほしいです。
「まだちゃんとしたカタチで気持ちを聞いてない!」的な流れで。

どんな展開(ルート)にするにせよ、頑張ってください! 楽しみに待ってます。

【2009/02/13 18:54】 | オウル #5iIXJMJ6 | [edit]
久しぶりに来たら5話が更新!!

待って待って待ち草臥れました!!
次話も楽しみに待ってます。

そして翻訳の許可、有り難うございます。
【2009/02/13 21:42】 | jjiksol #- | [edit]
Bに一票!!!
更新待ってます
【2009/02/13 22:40】 | 名無しさん #7U3XH/O2 | [edit]
一週間ごと更新確認してましたよ。
待ってましたー!!
自分的にはAルートのほうが予想してたのに近くて、
Asまで後引くバッドエンドぽい感じになるかなとかおもってたんですが
グリモアさんの活躍が予想外ですね~。
BのほうはBのほうで展開が燃えますし、いっそのことIFルートで両方のパターンの続きが読みたいなと無茶思ってます。

最後に~これからも期待してお待ちしています。
【2009/02/13 23:00】 | フィー #/5UrdHk2 | [edit]
復活おめでとうございます!

Aルートの方が自然と言えば自然かもしれないですが
やっぱりリンディフラグがここで折れるのは悲しいんで
個人的にはBルートがいいです
Aルートだと結局リンディも両クライドも不幸になるだけな気がして
この先読むのがつらくなりそうで
【2009/02/13 23:54】 | 名無しさん #HfMzn2gY | [edit]
更新キター!!
ずっと楽しみにしておりました!

ルートはAがいいですね、自然ですしクライドが久し振りに活躍してるので。

Aルートでもリンディはもう一度がんばれるはず!別にフラグは折れてるようには感じませんでした。ここからの巻き返しに期待してます。
【2009/02/14 00:52】 | ジャム #- | [edit]
AB楽しく読ませていただきました。
個人的にはAルートの方が気に入りました。
Aルートのほうが話の流れとして納得できて違和感がないと感じました。
今後の更新はどちらになるかワクワクしながら待たせていただきます。
【2009/02/14 16:36】 | 某ウエスト #RVGiP8Cw | [edit]
外伝1でも書きましたがもう一度。復活オメデトウございます。
皆さん希望を書いてるようなので自分の便乗おば。
Aルート希望ですかな。
Bルートだと関係が平行線のままな気がしてなりません。
それによく言うじゃないですか、「逢えない時間と距離が想いをさらに強くする」ってwww
フラグブレイクしてるように見えますけど、自分の見方じゃヒビが入った程度で、まだまだ修繕可能レベル。それに、あれくらいあった方がお話が面白くなると思います。
それに、裏が出るとしてもコイントスはクライド自身にやってもらいたいですし。
第参ルートもあるのならそれにも期待しつつ三日に一度見に来ます。
【2009/02/14 18:01】 | 華麗なる田中 #- | [edit]
Bですね。ここまできて完全にフラグを叩き折られてはたまりません
【2009/02/15 20:28】 | 3K #- | [edit]
Aルートの人が多いみたいですが、
個人的にはBルートでいってほしいなと思います。

リンディールートでww

欲を言っちゃうとここからA、B二つとも別々につなげていってほしいなぁ~
と思ったりww
【2009/02/15 20:33】 | かふ #b7.P4N6A | [edit]
話の展開としてはAルートの方が好きですが、リンディーのフラグがポッキリ折れた感じがしたのでBルートを推奨させていただきます。

欲を言えば管理局が動くのが遅く、かつコインが裏というB経由のAルート(リンディーフラグ有り)が一番の理想です。
【2009/02/15 23:40】 | 名無しさん #- #0Yjk/e0w | [edit]
復活楽しみにまっていました。
Aルートの方が闇の書強奪からの不幸?な流れが自然な感じがしました。
あと、クライド・ディーゼルもなんか幸せになってほしいのでAルートの方がクライド・ディーゼルもからみやすいんじゃないかと思いました。Bルートだと出番自体がもう無くなるような気がするし。(リンディの眼中にもはや無い的な意味で)
が、リンディvsグリモアは読んで燃えますた!これははずせない!
この部分をうまくAルートにからめてくれれば最高です。
何気にダークホースの暴君フレスタ嬢vsグリモアも期待している。
【2009/02/16 06:50】 | kiera #- | [edit]
復活ですね!!
これからは毎日wktkしながら待つ日々の始まりじゃないですか!

で、ルート選択ですか。

A,B半々な反応みたいですけど、やっぱりAですね。
りんでぃフラグは破損しても治るはず! フェイトのバルディッシュやなのはのレイジングハートはもっと酷い状態からでもリカバリーしましたもん!

両クライドもグリモアも、当然リンディやフレスタも、もっともっと魅せてくれると信じてます!

これからもお願いしますね!
【2009/02/16 15:43】 | kana #rIgRXaug | [edit]
うわぁぁ!!とうとう更新来たぁぁぁぁ!!
AもBも捨てがたいっ!リンディ好きならBだがAは後々の話の展開が面白くなりそうだし・・・よしいっそ二つを混ぜたCでいこう(マテ
【2009/02/16 17:16】 | 名無しさん #- | [edit]
こんにちは。読ませていただきました。

私はBがいいと思います。
理由は単純にBの方がネタが多いからです。あとはAに使ったネタを足していけば
その分書きやすくなると思われます。
【2009/02/16 17:17】 | 名無しさん #qCb6RMVc | [edit]
お帰りなさいませ! 首を長くしてお待ちしておりました。
話としてはAルートの方が自然な感じがするんですが、リンディとくっついて欲しいのでBルート希望で。しかもAルートはBADENDの匂いがプンプンするぜ。あとエイヤルが余裕で敵を下すとか違和感が…エイヤルは小細工で勝たないとね!
というか、二人ともくっついてハーレムルートがいいですw でも最終的にリンディとくっつくならAルートの流れでもありかな。 襲来したフレスタ嬢によって暴かれた事実!エイヤルはリンディへの指輪を買っていた!!!
とりあえずリンディとはくっついて欲しい(´・ω・`)
それでは、頑張ってください。
【2009/02/16 20:37】 | 界斗 #OLHiJ7es | [edit]
Aルートに進めばリンディVSクライド(グリモア)みたいなのがあるのかな?
学生時代の再戦みたいな感じで燃えるのは俺だけだろうか。
ということでAルートを押すぜ!
・・・できればクライドにはハーレムよりもどちらか(カグヤでもいいよ!)を選んでほしいなー。
【2009/02/17 12:24】 | しろくま #JalddpaA | [edit]
リンディとのフラグを維持しつつAルート希望
BよりAの方が話的に自然かと
【2009/02/17 14:38】 | じゃがいも #KI9OsvPY | [edit]
ををぅ、気が付き見れば更新されているじゃありませんか。
この更新を見る為だけに生きている。
リンディファンなのでBの続きが気になるところですが、
話的にAのが楽しみですな。
っという訳でAルートを希望。
グリモア萌えっ!

お体に気を付けつつ、無理しない程度に更新お願いしまッス。
うむ、これで私はまた一年戦える!
【2009/02/17 15:12】 | クラッシュ #qbIq4rIg | [edit]
リンディとの関係云々も気になるのですが、
闇の書の件に関して初めて人を頼るという事を選択した、
クライドの選択の結果見てみたいので、
Bルートを希望します。
【2009/02/17 21:16】 | 通りすがり #HfMzn2gY | [edit]
Bルート希望
【2009/02/18 02:12】 | 名無し #- | [edit]
個人的にはAルートがよろしいですな。
今後の展開が気になりますw
【2009/02/18 13:54】 | あるふぁ1 #gq9m/OHk | [edit]
BもいいですがAルート(リンディルート)を希望します
最終決戦の時にグリモアとリンディがガチバトルする妄想がとまりませんww
【2009/02/18 14:07】 | くるくる #pwutJTUc | [edit]
グリモアかわいいよ、グリモア
Aルートを希望します
【2009/02/18 20:26】 | 名無しさん #X5XodAgg | [edit]
おかえりなさい。
一日千秋の思いで待っておりました。

個人的には『B』ですかね。
ヤッパ、漢女(オトメ)は魔法言語で語り合うのがリリカルのクオリティだと思いますw。

それにこっちだとグリモアさんが勝利したと過程してAルートの夜這いシーンの使いまわしが可能。

涙のクライド×2と鉄拳のグレアム、そして魔法少女大血戦と続くイベントを想像してドキドキです。

リンディとの縁を残しておくとAs時代への複線も張りまくれそうですしね。
【2009/02/18 22:15】 | ウェルディ #- | [edit]
更新待ってました!! 
Bルートも修羅場って感じがして好きですが、やはり個人的には話の展開が自然なAルートを希望します。
【2009/02/19 16:08】 | 名無しさん #- | [edit]
A、B共に面白かったっす。 欲望としてはAでグリモア君に美味しくいただかれそうなクライド君キボー!
【2009/02/19 22:57】 | ナハハ #MuESKRR6 | [edit]
Aルートの方が自然な感じだし、距離が離れるほど想いは強くなると思うのでAルートのほうが良いですね。
【2009/02/20 03:48】 | ωライス #8X.eEFfY | [edit]
aがしっくりきますが、リンディ至上主義者の私としてはぜひ
 

   『B』ルートで


リンディ最高!
【2009/02/20 23:51】 | あさい #- | [edit]
おかえりなさいませ。ずっと再開を待っておりました。

早速、両方のルートを読まさせていただきました。

両方とも甲乙つけがたいほどに、面白かったです。

なのですが、個人的にはAルートがツボにきたので『Aルート』を推したいと思います。
【2009/02/22 03:56】 | 名無しさん #VWFaYlLU | [edit]
ドSな私はAルートキボン。
BADエンドをこよなく愛する人もいるんですよ。
【2009/02/22 11:10】 | 名無しさん #mQop/nM. | [edit]
おぉー更新されてたぁーー
お疲れ様です^^

自分はAルートを希望したいですね。
グリモア一直線に見えて、事情を少し知ったリンディも参戦いっそハ-レムに。

この後の展開も気になるところ。
がんばってください。
【2009/02/22 20:42】 | 名無しさん #k9MHGdfk | [edit]
グリモア派なのでAルート希望です。
一度確実にバッドエンドになるっぽいので、それならそれで徹底的にしてほしいです。
リンディが本編が始まるまでずっと後悔し続ける方が再開の感動も大きくなると思うし。

本編入ってたら、本妻デバイスグリモアと幼馴染未亡人リンディとが主人公を取り合うとか見てみたいですね。いや、グリモア派ですけどハーレムも大好物なんです。
【2009/02/23 13:14】 | 名無しさん #SFo5/nok | [edit]
ここはAルートでしょ。

話の展開もAのが自然な気がするし、うわあって引くぐらい欝展開から盛り上がる方が楽しいし。

ここはリンディフラグ的にも小爆発してるんじゃ無くて溜めておく所だとw
【2009/02/24 21:54】 | 名無しさん #- | [edit]
お帰りなさい。
待ってました、で一挙に二つとは・・・GJ!

で、個人的には『B』がいいです。
なんというか、ここでリンディフラグがポッキリ言ってしまうと
今までのがなんだったんだ的な気分になるので。

あと、こんな変な父親で苦悩するクロノが見たいw
【2009/02/25 02:56】 | R #mQop/nM. | [edit]
更新お疲れ様です

私としてはBルート希望です
リリカルならば、やはり魔法でお話しなきゃいけませんよね。

Aの展開も嫌いじゃありませんが、やっぱりリンディがヒロインですしね
【2009/02/25 11:38】 | 名無しさん #udbsKuDg | [edit]
いつの間に更新を・・・復活おめでとうございます。

二つのルートがでるとは思わなかったです。
自分はAルート推奨ですね。

それと個人的には、Aルートでbadendした後、リンディが逆行してBルートに入るなんてのも見てみたいですね。
【2009/03/01 07:47】 | 名無しさん #zv5glhSM | [edit]
Bルートを希望します。
リンディには幸せになってほしいですからね。
【2009/03/05 20:06】 | rest #TQqA0fgs | [edit]
いまさらの感想です。再開、首を長くして待っていました。
外伝を含め、驚きの展開が続き、やっぱりこの憑依奮闘記は面白いと実感しなおしました。
今回の五話はA・Bの二択のようですが、個人的にはAのシナリオが面白そうです。
ですが、今まで高ランクブレイカーだったクライドが、ここに来て簡単に高ランク仲間入りと言う展開に、彼のこれまでの人生の持論を塗りつぶしているような気がしました。ここから先、ずっとインスタント高ランク状態での戦闘ばかりになると、聖王でも出てこないと苦戦も無いでしょう。なんだか寂しいです。
リンディに関しては、Aでも挽回できそう……というか、ここからロミジュリな関係になれると信じてます。当初からあるヒロインを入れ替えるには、ここのリンディは魅力的過ぎる気がします。
【2009/03/05 22:36】 | 悠真 #qx6UTKxA | [edit]
初期からのヒロインが真のヒロインであるとは限らないのでAルート希望です。
むしろこう、初期からの仲間と敵味方として相対して、って展開は大好きなので。
リンディ以外の友人達とも戦場での再会希望です。
【2009/03/13 03:03】 | 涙目#ケナハラヤカナ #4COEsmDU | [edit]
自分はAルートの方がいいですね。
展開が自然ですし、クライドが強くなりますし。
何より、グリモア手に入れて強くなったクライドでも(少なくとも現時点は)、カグヤなどのバランスブレイカー級クラスには適わないだろうですし(本文中にそんな事言ってた?)
強くなったクライドが、その更に強者を小細工で妥当するというのが楽しそうです

リンディとの関係も、一度スパッと切るというのが面白そうですしね
【2009/03/17 19:51】 | 黒ちゃん #2nwvb4RA | [edit]
A・Bの両ルート読ませてもらいましたが、Bルートを希望します。
Aルートの展開も好きですがリンディがヒロインなんで。
【2009/03/20 14:03】 | 黒猫 #JZNySZqw | [edit]
 御復活おめでとうございます、お待ちしておりました。
ルート希望はリンディ派なのでBで、もちろんリンディフラグさえ
折れなければ両方のおいしいところ取りも大歓迎です。
SS憑依奮闘記ならではのリンディルートを切に希望する一読者より。
お身体にはお気をつけて、頑張ってください。
【2009/03/21 10:16】 | rahaku #RW9zqpQg | [edit]
お帰りなさいませ神様!笑
「どっちも!」と言いたいところをあえて、あえて選ぶならAルートに一票!
グリモアも好きですが、エイヤル×リンディ大好き派なのでリンディフラグも残してくださると泣いて喜びますいやマジで。
“リンディ対グリモア女の闘い~止めて二人共!俺のために争わないでッ!!(言ってない)~”と“すれ違う恋、そして逃亡犯~最終兵器押しかけ女房~”と解釈したところ(笑)、ストーリー展開はAの方がドラマ性があるかなと思いました。後見人提督の心情もグッときました。
付け足すと、女性陣の心理描写よりも提督の胸の内が予測不可能だったので、その部分が描写されていてしっくりきました。(流石にグリモアの胸の内までは予測できませんでしたが?汗)
まあ一番の理由としては、一番好きなエイヤルの、“やッッと来た!?エイヤルのターン!!”が嬉しかった(笑)
技巧派なのが彼の持ち味ではありますが、これに化け物級魔力が加わった先が楽しみで仕方ない!
…ともあれ、どんな展開でも作品のファンであり続けることには変わりありません。
お身体に気をつけて、ご自身が一番納得できる形で執筆なさってください。
うわあ長すぎました…!
【2009/03/23 01:25】 | ヒナコ #7r4xH7r6 | [edit]
更新お疲れ様です。久しぶりの更新だったので楽しませていただきました。
個人的に『A』ルート希望です。
Bは若干中途半端気味に思えてしまって・・・。
Aのように突き詰めたクライド・エイヤルを見てみたいです。完全に管理局を向こうに回し、それでも強くなっていくであろう、クライドとグリモアのコンビ。
こちらのほうが読みたいなぁ、という欲求が強かったです。
出来たらこちらがいいかな、と思います。はい。一考していただけたら、嬉しいな、というだけですので。作者様のお好きなようにすすめてください~
【2009/03/24 13:24】 | フッケバイン #wLMIWoss | [edit]
更新お疲れ様ですー。と遅まきながら書き込みます~。

話の流れならAが普通なんでしょうが、リンディちゃんがあまりに可哀想なのでB希望です。
話の中でくらいご都合主義がイイなぁとかおもっちょります。
あ、Aでもちゃんとリンディが復活してくれるなら
た、多分耐えられるかもw まぁ、グリモアもリンディも幸せになるのが一番好ましいんですけどね。
ナマ言ってすみませんorz
やっぱり皆が笑顔で居られるのが一番だと思ってるんでB希望、と改めて。

次回もまた楽しみにしてます~^^
【2009/03/31 00:43】 | マネー #- | [edit]
おお,久々に来て見たら・・・更新されてるー!!
もう半分あきらめてただけに,すごく嬉しいです.
ホント,「二次創作」の枠に入りきらないレベルの大作だと思うので,
大変とは存じますが,頑張って完結させてください!!
・・・何年でも待ちますからww

ルートは,どちらか片方,というのでしたらBですね.
個人的に,物語はハッピーエンド,というのが好きです.
特に,この物語は悠久の過去の住人たちが取り返しのつかないバッドエンドに
なってますしねえ・・・
Aは,ああなったらもうBADまっしぐらだと思うので・・・
(そういう容赦のなさ,「選択は一度きり」がこの話の魅力だと思います)
【2009/04/17 15:23】 | タロー #- | [edit]
久しぶりに来てみたら更新されてる!
AとB両方読ませていただきましたけど
Aの方がよかったですね、ストーリー大切にしてほしいので・・・
ちゃんとしっかり書いていればBADでもかまわないです。
【2009/04/21 02:10】 | 名無しさん #wLMIWoss | [edit]
今後リンディにも芽があるならAルート
Aルートには可能性がないならBルート希望
ここまでひっぱられてリンディが普通にあっちのクライドの所に
行くとかはないわ・・・
話的にはAの方が好きなんだけどなぁ
でもヒロインの魅力には敵わない
【2009/04/22 09:21】 | 名無しさん #j4ekpsMA | [edit]
ああもう、リンディかわゆすなぁ・・・
そんなわけでBルートを希望しまつ!
ただ、とてもおもしろいのでAも見てみたいなーとか思ってます!
【2009/05/14 04:08】 | 名無しさん #- | [edit]
展開の出来の良さならAルートのほうがダントツにいいですね
グリモアの心の変移もかわいらしいしこれからの展開たのしみです

それとリンディルートになるとしてもいったんフラグをリセットして
敵同士になって本当の気持ちをお互いが確かめ合ってからのほうが
より盛り上がるよなきがします
【2009/05/19 14:02】 | 名無しさん #- | [edit]
B希望です。
なぜならグリモアがヤンデレ化してるから!

しかしAも見てみたい・・・もう両方でよくね!?
いや、どちらかというとBですが。
【2009/05/19 23:28】 | 名無しさん #JalddpaA | [edit]
グリモアルート希望の方よ・・・・・もう一度初めから読んで見るんだ!!

二回読んだ俺が思った。リンディールートがいいと!!
ライバル(ディーゼル)なんか気にしてたら愛なんて掴めないぜ!!
【2009/05/23 07:01】 | 名無しさん #- | [edit]
グリモアルート希望の方よ・・・・・もう一度初めから読んで見るんだ!!

二回読んだ俺が思った。リンディールートがいいと!!
ライバル(ディーゼル)なんか気にしてたら愛なんて掴めないぜ!!


因みに偉く個人的な意見が続きますが最終的にリンディールートならAでもBでもどちらでもいいです。
いくらでも待ちます。
完結頑張って下さい。
【2009/05/23 07:12】 | 打製戦記 #- | [edit]
二回も読んだのかwwwww

よくぞここまで来た打製戦記よ。

【2009/05/31 04:04】 | 名無しさん #- | [edit]
読ませていただきました。
流れの自然さ的に、何より私の好み的にAルートが好きですかね。
まあそれはさておき、これからも楽しんで書かれて下さい。
【2010/12/09 14:51】 | ゆおん #- | [edit]












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