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語られざる歴史を捏造して語ってみる01w

 2007-08-20
――アセリア暦4201年。

 新しい年が明けるのを祝い、その国を挙げての宴が催されていた。
日々の疲れを忘れ酒を摂取するもの、歌うもの、踊るもの、歓喜するものが溢れかえっている。
 それほどに、今日はめでたい日であった。  おそらくは世界各地でも、似たような騒ぎがおこっていることだろう。 そしてそれはこの国、世界最強の軍事大国と呼ばれた「ミッドガルズ」の王都も例外ではない。


 かなり行き過ぎた騒ぎに発展していた宴。 その行き過ぎた気もする民衆の盛り上がりといったら、凄まじかった。 だがそれはこの国のことを考えれば無理も無かった。

 この数年、不作が続き、都は酷く疲弊していた。
畑の作物は七割近くまでもが、実る以前に枯れ果ててしまっている。 山の緑も、その力を失っていくかのように弱り、野山を走っている獣達も食料にありつけず数を減らしていた。

 その結果国が疲弊したのだ。
いかに強い軍事力があろうとも、食料難には勝てはしない。

 自然と他国からの輸入に他よらざるをえなくなるだろう。 見えない明日に苦悩して来た国民にとって、この宴は気持ちを切り替えるモノになっていた。 溜め込んでいたフラストレーションを解消すべく、人々はさらに宴にのめり込む。 普段余り酒を嗜まない者もこぞって酒を飲み、騒ぎにいっそうの拍車を立てていた。
 
 ――と、そんな街の片隅に、いっそう湧き上がる人ごみがある。
人々はこぞって息を呑み、手に汗を握ってそれを見ていた。

 そこでは旅の奇術団が、その技を観衆に見せ付けていたのだ。
楽師が奏でる軽快な音にあわせて踊り子が宙を舞い、夜空にあでやかな衣装をはためかせている。
岩のような大男が丸太を次々とへし折ったり、運び込まれた石材を禿げ上がった頭で粉砕する。

 火を噴く男や、剣舞を疲労する者、剣を飲みほすものなどがその技術で観客の興奮を誘った。
団員達の疲労する芸に観衆は息を呑み、言葉をなくし、歓声やら拍手が飛び交う。

「さあ、今宵第一幕のとりを勤めまするのは、狩猟のエキスパート、森の精霊エルフすらも脱帽の世界屈指の弓使い。 金色のハミングバード!! ウィノナ=ピックフォード嬢」

 団長らしき男が進行し次の出し物が始まる。
だが紹介された人物の登場は無い。

 観客が不信に思ったとき”それ”はいきなり観客の頭上から現れた。

 風に乗る鳥のように飛翔しながら、舞台へと向かっていく。
身軽な身のこなし、それに気づいた者たちが次々と彼女に視線を向ける。

「的!!」

 観客達の頭上を飛んでいた彼女が声を発する。
透き通ったソプラノボイスのそれにしたがって、団員がかたわらのかごから小皿ほどの板切れを次々と夜空にほおり投げた。

 次の瞬間、空の人影が放つ矢に次々と打ち抜かれ、板が舞台の背後にたたずむ民家の壁に縫い付けられていった。

 舞台に音もなく着地した人影が、闇を照らすかがり火に照らされて露わになる。
長い金色の髪をなびかせるその人物は、その面持ちにまだ幼さを残した少女だった。 両手に一丁ずつ下げた小型のボウガンをのぞけば、街中で見かけられそうな少女である。

「次、ディープインパクト!!」

「はいよ!」

 彼女、ウィノナの一声で団員が新たなボウガンを放り投げる。
持っていた小型ボウガンを団員に投げ、ディープインパクトと呼ばれるボウガンを代わりに受け取る。

 矢ではなく、鉄球が装てんされたそれをすばやく構え、引き金を絞り込む。
発射された鉄球は、別の団員が新たに用意した馬車の車輪に程の的に吸い込まれ、中心を寸分の狂いもなくうち抜いた。

「次! ジャッキーブラウン!!」

 さらにボウガンを取替える。
新たなボウガンは矢を5本同時に発射できるものだ。

 放たれた矢は観客と一緒になっている団長のシルクハットに命中する。

「?????!! う、打ち合わせどおりにやらんか!!」

「決まりどおりじゃリアリティーないでしょ」

 目元にいたずら心満載の笑みを浮かべて、ウィノナは舌をぺロっとだす。
茶目っ気を出しながらもさらにボウガンを変える。

「次、マイティダックス!!」

 指示に答え団員が単発式の小型ボウガンを次々とほおり投げる。
ウィノナはそれらを受け止めては矢を放ち、同じく投げ上げられたリンゴを撃ち落す。 リンゴは狙ったかのように客席の観客の手に落ちていった。

 弓の名手と呼んでも差し支えないほどのその腕前に、観客は拍手を惜しまない。
軍の人間が見れば、弓兵にとスカウトすること間違いないだろう。 もっとも、プロの兵士はこの宴のためにほとんどが酔いつぶれているわけだが。

「プレゼントでーす。」

 リンゴを受け取った観客たちに投げキッスをして、ウィノナは別の出し物の準備を開始する。
兵士を凌駕する弓術が次々と披露され、舞台が終る間際には黒山の人だかりが出来上がっていた。





語られざる歴史

第一話  「ウィノナ」



「ねぇーー、いいじゃん。 ピューっと行ってピューって帰ってくるだけじゃん」

 公演を終え、今夜の公演の場所を考えていた一座の団長にウィノナは言い募る。
街で聞いた、北の森に住むというユニコーンに会いに行くため、時間を貰おうとしているのだった。

「寝言は寝て言え」

 だが、団長は取り会おうとはせずに副団長との話し合いを続ける。 だが、ウィノナは簡単には引き下がらない。 話し合っている二人の間に割り込むと、団長になおも言い募った。

「なんとか夜の公演には間に合う距離じゃない」

「馬鹿いえ、公演の予定もそうだが、お前は俺の大事な大事な娘なんだ。 何かあったらどうするきだ」

「ん、それは大丈夫。 見てみて、秘密のベールバージョン」

 私服のスカートの裾をあげ、ウィノナが団長に足を晒す。
と、そこには二丁の小型ボウガンと一ダースの矢が入った矢筒があった。

「馬鹿者!! 女の子が無闇に足を晒すんじゃない!!」

「舞台衣装ハイレグじゃん」

「ぐ……」

 団長の痛いところをつきつつ、ウィノナは笑顔で団長を攻める。
ウィノナが目に入っても痛くないと公言していた団長には、その笑顔を裏切ることはできない。

「……絶対に明日の公演には間に合わせろよ」

「やった、ありがとう!!」

 団長に抱きついて頬に軽くキスをすると、ウィノナは急いで団長室のドアを開けると走り去っていった。

「……さすがウィノナ。 団長の扱い方を心得てますね」

「うるさい」

 副団長の呟きに、苦笑いしながら団長は今日ウィノナによって打ち抜かれたシルクハットに目を向ける。 あれではもう新調するしかないだろう。 だが、浮かんだのは徒労の表情ではなく、しょうがないと割り切る苦笑だった。

「どこかで、育て方間違ったかもしれんな。 可愛いのはいいんだが、元気すぎる気がする」

だが、言葉とは裏腹に、団長の顔は子供を自慢する親の顔だった。





 荷馬車から一頭の馬を連れ出し、街を出ようとしていたウィノナは前方から向かってくる馬車とすれ違った。 この国、ミッドガルズの国旗があることから、国に関係する人物が乗車しているようだ。

 生憎とこの国の人間ではないウィノナには、まったく関心があることではない。
さらにいえば、今は北の森に住むというユニコーンに会いに行くために好奇心が全て向かっている。
 気にする理由は無かった。 馬車の中から名前を呼ばれるまでは。

「――ウィノナ? ウィノナじゃないか!!」

 見知った声だった。
 咄嗟に振り替えったウィノナだったが、自分に向かって手を振る学者風の男を見てため息をつきたくなる。

 その男の名はエドワード=D=モリスン。
ミッドガルズから南西に位置するアルヴァニスタという国に仕える学者だった。
 赤毛の髪にターバンのような帽子をかぶっており、古今東西の学者のように痩せて見える風貌の男であるが、見た目と比べてその声はやや野太い印象を受ける。

 本当はあまりかかわりたくない人間だったが、ウィノナは顔見知りを無視するような人間ではない。
馬を引きかえさせ、軽く挨拶することにした。

「こんにちわ、モリスン先生」
 
 モリスンは以前、奇術団が巡業中に知り合った人間である。
ウィノナの抱える秘密をただ一人知っている人物であったが、そのとき色々と過去を根掘り葉掘り聞かれたので苦手意識を持っているのだった。

「いやー、久しぶり久しぶり。 確か二年ぶりぐらいだったな」

「うん、そだね」

 当たり障りの無い会話。
ウィノナとしてはエドワードは嫌いな人物ではない。
 理知的でのんきなお人よし、というのがウィノナから見たモリスンの姿だ。
ただ、学者としての顔のエドワードにはウィノナは嫌いだった。
 興味を引くものがあれば、他が一切見えなくなり暴走を始めるからだ。

「巡業に来たのか? 次の公演は? もしかして今夜か?」

 一方的な質問攻め。
以前と変わっていない様子に、ウィノナは辟易した。

 しぶしぶ質問に答えようとしたが、場所のほうからこちらに向けられた視線に気づいた。
戦士のように体躯が立派な中年の男であった。 だが、その風貌はエドワードと似ている。
どうやら、同じ学者仲間らしい。

「ん、待たせてすまないなジェストーナ。 ウィノナ、彼はジェストーナ。 ジェストーナ、彼女はウィノナだ」

 軽く頭を下げるウィノナ。
ジェストーナも会釈する。

「ジェストーナはああみえて私の学者仲間で、魔術師でもある」

「ふぅーん」

 特に興味が無かったウィノナ、しかし少し引っかかりを覚えたので軽く首を捻る。
違和感のようなものを感じたのだ。
 もっとも、学者や魔術師の代表的な容姿――すなわち痩せこけた容姿ではないところに引っかかりを覚えただけだったが、それを見たエドワードは何か思うところがあったようだ。

「もしかして、彼のことで何か“見た”のか?」

「いや、そういうわけじゃないけど……」

 現れた学者としてのエドワードの顔に、ウィノナは顔を引きつらせながら否定する。

「エドワード、水を差すところ悪いんだがそろそろ時間だぞ」

「ああ、そうか、そうだったな。 すまんなウィノナ、仕事でこれから城に行かないといけないんだ。 二?三日したら手が空くからそのときに続きを話そう」

 そういうと、馬車を走らせるエドワード。

「え、ちょっと待ってよ!! そんな約束私こま――」

「じゃあ、またな」

 強引に話を終わらせて去っていくエドワードに、ウィノナは軽く頭を抱えた。

「っ……勝手なことを……」

 エドワードだと気づいたときに逃げればよかったのかもしれない。
そう思ったが、それよりもウィノナは彼よりも彼と一緒にいたジェストーナと呼ばれた人間のほうが気になった。
 よく分からないが、何かとても嫌な予感がするのだ。

「……気のせい、だよね」

 空を仰ぎながら、ウィノナは呟く。
夜明けの空が、ミッドガルズの城に不気味な影を作っていた。





――街で聞いた噂では、ユニコーンは会ったものの願いを叶えてくれるらしい。

 太陽が真上に来た頃、木陰で馬を休ませていたウィノナは噂の一角獣に思いを馳せていた。
噂の審議は分からないが、それでも会えるならばあって叶えてもらいたい願いがあったからだ。
 奇術団で巡業中にいると言われた神々には、その全てに祈ってきたが今だに実現してはいない。
神々が当てにならないのならばと思い、考えたのがユニコーンであった。

「お願いします、叶えてくれるなら何でもします」

 自分でできることなら、きっとウィノナは何かに願うなんてことはしないだろう。
だが、それは人間にどうこうできるものではない。
 そのことを考えながら、ゆっくりと空を見上げたそのときだった。

「!?」

 不思議な光景を目にしてしまった。
天頂に来た通常の昼の太陽とは別に、もう一つ徐々に大きくなっていくように見える太陽が存在するなんて空、彼女は始めてみた。

「なに、なんなのあれ……」

 徐々に広がる太陽。
金色の光を纏った、眩いそれは少しずつ輪郭を大きくしながらこちらに向かってやってくる。
 
――それは気のせいではなかった。

 ウィノナが少しだけ瞬きした瞬間、それは休ませていた馬を飲み込み、ウィノナ自身さえもその太陽のようなモノの中に包み込まれようとしているところであった。
 恐ろしく速い、一瞬の出来事である。
まるで閃光に飲み込まれたような錯覚を受けつつ、ウィノナは圧倒的な光陵と妙な浮遊感を感じながら意識を失った。

 ウィノナを飲み込んだ金色の光は、その後大地を削りながら蛇行し、大地に裂傷を刻みながら北東の方角へと飛び去っていく。 途中の草木を飲み込み、巨大な岩石を飲み込み、貪欲に全てを飲み干していくその様はまるでブラックホールだ。

 そうして進行上の全てを一切合財飲み干しながら、閃光はウィノナを飲み込んだまま忽然と消えた。 後に残ったの抉られたように刻まれている大地の裂傷と、静寂のみ。

 この日、確かにウィノナはこの世界から消えていた。

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