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憑依奮闘記 第九話(なのはSSオリ主憑依系)

 2008-05-11
「な、なんという魔力量……」

「やぁ、来たねディーゼル君。 待ちくたびれてしまったよ」

 膨大な魔力の胎動に、執務官は思わず一歩後ろに引いた。 無意識に身体が逃げようとしての反応だった。 そも、それは当然だ。 アレは人間の持ちうる最高クラスに限りなく近いほどの常人離れした魔力量を誇っているのだ。 例え彼がSランク保持者だといっても、そんなものは気休めにしかならない。
 その張り詰めた空気は、たった一人の老人から発せられていた。 所謂、殺気と呼ばれるそれを訓練施設一杯に充満させているのは何故なのか。 クライド・ディーゼルは思わず呻いた。 何か仕事でミスをした? いいや、であればそれは直属の上司であるギル・グレアムから指摘されるはずであって、彼の名門魔導師ヴォルク・ハラオウン提督に態々本局の訓練施設内に呼び出されて言われることではないだろう。 であれば、なんだ?

「……もしかしてお孫さんに協力要請を出したことで怒ってらっしゃるのですか?」

「ああ、勿論それもある。 何せ、アレには今出力リミッターがついているでな。 そんな状態のあの子を戦場に送り出すなど笑止千万だ。 私が冷静でなかったなら、恐らく君は今頃艦隊規模のアルカンシェルの一斉発射で跡形もなく蒸発していたはずだよ。 いやぁ、良かった。 孫に何事もなくて……な」

 老獪なその男から立ち上る殺気が、更に増した。

(ほ、他に何かしただろうか? いや、僕は何もしてないはずだけれど……)

 ディーゼルは思わず念話で上司に助けを呼ぼうかと思ったが、ふと気づいた。 結界だ。 いつの間にやら訓練施設を覆うほどの結界が作り上げられている。 しかも、念話をジャミングする類の術式と通常空間から隔離する封鎖結界の術式の二つが混ざったものである。 

(まさか!! 外側では武装隊が一個中隊ぐらい潜んでいるのか!?) 

 初めからそのつもりだったのか、ゆっくりとヴォルクが杖を掲げる。 瞬間、空間を埋め尽くすほどのスティンガーブレイドが一斉にその姿を現していく。 その数といったら、既に千は超えているだろう。 深緑の魔力剣がその矛先を全てディーゼルへと向ける。 一歩でも動けば命は無いとばかりの必殺の布陣だ。

「まあ、何事も無かったからその件は不問にしようかと思った。 それだけならまあ、問題にするほどでもないじゃろう。 だがね、ディーゼル君。 リーゼロッテ君とリーゼアリア君が言っていたのだが、何でも昨日あの子をデートに誘ったそうだね? それも、なんだ。 遊園地だそうだね。 いいね、遊園地。 実に楽しそうだ。  ”私も孫と一緒に”そのうち行ってみようかと思っていたんだがね。 いやぁ、先を越されてしまうなぁ」

「お、お礼ですよ!! 嘱託として仕事を手伝っていただいたのでそのお礼を兼ねて誘っただけで他意はありません!!」

「……なに? 他意はない? 本気で言っているのかね?」

「は、はい!! これっぽっちも疚しい気持ちなどありませんから安心してください!!」

 ヴォルク・ハラオウン提督の孫馬鹿といったらもう、既に管理局内部でも有名だ。 懐に忍ばせている孫と映った写真など、もう何度仕事の度に見せ付けられたことか。

 と、そう正直にいったディーゼル。 だがさらに提督の殺気が膨れ上がった。 

「――馬鹿なありえん。 あの子ほど可愛らしい子は他におるまい。 あの魔力資質に才能、あの容姿、あの声、あの聡明さ……あの……」

 次々と孫の良いところを列挙しながら、提督は熱く語った。 やれ、どこどこが可愛いとか、やれこういう性格でこうなのだとか、一度会っただけのディーゼルには到底見えない部分までそれはもう事細かに語る。

「特に、あの翡翠の髪が素晴らしい。 あれは妻の遺伝だな。 あそこまで見事なものだ。 そのうち世の男性諸子を狂わせるほどの美女になることはもう既に分かりきっておる。 だが、そんなリンディを前にして他意は無いだと!? 君はリンディが大したことの無い女だというのかね!!」

「い、いえ。 お孫さんは大変魅力的だと思いますよ」

「そうか、そうかね、そうだろうとも。 であれば、先ほどの発言は虚偽だったと取ってよいかね? 君はリンディに女性としての魅力を感じている。 そんな男が遊園地のデートだけで済ますだろうか? いやない!!(反語) 男という存在の醜悪さを知らず、純粋に育てられてきたあの子のことだ。 良からぬことを企む青二才に利用されないとも限らない。 であれば、私が君を紳士に教育しておかねばならないだろう。 やはり、魔法言語で」

「な、なんいう超論理!? そんなこと言われたら弁明なんてできないじゃないですか!!」

「弁明? そんなものは必要ではないよ。 私はただ心配しているだけだ。 君は確かに優秀な執務官で、真面目で実直。 人付き合いも良いし、グレアム君が自慢するだけの若手だ。 無論、私も君には色々と期待しているのが本音といったところだ。 だがね、だがリンディと付き合うなど百年早い!!」

 ピシャリとそういいきる。 その剣幕に、ディーゼルは気おされたように呻いた。 無理だ。 既に、見境をなくしている。 何をどうやったところで、退路は無い。 ディーゼルはその様に愕然とした。

「ディーゼル君、ではそろそろ魔法言語での矯正に移ろう。 いやぁ、ここが本局で良かったのう。 周辺に誰もいない場所で、私の全魔力行使が可能な場所であったなら非殺傷設定魔法で跡形も無く消し飛ばしているじゃろう」

 非殺傷魔法で跡形もなく消し飛ばす。 本当にそんなことが可能かどうかディーゼルは想像したが、今の提督なら出来てしまいそうで怖かった。

「うう……お手柔らかにお願いします」

 逃げ場など無い。 この場合、ヴォルクを倒すか倒されるかしか終りは無いのだから。 その後、悲痛な執務官の叫び声が訓練施設に木霊することになるのだが、武装隊員が張った結界のせいで当事者とそれを監視カメラで見守っていた双子猫以外には知らない。 ただ、時折本局を揺るがすほどの衝撃がなんども訓練施設から響いてきたことだけは確かである。











憑依奮闘記
第九話
「ある管理局員の憂鬱」











 時空管理局の本局。 それはあるロストロギアを飲み込んだ形で設立された巨大な要塞である。 次元空間にひっそりと浮かぶそれは衛星クラスの体積を持っており、一世紀かけて最高評議会が作り上げてきたものであった。 様々な次元世界の平和を守るために設立された時空管理局の本拠地としては、その規模は次元世界の中でも最大規模のものである。 艦隊を収容するスペースから局員の生活スペース、さらには無限の書物を内包しているロストロギア無限書庫。 広大な次元世界を管理する施設としては、それ相応の規模であり、本局それ自体が近年稀にみるロストロギアそのものであるといっても過言では無いだろう。

「……さっきから、ヤケに震動してるな。 もう老朽化が進んでいるのかな?」

 無限書庫の中で黙々と作業をしていた青年が、集中を阻害されることに苛立ちの声を上げる。

「ああ、なんでも訓練施設で今大規模な演習をやってるって話だよ。 空戦ランクSSの魔導師と総合Sランクの魔導師だってさキール」

「……それは、まあ仕方ないといえば仕方ないことかな」

 ついさっきやってきた少女、ミーアが言う理由にキールはそれならば仕方が無いと納得した。 むしろ、大規模な震動で済んでいるだけでもありがたいことである。 彼らが本気になれば本局の壁など容易くぶち破れるだろう。 Sランクオーバーの高ランク魔導師たちの戦いというのは、それはそれは人外レベルのものなのだから。 Sランクオーバーならば噂では次元航行艦でさえ単独で落せる可能性を持っているというのだから、納得せざるを得ない。 むしろ、そういった存在が平和のために頑張ってくれているというのであれば、我慢するしかない。

 キール・スクライア自身、少し前に彼らの世話になっているので彼らのことを悪く言うような言葉は慎んだ。 時空管理局という組織について、個人的に彼自身含むものは無いし一般の人間からすれば彼らは警察の頂点なのである。 頼もしいと思いこそすれ、否定する要素は普通は無い。

「なぁなぁ、それって魔導師なのか? それとも騎士なのか?」

 興味を引かれたのか、キールの側で手伝いをしていた小悪魔が尋ねる。 今現在ロード<主>がいない融合機<ユニゾンデバイス>の彼女――アギトにとって、自分の主に相応しいかもしれない騎士がいるのかどうかというのはかなり興味がある事柄だ。

 データ取りのために、ミーアたちスクライア一族とその技術者が彼女を起動させたとき、アギトはほとんど全ての記憶を失っていた。 恐らくは何らかの理由で初期化されたのだろう。 おぼろげながら自分の理想とする騎士の特徴こそ覚えてはいたものの、それだけだ。 戦い方とかそういう体に染み付いているものや魔力光の色とかは記憶してはいたもののどんな人間で、どんな騎士だったかまでは覚えていない。 そのことを彼女自身、とても残念がっていた。

「確か二人とも魔導師だよ。 えーとね、よく知らない提督さんとこの前私たちがお世話になった執務官さんだって。 といっても、貴女は知らない……かな」

「ちぇっ、ミッドの魔導師ばっかりでここにはベルカの騎士はいないのかよぅ……」 

「あははは、まあちょっと待っててよ。 ベルカの騎士にはちょっとだけ当てがあるから」

「ほんとか? 約束だぞ」

「今度ね、その人たちと会えるようにセッティングしておいたから任せといて。 勿論、貴女の持ち主もそのとき来るから」 

「持ち主ねぇ……でも、そいつミッド式なんだろ? アタシを使いこなせるとは到底思えないなぁ」

 ミッド式を使う魔導師にユニゾンできないこともないが、アギトにとっては騎士でなければ意味が無い。 自分が最大限の力を発揮させることができるのは、ベルカの騎士をおいて他にいないし、逆もまた然りだからだ。 何せ彼女は烈火の剣精。 炎と剣を司る精霊なのだ。 杖を振るう連中とはそりが合わない。

「あははは、どっちかというと技術者風味の魔導師だから、多分馬は合わないかなー。 あのお兄さんの興味も、どちらかといえば貴女の存在そのものにあるみたいだし」

「げっ、またアタシにデータ取りさせるのかよ。 もう飽きたよ。 もっとこう、ガンガン剣を振り回すとかそういうのを紹介してくれよなぁ」

「……そんな魔導師や騎士がいたら、管理局に逮捕されると思うんだけど」

「違いない」 

「ちぇー」

 小さな身体一杯に不満の声を上げるアギト。 元々そういう性格だったのか、それとも初期化された影響なのかはわからないが中々人間臭い感情表現をする。 さすが、ベルカ純正の融合機。 まるで人間そのものの反応に、二人は苦笑を禁じえない。 インテリジェントデバイスであったとしても、こうはいくまい。 データの所々に存在するブラックボックスのせいで重要な部分のデータこそ取れないものの、それでもその存在はロストロギアの称号を与えられるに相応しいものである。

 だが、そのロストロギアが今何をしているかと思えばデータ処理の手伝い。 なんという贅沢な使い方なのだろうか。 本局のデバイスマイスターが聞いたら卒倒しそうな使い方である。 とはいえ、彼女はその部分でも優秀だった。 インテリジェントデバイスを凌駕するその演算能力、そして高度な思考能力はスクライア一族の情報処理能力に匹敵するだけのスペックを確かに持っているのだ。

「いやー、それにしてもアギトも結構やるよね。 おかげで私の担当のベルカ史の資料集めが思ったより速く終わりそう」 

「ふふん、アタシにかかればこんなものちょちょいのちょいさ。 何せ、騎士連中ときたらこういう細かいことや事務的なことが苦手な奴が多かったからなぁ。 だから、私みたいなのはこういう方面でもサポートしてたんだ……してたはずなんだぞ」

「ふーん、そうなんだ?」

「なるほど、ありうる話だね」

 記憶が無いのに、時折彼女は何かを思い出したかのように発言する。 付き合っていてそれを理解しているミーアとキールは、言い直すアギトに理解の意を表しながら頷く。 どちらにしても、彼女の発言は貴重だ。 当時のことをダイレクトで語っているのだから、歴史の生き証人としてこれほど頼もしい存在はいない。 彼女が昔のことを語るときは、二人とも神妙そうに聞いていた。

「剣を振るう人間は身体と反射で動く人間が多いんだ。 咄嗟の判断力とか、生き残こることとかにかけては凄いんだけど、戦闘から離れたところではちょっと弱いところがあったなーあの兄妹……あー、多分だけどそんな気がする」

 いまいち自分の言葉に自身がもてないのだろう。 咄嗟に出る口調こそ、親しげな感じなのだが記憶としての実感が無い。 それはとても悲しいことではないだろうか。 ミーアはそっとアギトの身体を掌で包むと自分の肩に乗せて安心させるように頷いた。

「まあまあ、人それぞれ向き不向きがあるってことだね」

「おう!!」 

 理解ある隣人に頷き返しながら、アギトは再び二人の手伝いを始める。 その速度は普通の管理局員を遥かに凌駕しており、半端ではない。

「ねぇねぇ、もしかして貴女が私にユニゾンしたらさぁ、二人分の速度で処理できるのかな?」

「……さぁ? さすがにやったことないからわかんない。 戦闘以外にユニゾン使おうとした奴なんて聞いたことも無いし」

「じゃあさ、ちょっと試してみよう!!」

「……いいけど、いいのか? ここでそんなことして」

「いいんじゃないかな? 何も暴れようって言ってるんじゃないし」

 それに、どうせ自分たちを見張っている人間などいないのだ。 管理局員は無限書庫をぶっちゃけていえば管理していない。 なにせ、無限書庫の蔵書はそれこそその名の通り無限にあるとされているのだ。 しかも、管理局が管理世界や監視世界を増やすたびに自動的に書物が増えていく。

 そんなものを管理するには、それこそ不眠不休での管理体制が必要だ。 それに、ここの本は持ち出しができない。 無限書庫外に出した瞬間、溶けるように消えてしまうのだ。 動力からの魔力供給で作られた擬似的情報媒体。 何故かレトロな紙媒体として情報を吐き出し、それが本となって無限書庫無いには収まっている。 どういう理屈で、どういう理論でそれが増えたりしているのかを知っている人間はいない。 かの評議会でさえ、正直に言えばここのシステムを把握できてはいないのだから、それ以下の職員たちが理解することも無いだろう。 技術者たちがその謎に挑戦したらしいのだが、それら全てはブラックボックスに包まれており未知のロストロギアとしか言いようが無かった。

「まあ、いいけどよ。 ユニゾン・イン!!」

 ミーアの肩口から頬に手を添えて、アギトが炎で彼女を包む。 アギトが炎にまぎれるようにしてミーアの中に溶けていく。 その瞬間、ミーアの背面に魔力の翼が形成されたかと思うと藍色の髪が白く染まり、騎士甲冑<ベルカ式のバリアジャケットの呼び名>が展開された。

「おお!? これがユニゾンかい? 生で見るのは初めてだなぁ」

 キールもまた、目を見開いてその姿を見る。 なるほど、見た目も内面も感じられる力がかなり増幅されている。 内面からロード<主>をサポートするユニゾンデバイスならではの変化だ。 スクライア一族のローブ姿から、鎧を纏った姿へと変化したミーアはまるで小さな騎士のコスプレをした少女であった。

「魔法騎士ミーア、ここに参上!! みたいな」

「ミーア……せめて武器を持ってから言えよな」

 融合し、ミーアの内部から外に向かってアギトが言う。

「ふーん、確かにちょっと寂しいかも。 じゃあ、あの女に貰ったアレを起動してみようかな」

 そういうと、紅いビー球サイズのデバイスを取り出す。 それは、出所不明のデバイスでありカグヤがミーアに手渡したものである。 ペンダントのようにして首から提げていたもので、結構情報処理などが得意っぽいインテリジェントデバイスなので手を貸してもらったりもしている。

「我、使命を受けし者なり。契約のもと、その力を解き放て。風は空に、星は天に、そして不屈の心はこの胸に。この手に魔法を。レイジングハート、セットアップ!!」

「……な、長い起動呪文だな」

「てか、戦場でそんなこと言ってる暇はないぞ?」

「ふふ、こんなのは雰囲気でしょ? 二人ともまだまだだねー」

 ビー球サイズのデバイスが、杖型のデバイスへと変化する。 何やらミーアにバリアジャケットの類のことで色々と文句を言っているらしいが、ミーアはその抗議を無視してそれを構えてみせる。

「じゃじゃーん!! 魔法騎士改め魔法少女騎士リリカル・ミーア、ここに参上!!」

 どこぞのアニメよろしく、可愛らしくポーズをとるミーア。 どこか微笑ましいその姿に、苦笑を禁じえない。 キールはその姿を写真に収めながら、族長への土産とすることにする。 しかし、騎士なのに武器が杖というのはこれ如何に?

 現在、キールに下された厳重な罰とは族長のお転婆な孫娘のバックアップ兼護衛である。 何しろ、何をするか分からない非情にアグレッシブで行動的な彼女である。 目を離すとどこで何をしているのか分からないところがあり、彼女の相手をするのは酷く大変だ。

 幸い、キールは何故か彼女に懐かれているのでこの前の失態と合わせて、今回の”特別任務”の補助に命じられていた。 族長としてもどうやらミーアが入手した”空白の無い歴史情報”には大変興味を引かれ、その危険性も考えて彼をサポートにつかせることにしたのだ。 勿論、それをさせる前にはいつもは断っている管理局への出向を命じられかけていた。 一応罰として、無限書庫での管理体制構築を一人で永遠とさせられることになっていたので、キールとしてはどうしてもこの任務を成功で終わらせる必要がある。 

 無限書庫の管理システムの構築。 言葉にするのは簡単だが、それがどれほどの地獄なのかは想像に難くない。 何しろ永遠に増え続ける本を管理しろというのだ。 しかも一人で。 無理だ。 どう足掻いても生きている間には終わらない。 なんという飼い殺し人生。 そんなものはさすがにキールは承諾したくなかった。 無論、断れば一族からの除名処分なので非情に厳しいものであると言わざるを得ない。

 それから考えると、彼女の御守の方がまだマシである。 それに、キール自身もその空白の歴史には大変興味があったのだ。 考古学を志す者としては、むしろ望んでやりたいと思う。 キールの専攻は歴史全般だ。 ミーアのようにベルカ史に特化しているというわけではないが、それでも周辺世界などについての歴史などに広く詳しい。 ベルカとそれに連なる世界の歴史の資料集めを程度であれば、力になることは造作も無い。

「よーし、フル装備になったところでガンガンいこー!!」

 アギトとレイジングハート(管理外世界のアニメを見てミーアが命名)が、苦笑しながらミーアのために演算を開始する。 その膨大な情報処理能力は、つい先ほどまでの非ではない。

「うわっ!! やばっ、今なら二百個ぐらい分割思考ができそう!!」

「……勿体無い。 実に勿体無い使い方だ。 だが、なんて有用な使い方なんだろうか」

 情報処理専用のデバイスなどない。 それをするぐらいならパソコンを使うのが普通だ。 戦闘用の、それもどちらも半端ではない演算能力を持っている高等デバイスを用いるようなものではない。
 デバイスとは所轄魔導師の戦闘をサポートするための武器であるというのに、こういう方面でも突き詰めればかなり有用であるようだ。 普通とは違う使われ方にアギトもレイジングハートも戸惑いはあったが、それでも自分たちの力が褒められていると思えばそう悪い気分ではなかった。

「よーし、このまま一気にいくよー」

「ああ、速く現地で裏も取りたいしね」

 元気なお子様に頷きながら、キールもまた作業を再開した。 ちなみに、作業中にミーアがリリカル・マジカルなる不可思議な呪文を何度か唱えていたことにキールは首をかしげたが、それが騎士の精神集中方法なのかと思って突っ込むのをやめた。 古代ベルカの文明には、まだまだ謎が多いのである。

――気のせいか、彼女の杖からオムライスという謎の言葉が聞こえた様な気がした。













 実際、高ランク持ちの戦闘風景というのは酷く現実離れしている。 低ランク魔導師とは違い縦横無尽に空を駆け、馬鹿げた威力の魔法を放つその様はまるで常人には信じられないファンタジーそのものであるだろう。 人間は単体で空を飛ぶなんて、普通ではありえない。 飛行機という乗り物や、ある種の道具が無ければ人間は飛べないのが普通だからだ。 だが、そんな普通を魔法は一切合財旧い認識へと貶める。 それが現在の魔法科学最先端の技術力を持つ時空管理局という組織の拠点であったなら尚更当然のことであった。

「スティンガーブレイド……ジェノサイドシフト!!」

「くぅ!?」

 一息に展開される深緑の魔力剣が、空を駆けるディーゼルの周辺に次々とその姿をあらわしていく。 敵対象全周囲展開系のその魔法は、逃げ場さえない抹殺陣形を取っている。 避ける領域が無いその弾幕に、ディーゼルは防御を固めるしかできないように見える。 だが、彼はすぐにブラストバレットの魔法を詠唱すると、その全てを一箇所に叩き込む。

「ブラストバレット・フルバースト!!」

 青の弾幕が、次々と魔力剣を飲み込むように爆発していく。 そうして、空いたスペースに自らの身体を滑り込ませると同時に、全ての魔力剣が一斉に先ほどまでディーゼルのいた場所へと突き刺さっていく。 もし中心部でそのまま防御を選択していたのならば、恐らくは彼はハリネズミのようにあの剣を体中から生やしていたことだろう。 一発一発の威力がそこそこ強いだけとはいえ、あれだけ大量のスティンガーブレイドを喰らえば確実に落されるだろう。

「ほう、だがそれだけで終りではないよ」

 その一言を合図に、中心部の空間に突き刺さったそれが一気に別の術式の影響を受けて動き出す。 それは、あのリンディがよく使っているホーミングシフトの術式である。 二段構えのその魔法に、さしものディーゼルは冷や汗をかく。 完全にスティンガーブレイドという魔法を掌握している。 しかも、あの膨大な数全てをだ。 まるで、力量が違いすぎる。 次々と襲い掛かってくるそれらを、シールドやジャベリンを展開した杖で叩き落しながら、ディーゼルはチャンスを伺う。 それ以外に活路は無い。 できれば接近戦にしてもらいたいが、現状ではそれは無理だ。 これだけの弾幕を無尽蔵に放ってくる相手にどうやって近づけというのか。

 魔法と魔法の合間を狙おうと先ほどからタイミングを計っているのだが、中々に飛び込む隙が無い。 ミズノハやクライドと戦っていたときとは違い、彼は完全にディーゼルという魔導師を落としに来ていた。 ディーゼルというSランク魔導師に対して、驕りを持つつもりなど無いのだ。 その膨大な魔力で、ハイレベルな魔法を次々と行使していくその様は、まるで弾切れの無い機関銃のようであった。

「く、ここまで魔法を連発してどうして魔力が持つんだ!? ハラオウン提督の魔力に底は無いのか!?」

 ぼやきながら、辛うじて攻撃を凌いでいく。 ギリギリで致命傷こそ避けていたものの、さすがに永遠にそれを続けることはできない。 だが、それを許せばたちどころにやられてしまうだろう。 今は耐え凌ぐときであるとディーゼルは歯を食いしばる。

 だが、そんな執務官の頑張りをあざ笑うかのように膨大な魔力の化身は魔力を湯水の如く使って魔法を行使し続けた。 数は暴力であり、それは確かな力なのである。 一撃一撃の威力が落ちる? だからどうしたというのか。 であれば、それを数十回繰り返しダメージを蓄積してやれば良いだけだ。 傲岸不遜なそのあり方は、凡そ普通の魔導師の戦い方とは程遠い。 これが、ハラオウンの名を受け継ぐ名門の戦い方なのである。 一方的なその蹂躙こそが、ハラオウンの華なのだから。

 こと空間制圧戦闘におけるハラオウン家の力は管理局随一である。 広域系とはまた違うそのあり方は、それはそれは凄まじい。

 小細工など、その中には無い。 全てが全部魔力を糧にする力押し。 何れリンディも辿る道筋であるだろう。 もっとも、彼女はクライドの影響を受けているので微妙に違う道を歩むことになるだろうが、その基本はあの小さな身体にも染み付いているだろう。 それこそが業というものである。

「つっ、あぁぁぁぁぁ!!!」

 狂ったように雄たけびを上げながら、ディーゼルが弾幕を掻い潜る。 クライドなど比べ物にならない飛翔速度だった。 青の軌跡を刻みながら、ディーゼルが飛ぶ。 まるで魔王に立ち向かう勇者のように、圧倒的な暴力に立ち向かっていくその様は恐らくは見るものの眼に何かを訴える真摯さがあったように思える。

 ヴォルクは、それを冷ややかに眺めながら手を緩めない。 さらに追加されるは、ブラストバレットの魔法。 その数は五百。 ディーゼルの最大展開量の二倍強である。

「ふむ、たまには別の魔法も使ってみるか」

「――なぁ!?」

 ここに来て、爆裂魔法まで空中を乱舞することになるのか。 スティンガーブレイドならばまだ良い。 だが、それは不味すぎる。 触れれば炸裂する魔弾では、受け止めたり弾き飛ばすという選択肢がなくなってしまう。 爆発に飲み込まれれば否が応でもジャケットやフィールドを削られる。 それでは、持たない。 絶望がディーゼルの脳裏をよぎる。

「く、ファランクスランサー!!」

 空中で回避行動を取りながら、ディーゼルが詠唱する。 爆撃には爆撃を。 ただし、こちらが用意するのは迎撃用の対空ミサイルだ。 次々と魔力のスフィアを生み出しながら、ディーゼルが最悪を回避するために動く。

「――フルバースト!!」

「――発射!!」

 盛大な青と緑が轟音と衝撃波を撒き散らしながら空中で光っては消えていく。 自ら使っているだけに、ディーゼルはブラストバレットの魔法の欠点を理解している。 誘導操作ができるといっても、触れれば爆発してしまうのだ。 であれば、最小の攻撃力の弾幕を張って対抗するれば良い。

 まるで訓練施設そのものが光に包まれていくような錯覚に、ディーゼルは眩暈を覚えた。 慣れない魔法行使に身を削るような魔法との相対。 そして、神経を削るようなヴォルクの殺気に飲まれながらの戦いは若き執務官にとって地獄のような時間だった。

 双子猫に扱かれたときや、彼の上司に揉んでもらったときとは明らかに違うその戦場の空気に、全身の細胞が警鐘を鳴らしている。 一つ選択を間違えれば一瞬で落される。 それだけならまだ良いが、本当に非殺傷魔法で殺されそうな勢いであるのだ。 酷く恐ろしいと切実に思う。

「く、チャンスを伺うなんて消極的なやり方じゃあ絶対に勝てない!!」

 覚悟を決めると、彼は切り札を切ることにした。 マルチタスク<多重処理>を行いながら少しずつそれを行使するための準備を進めていく。

「悠久なる凍土――」

「ふむ?」

 次なる弾幕を張りながら、ヴォルクが戦場の流れの変化に眉を顰める。 そして、デバイスが拾った彼の詠唱に薄く笑みを浮かべた。 そして、すぐさまスティンガーブレイドの雨を降らせる。 それら全てがホーミングシフトであり、あんな極度に集中しなければ行使できない大規模魔法の発動を許すことは無いだろう。 普通ならそうだった。 だが、トランス状態に入ったディーゼルは外界からの影響を一切無視したまま多重詠唱<マルチタスク>を続ける。 さらに驚くべきことに、その状態のままジャベリンを展開。 スティンガーブレイドの弾幕に回避迎撃といった対処をしながらその状態を維持してのけた。

「凍てつく棺のうちにて――」

 明滅するS1Uのコアが、限界までCPUを加速させていく。 高速での演算と反応速度がインテリジェントデバイスよりも早いストレージデバイスと、彼の常軌を逸する集中力の前に術式が確かに形となっていった。 しかも、迎撃をしながらである。 文句のつけようが無い非情にハイレベルな魔法詠唱だった。

「……素晴らしい」

 まるで神がかったかのようなその詠唱技術に、ヴォルクは感嘆の声を上げる。 ヴォルクには恐らくはアレはできまい。 少なくとも、そういう技術を習得してはいない。 膨大な魔力とその魔力資質こそが彼の技術であるのだ。 ああいう余分なものは持っていない。

「良かろう、やってみたまえディーゼル君」

 スティンガーブレイドを維持したまま、彼もまた勝負を決めにいく。 膨大な魔力が、鳴動していた。 訓練施設内に満ちていくその圧倒的なまでの過剰な魔力を用い、ヴォルクは最大級の魔法を展開していく。 もとより、その下準備は既に終えていた。 執拗な弾幕も、全ては最終的にそれを行うための下地であったのだから。

「永遠の眠りを与えよ――」

 全てのスティンガーブレイドをやり過ごしたディーゼルが杖を掲げる。 その杖には、ジャベリンの魔法は無い。 いつの間にか解除されており、後は最終ワーズを唱えるだけの状態となっている。

「――凍てつけ!! エターナルコフィン!!!!」

 ディーゼルが杖を振り下ろすと同時に、訓練施設内部の温度が局所的に急激に下がっていく。 それは攻撃対象を中心に付近に存在するもの全てを凍結・停止させる最大級の凍結魔法である。 ランクSオーバーの人間にしか行使できないそれは広域系にも分類される。 そしてそれは通常のシールドやバリアでは防御できない。 温度変化に対するフィールド防御で身を守らなければならないのだ。

 まるで、空間ごと凍結するような圧倒的な冷却に、さしものヴォルクも防御することができないように思える。 白い靄に包まれていくヴォルクに、ディーゼルはなんとか勝利できたかと、トランス状態から戻った思考で考える。 アレは上司に教えてもらった最大規模の魔法である。 使いどころが色々と難しいが、一度発動してしまえば効果範囲を問答無用で凍結封印させるほどの絶大な威力を誇る。

「――ふぅ……これでなんとか……」

 安堵のため息が知らず知らずのうちに洩れていた。 だが、それもつかの間だった。 凍結したはずのヴォルクからの念話が頭に響いた瞬間、ディーゼルは愕然と目を見開いた。

『いやぁ、凄まじいな。 私の周囲の空間が完璧に凍結しているよ』 

 あれほどの極低温魔法を受けてなお、無造作に虚空に浮かぶヴォルクは楽しげに笑っていた。

 透明なシールドに守られているヴォルクが、シールドの向こう側からにこやかに言う。 だが、ディーゼルにとってはそれは悪夢でしかない。 可能な限りの魔力を注いで放った最大級の一撃だった。 だというのに、それを防ぎきったというのか? いくらヴォルク・ハラオウン提督の魔力が膨大だからとはいえ、それは些か不自然だ。 それに、あの魔法はなんだ? シールドではないのか? どうやってフィールド系でしか防御できないはずの魔法を防いだというのだ?

 疑問が頭を埋め尽くしていく。 デバイスのセンサーは確かに、ヴォルクが展開している魔法をシールド系であると認識している。 であれば、通常のシールドでは決して防ぐことなどできないはずだ。 何か、例外があったか? 

「ま、さか!? そんな馬鹿な。 アレは艦船の補助が無ければ決して発動出来ないはずの魔法のはずだ!!」

『驚いているのかね? まあ、普通はそうだろう。 だが、私やハラオウンの家に生まれたものは皆大抵できるんじゃよ』

 ありえない。 そんなことは人間の持つ魔力量では不可能に近い。 だが、しかし。 ディーゼルは呻きながら理解した。 彼らはそれができる。 それぐらい、魔力量が膨大なのだ。 勿論、一度に放出できる魔力には限界がある。 だが、段階的に分けて弾幕として周囲に魔力を散布していたならばどうだ? 周囲に存在する膨大な魔力と所持魔力を収束させ練り上げて使用したならば、確かにそれも可能かもしれない。 だが、そんなものはヴォルク提督などのふざけた魔力量を持つ魔導師にしか到底できない神業である。

「――ディストーションシールド……空間を歪めて防御する空間歪曲系の隔離結界……」

 なるほど、確かにそれならば通常の空間を凍結する魔法から逃げられる。 そもそも、魔法の効力が隔離した内側に届いていないのだ。 温度変化さえ断絶するその最強クラスのシールドを前に、ディーゼルは戦慄することしかできない。

 あの防御を突破するには、恐らくは次元攻撃クラスの魔法を行使するしかない。 だが、今のディーゼルはそんな魔法は習得してはいない。 であれば、彼から攻撃することは事実上不可能だ。 

『さて、そろそろ終りにしよう。 このシールドは展開も維持も大変難しいのだよ。 さすがに私でもバックアップ無しでは辛すぎる』

 そういうと、次の瞬間ヴォルクが杖を掲げる。 たったそれだけの行動で、ディーゼルは一瞬にして逃げ場を失った。 今までヴォルクが展開していたシールドに、今度はディーゼルが包まれていたのだ。

「あ……ああ……」

 慄くことしかできなかった。 ありとあらゆる感覚が、既に抵抗の意思さえ奪い去られていた。 なんという魔法なのか。 ディーゼルはその攻撃原理を理解したとき、愕然とした。

『理解したかね? これの攻撃的な使い方を。 安心したまえ、非殺傷設定が適応されている限り君が死ぬことはないよ。 これは限りなくアルカンシェルに近い破壊魔法だが、非殺傷が適応されるから人体に悪影響は無い。 一日寝込むぐらいの凄まじいノックダウンなる以外は』

 シールドの向こう側から、管理局トップクラスの魔導師がくつくつと笑いながらそういう。

『……気が変わったというのは無しにしてくださいよ』

 最後にそれだけ言うと、ディーゼルは目を瞑った。 負けを認めた潔いその姿に、ヴォルクはそのまま無慈悲に魔法を行使する。

 ディストーションシールド。 所謂空間歪曲の魔法は、その行使後に歪められた空間が元に戻ろうとする過程において莫大な反作用をエネルギーとして生み出す。 もし仮にそのエネルギーを全て操作し、内部空間や敵対象に開放する魔法があったとすれば、それは空間を反応消滅させる魔導砲に酷似したレベルの破壊力を生み出すだろう。

 そして、それがこの魔法ディストーションブレイカーである。

『では、良い夢を執務官殿』

 全周囲から破滅のエネルギーに晒される。 一瞬でディーゼルの意識さえ飲み込んだその魔法は、時空管理局に最大規模の震動となって訓練施設内で荒れ狂った。























「お疲れ様です、ヴォルク提督」

「相変わらず滅茶苦茶な魔力量だったねーアリア」

 模擬戦開始から数十分後、腰を抑えながら訓練施設から出てきたヴォルクを出迎えながら、双子猫が口を開いた。 ヴォルクの背後の訓練施設は今ではかなり損傷しており、結界内で血で血を洗う抗争が勃発していたことは言うまでも無い。

 特に、施設中央で仰向けに倒れ付している執務官には同情の念を禁じえない。 ありとあらゆる抵抗を力づくで押さえ込まれ、その膨大な魔力に飲み込まれた。 恐らくは単純な戦闘技術だけで言えばディーゼルはヴォルクに匹敵するほどの練度を持つ魔導師であるが、魔力量の差は如何ともしがたかった。

 とはいえ、あそこまでこの年でまともに戦り合うことができたという事実は単純に評価に値する出来事であるため、内心ではヴォルクも彼の健闘に満足している。 これで、一応の資格を彼は手に入れたことになる。 詰まらない魔導師であったなら、ヴォルクは彼を決して孫に近づけさせる気は無い。 デートにもまあ、目を瞑ろうかと彼は考えていた。

「ああ、君たちか。 グレアム君に例の件で彼を候補にしたいと言って置いて欲しい。 彼も忙しい中私の我がままのために色々と調整をしてくれていただろうしね。 それと今度久しぶりにアーク君の店で飲まないかと伝えておいてくれるかな?」

「了解です」

「はいヴォルク提督。 ではディーゼル執務官はこちらで回収しておきますね?」

「よろしく頼む」

 ビシッと敬礼をすると、二人は倒れ付したディーゼルの元へと向かっていく。 バリアジャケット破壊され、管理局の制服姿になっている彼に意識は無い。 まるで死んだように眠っている。 よほど凄まじい魔法攻撃を受けたのであろう。 いっそ死体かと思うようなその様に、二人は冷や汗をかいた。

「ああそうそう、久しぶりに空間歪曲系を使ったのでね、彼は恐らく明日まで目を覚まさないだろう。 非殺傷設定が効いているとはいえ、アレは威力が馬鹿げているからね。 では、失礼するよ」

 二人に声をかけてから去っていくヴォルク提督。 最後の言葉に二人はなるほどと改めて理解した。

「いやー、ヴォルク提督にアレを使わせるなんて半端無いねディーゼル君。 アレはもう完全な一撃必殺魔法だよ?」 

「収束系も威力だけならヤバイけど、さすがにアレじゃあねぇ。 普通に回避不可能な上に全方位からの高エネルギー爆破だからね。 普通次元航行艦の補助が必要なのに、あの人魔導師単位で局所的にでもああいうの使えるんだから恐ろしい限りだよ」

「お父様とどっちが強いかなアリア?」

「うーん、お父様相手だとアレは多分使う暇が無いだろうけど、どっちも力が半端じゃないからね。 さすがにSSランク持ちは戦闘の予想さえ難しいよ。 どっちも常軌を逸しているんだもの」

「でもまぁ、私たちがついたらお父様に負けはないっしょ」

「けど、それなら向こうはハラオウン夫妻が出張ってくるでしょ? それだと圧倒的に不利だよ。 広範囲系三人が揃って広域系魔法打ち込んできたら、さすがにお父様でもどうしようもないよ。 戦場そのものを爆撃されたら私たちだってどうしようも無いもの」

「うーん、ハラオウン家恐るべしって所かな」

 そういうと、ロッテは気絶しているディーゼルを背中に背負い歩き出す。 アリアはその辺に落ちていたディーゼルのストレージデバイスを回収し、その後を追った。

「いやぁー、でもさディーゼル君も優秀だけどそのせいでお孫さんの婚約者候補に選ばれてこうしてボコボコにされるなんてついているんだかついていないんだか良く分からないね」

「提督自身もそうだったらしいよ。 それでお見合いに引っ張り出されて、結婚したんだって。 でも、初めは提督の奥さんは両親の勝手さに怒ってお見合いの席で提督を張り倒したって話だよ」

「うわー、それすごいね。 どこから出た話?」

「けど、逆にそれで惚れたんだって。 お父様がこの前二人で飲みに言ったときに嬉しそうに語ってたっていってたよ」

「張り倒されて惚れる? ……あれ? ということはその奥さんは提督より強かったの?」

「うーん、どうだろ。 若い頃は色々と凄かったらしいよ。 ただ、結婚してからは随分と丸くなったんだって。 ……愛の力だね」

「あはははは。 それは凄い」

 他愛も無い話でも盛り上がる二人。 やはり、そういう話は二人も好きなようである。

「一応色々と候補を今集めているらしいよ。 なんと、驚くべきことにうちのクライド君もそこに入っているという不思議」

「嘘!? だって、あのクライド君だよ? 私一人にさえボコボコにされるのに? 一体またどうして? 仲の良いクラスメイトだからとか?」

「なんでも、一度教員の人と一緒にヴォルク提督を気絶させたらしいよ。 後、Sランクのお孫さんを模擬戦時に三人がかりでノックダウンさせたとか」

「うひゃー、それはさすがに冗談でしょ」

「やっぱりロッテもそう思う?」

「無理無理ー。 家のクライド君じゃあどうやっても力が足りないって」

「もしくは、組んだ相手が良かったとか? それが事実ならだけど、偶然と運の勝利っぽいかな。 それなら納得できないこともないよね」

「私たちが仕込んだんだから、普通の訓練生よりは動くと思うけどさすがに嘘っぽいよそれは」

 二人にとって、クライドはどれだけ成長していてもクライドである。 良く知っている相手だけに、彼の戦闘力限界を良く知っていた。 それから鑑みるに、やはり力量不足の感は否めなかった。

「クライド君に犯罪にあう前ぐらいの魔力があったなら、その評価も正当かもしれないけど……今のあの子魔力量が下がっただけじゃなくて絶望的なまでに魔力量が成長しないんだよねぇぇ」

「技術だけは伸びていく不思議っ子だからねぇ。 あれもスキルのせいなのかな?」

「多分、違う。 それじゃあ説明がつかないもの。 多分、アレが今のクライド君の限界なんだよ」

「退院後は必死になって魔力量アップの特訓してたのに、一向に変化が無いからって私がやめさせたけど……あの子それでも隠れてこっそりやってたんだよ。 一年ぐらいずっと。 さすがにアレを見てたら私悲しくなってきちゃって、あの本探してきたんだよね」

「ああ、あの術式の本ね? 結構良いこと書いてるからタメになる奴」

 うんうんと頷くロッテが、過去を振り返りながら遠い目をした。 身体を動かすことや、魔法を行使することをとにかく言われた通りにきちんとこなす子供だった。 もしかしたら、犯罪に巻き込まれたことが起因しているのかもしれないけれど、とにかく地味にやることはやっていた。 ただ、それでもあの年で魔導師としての限界が出来てしまったというのは酷く可哀相なことである。

「アレを見てからかなー、あのヘンテコなシールド魔法とかを編み出していったのは。 後、デバイスマイスターを本格的に考え始めたのもあの頃だったっけ。 昔は勉強が難しすぎて匙投げてたし」

「そうだね、多分他の道は無いって思ったんじゃないかな? なんかあの子、出来ないことでも手持ちでどうにかしようっていう貧乏臭いところがあるから」

「あー、あるね。 あるある。 足りないなら、こうすればいいじゃんみたいな。 そういうこと考えるようにいつの間にかなってたよね」

 凡才なりに足掻いていたといえば良いのか。 できることを突き詰めていったのだろう。 そのせいで工夫とかタイミングとか誰しもが訓練次第で覚えられることを彼は覚えた。 そこしか彼には武器が無いのだからその流れは当然だったのかもしれない。

 魔導師とは才能が全ての世界である。 そういいきることができるのが、悲しい現実という奴である。 魔導師として努力するだけでは決して届かないものが、確かにあるのだ。

「だからさ、私的にはクライド君が矢面に立つ自体ってのはあんまり好ましく無いと思うよ。 できれば後方支援とかの方が多分良い。 でないと、絶対に勝てない相手と相対した場合確実にクライド君は死んじゃうよ。 かなり高確率で」

「うわぁー、はっきり言うねアリア。 でも、そこは私も理解できるところかも。 ちょっと危なっかしいところがあるからね。 分の悪い賭けに乗ってしまいそうな、そういう悪い癖があるって感じだし」

「一応、生き延びることを重点的に鍛えさせてきたけれどそれでも全然まだまだだからねぇ。 まだまだ可愛い弟君だね」

「過保護だねーアリアも。 ま、私も可愛がってるのは周知の事実だけどさ」

「元が猫だけに、猫かわいがり?」

「あはは、うまい。 座布団一枚!!」

「それに、他にも危惧することはあるでしょ?」

「あー、アレ? でもさ、それはもうどうしようもないんじゃない?」

「……でも、やっぱり気になるわ」

 そういうと、アリアは過去を回想した。 が、それに意味はもう無いとばかりに思考を消すと手の中にあるデバイスを弄って待機モードにしていく。 カード型になったディーゼルのS1U。 それを手で玩ぶようにしながらアリアはそれを言葉に出すことを恐れるかのように押し黙った。

「ま、なるようにしかならないでしょ。 クライド君はクライド君だし、信じてあげるのが家族って奴なんじゃない?」

「……かな?」

「そうそう、人生前向き前向き」

「私たち、猫だけどね」

 朗らかにそういうロッテの笑顔に釣られて笑みを浮かべると、アリアはそのまま医務室に向かうロッテと分かれて先に父の元へ向かうことにした。 何はともあれ、平和が一番である。 今は平和で、何事も無いのだからそれで良いではないか。 不安を忘れるようにそう考えると、アリアは静かに通路を歩いた。

















 翌日、昼頃にようやく医務室で目を覚ましたディーゼルは全身を襲う痛みを堪えながら、なんとか職務に勤しんでいた。 書類仕事を急いで片付けなければ、折角取り付けた約束の日が非番にならない。 それでは、先方に迷惑なだけだし意味が無い。 これはお礼なのだ。 断じて他意はないが、だからこそ向こうには楽しんでもらわなければならない。 生真面目な彼らしい考えだが、普通はそこまで気負うことも無いということを彼は気づいていなかった。

 それに、アリアはともかくとしてロッテに相談したというのも不味い。 彼女はどこか愉快犯的なところがあるから、こうなることは日の目を見るより明らかであったはずだ。 痛みを堪えながら、もう少しまともな女性職員にでも尋ねておけばよかったと胸中で後悔していた。 だが、彼の受難はそれで終わることはない。 何故なら、更なる試練が彼を待ち受けているからである。

――コンコンと、小気味良いリズムでドアをノックする音が室内に響く。

「はい、どうぞ」

「ああ、失礼するよディーゼル君」

 入ってきたのは、彼の直属の上司であるギル・グレアムである。 彼はそれを認めると即座に立ち上がり、敬礼してからソファーを勧めて紅茶を準備し始める。 上司の故郷のお茶であるそれは、クライドが今現在結構ハマッているものである。 気分を落ち着かせる効用が激務の執務官の憩いにはもってこいであったのだ。

「どうぞ、提督の腕には及びませんが」

「ああ、すまないね」

 お互い、見知った相手である。 特に窮屈な思いをすることなく気軽な気持ちで接することができる。 畏まるのをあまり好まないグレアムらしいといえばらしい空気であった。

「……昨日は災難だったようだな? ヴォルク提督もあれで人の親であり、祖父なんだ。 ああなるのも仕方が無いんだろうが、少しばかり力が入りすぎていただろう?」

「はい……非殺傷魔法で死ぬかと思ったのはアレが始めてです」

「ははっ、確かに。 彼の必殺魔法を食らったんだってね? さすがに、アレはダメージがすぐには退かないからな。 私も見たことがあるが、とても強力な魔法だ。 良い勉強になっただろう?」

「身体が恐怖を覚えました。 絶対に相手には切り札を打たせてはいけませんね。 次からはもっとうまく戦うように努力してみますよ」

「うむ、その意気だ。 ああいう手合いは滅多にいないが、それでも今後そういう敵が現れないとも限らない。 できるだけいろいろな人の戦い方を覚えておきたまえ。 それが戦場でのリスク軽減になるからね」

「はい」

 リビングデッドのこともあるし、多様化していく次元犯罪の影には強力な魔導師がいることが大半だ。 その中で、管理局外の強力な魔導師など数多く居る。 管理局には部隊戦力保有制限という決まりがあり、強力な魔導師が一箇所に集まることができない。 もし仮に高ランク魔導師に囲まれた場合はその時点でかなりのリスクを背負うことになる。 まあ、言いすぎではあるもののそういう事態が少なからずあるのだから、ああいう戦闘経験は貴重なものになるだろう。

「力不足を痛感しました。 まだまだです」

「そうだな、君は年齢的にもまだまだ伸びしろがあるし、鍛えればもっと強くなれるだろう。 向上心を忘れずにがんばってくれ。 ……と、ここから実にプライベートな話に変わるが良いかね? 仕事が忙しいのであればまた今度にでもするが……」

「いえ、大丈夫です。 そう長くならないのでしょう?」

「ああ、だが色々とデリケートな問題でもあってね。 君の仕事能率に関わってくる案件でもあるだろう。 仕事ではないのでそう身構える必要はないけれど、君はこういうことは初めてだろうからさすがに色々と悩むのではないかと思う」

「はぁ、それは一体どういうことなのでしょうか? 僕に関わることなんですよね?」

 少し困ったような上司の言葉に、ディーゼルは首を傾げる。

「実は、君を孫の婚約者にしようという動きが”とある”提督の中にあるのだ」

「――は?」

 さすがに、その言葉は寝耳に水であった。 ディーゼルはポカンと口を開けて目を瞬かせた。 さすがに、それを予想しろというのは無理な話だ。 元々ディーゼルは一般家庭の中で偶々魔力資質が高かった稀有な人材である。 両親の進めもあり、彼は真面目に訓練学校やら執務官試験を受けて今の立場に成っていたが、さすがにそういう上流階級っぽい話にはとんと無縁だっただけに、婚約者などという単語はどこか別世界のものであるという風に捉えていた。 というより、予想しろという方が無理である。

 音が庶民なだけに、彼は何の驕りも無く今まで歩いてきた。 その立場はプライドや利権に絡まった上の人間からすれば恐ろしく取り込みやすい。 今まではそういう動きをグレアムが押さえ込んできたのだが、さすがに天下の名門からのお誘いであるので、断りきれずに昨日の模擬戦へと相成っていた。 ようするに、孫のことを口実に彼は昨日ヴォルク・ハラオウン直々に腕試しをされたのである。 そして、先方が彼を資格アリだと認めたのだ。

「え、あ……”とある孫”という件が非情にタイムリーで嫌な予感がするのですが……もしかして昨日のアレはそういう意味もあったのですか?」

「うむ。 その通りだ。 そして君は候補に入ってしまった。 無論、断ることもできるが昨日思い知っただろう。 そんなことをすれば、本局が火の海に沈むことは目に見えている」

「ま、まさかそこまでは……」

 苦笑いを浮かべながら、ディーゼルはその様を想像する。 気絶させられたあの超威力の魔法を非殺傷設定無しに打ち込んでくるだろうか? いや、艦隊を指揮する立場でもある彼ならば、アルカンシェルを用いてくるかもしれない。 というか、模擬戦の前に孫に何かあった場合はそうする予定だったと言っていたような気がする。 それを思い出してサァーっとディーゼルの顔が気の毒な程真っ青になった。

「まさに前門の虎、後門の狼と言ったところだな。 分かっていると思うが、彼はああいう性格の男だ。 家族を愛し、孫を溺愛する。 そういう気質は誇れるべきものだが、少し常軌を逸するところがあってね……その、なにかね。 今現在君は非情に危険な火薬庫の門番をしている状態だ。 状況によっては君自身を粉々に吹き飛ばすには容易な程の火薬が収まっている」

「ぐ、グレアム提督、何故僕なんですか!!」

「君は滅多にいない無派閥派だ。 しかも高ランク魔導師であり、将来有望だ。 それに何よりお孫さんと年齢が近い。 ある意味で打って付けだったのではないかと私は思う。 それに、彼が欲しているのは婿養子だ。 君ならハラオウンの名をついでも良いと考えたのだろう」

「ど、どうすればいいんでしょうか!? 僕はまだそういうのを考えたことは無いですよ!!」

 ディーゼルはまだ十三である。 管理局の魔導師としてはかなり若い年齢であったし、そういう人生の墓場的なものを考えるような年齢でもなかった。 どうしても、色々な人生経験が足りない。

「うむ。 私も実家でそういうことに巻き込まれたことはあるが、そのときはなんとかやり過ごすことができた……しかし、立場の弱い君ではそれも難しいだろう。 最悪、私が止めに入ることも可能ではあるが……色々と覚悟しておいてくれたまえよ?」

「い、色々ってなんですか!?」

「それはもう、色々だよ」

 直接の言及は避けると、グレアムは涼しい顔で紅茶を嗜む。 ジョンブルの優雅さが、このときばかりはディーゼルは信じられなかった。 どうして、彼はここまで余裕に振舞われるのだろう? 当事者ではないからだろうか? だがその余裕の態度に、ディーゼルは活路を見出した気がした。 

「な、何か策があるのですか!?」

「いや、無いな」

「て、提督ぅぅぅ!!」

「……勿論冗談だ。 それに、まだ正式な婚約者になったというわけではないのだ。 嫌なのならばお孫さんに嫌われるようにすれば良いのだ。 実に簡単な話ではないかね? もしくは、こっそりとそうお孫さんに言えばリストから除名してくれるかもしれん。 もっとも、かなりのリスクを孕んでいるというのは言うまでも無いが」

「で、では無難に嫌われるようにするべきですか!?」

「うむ。 あの年頃の年代ならば、好悪をはっきりと表に出すだろう。 君が何か彼女の目の前で嫌われるようなことでもすれば一発ではないかな」

「す、進んで嫌われるようなことを僕にしろと? しかし、それではいつも提督が仰っている紳士道とは別ベクトルに進みますよ!!」

「うむ、実に難しい問題だ。 あえて茨の道を進むか、それとも臆病者のレッテルを背負いこれから生きていくのか。 大変に難しいな。 ああ、後は毒を喰らわば皿までという言葉に従い全部丸呑みするという手もある。 お孫さんは大変可愛らしいのだろう? 将来への投資だと思えばその程度はどうとでもなるかもしれんな。 確か、私の住んでいた世界の東方の国日本では、プロジェクトゲンジなる計画があったと聞く。 それにあやかることもできるぞ。 最も、普通はもっと年の差が離れた場合の計画だったかな?」

「ぷ、プロジェクトゲンジ……ですか?」

「うむ。 実に危険なプロジェクトだ。 聞いた私もさすがに呆れたよ。 詳細は自分で調べたまえ、もっとも本当に実行したら君は確実に破滅の道を歩むだろうがね」

「自爆を誘発するような計画を進めないで下さい!!」

「はっはっは。 強く生きたまえディーゼル君。 それに、どうやら私が後見人をしている”クライド”君もその中に入っているようでね、中々に面白いことになっている。 彼の場合は……まあ、どうしてそうなったのかがよく分からないのだが……」

 首を傾げながら、グレアム提督が呟く。 なんという因果なのだろうか。 彼の少年は色々と不運な星の元に生まれてしまったが、こういうところにまでその不運が用意されているとは。

「まあ、考え方次第では非情に幸運であるとも言えるのだがね」

 まず間違えなく、あの少年なら辞退する。 そういう確信がグレアムの中にはあった。 今回、クライドをその候補に入れた理由を聞いてみると、彼は自分を魔法戦闘中昏倒させたからと明言している。 だが、彼を鍛えたリーゼロッテとリーゼアリアに聞いてみてもクライドの力量ではそれは不可能だと太鼓判を押していた。 彼が嘘を言っているとは思えないが、何やら色々と思惑がありそうでグレアムは今度の飲み会ででももっと深く聞いてみようかと思っていた。 

「さて、プライベートの話だからあまり勤務中に長く話すこともできん。 一応伝えるべきことは伝えたし、これからどうするかは君の考え次第だ。 ……強く生きてくれよ」

 ぐったりと魂を吐き出しているディーゼルの肩をポンと叩くと、彼は颯爽と仕事場に戻っていく。

「面白がってる、絶対にあの人も面白がっている……」

 さすが、リーゼアリアの飼い主である。 普段は紳士なのに、冗談を言うときはどんなことでもとことん楽しんでいる。 アレが、完成された紳士という奴なのだろうか? 笑えない冗談さえ楽しめるというその余裕に満ちたあり方に、ディーゼルは頼もしさを覚えた。

 が、いくら頼もしさを覚えたところで現実は変わらない。 というより、根本的な問題解決にはなっていないということに気がついた。

「く、どうすれば……ああもう!!」

 頭を抱えながらソファーの上で悶絶する。 勿論、このせいで仕事の能率が大幅に落ちて非番を取るのも危うい状態に陥るのであるが、それはまた別の話である。

 結局、彼が出した答えは成り行きに任せることであった。 お互いに良く知らないし、最終的に本当に婚約者にされるかどうかさえ分からない。 であれば、気にしていてもしょうがないではないか。 恋愛感情というものさえ抱いていない相手なのだお互いに。 ここは開き直っていくしか道はないだろう。 それに、もしかしたらそこから本当に恋愛に発展するかもしれないし、どうなるか分からないのである。 好きとか嫌いとかそういう感情で切り分け出来ない区分というのは本当に難しい。

「全ては運命の女神の思うがままに……か。 なんて情けない男なんだ僕は……」

 我ながら情けなさを感じつつ、ディーゼルは仕事を進めていく。 そのペースは相変わらず遅く、仕事に集中できていないのは明らかである。 そのせいで、逆にリンディという年下の少女のことを過剰に意識していくことになるのだが、その悪循環にディーゼルが気づくことはなかった。 もしかして、それもまた彼の提督たちの思惑の内であったのかは定かではない。


コメント
初めまして。前から読ませていただいてたのですが、初めて感想を書かして貰ってます。

アニメ本編に繋がるポイントが幾つか繋がりつつありますね。
特に気になるところでは、クロノ君の父親でしょう。
前にも出てきたデバイス名などを見ると、クロノ君の父親はディーゼル君なんですかね。
超個人的にはエイヤルとリンディガくっ付いて欲しいところですがー・・・

今後どうなるか気になるところ楽しみなところが沢山なので、期待してますね。
【2008/05/11 01:36】 | にゃんごろ #5VQqvotI | [edit]
まさか……このクライド(ディーゼルの方)が、史実のクロノの父親(という設定)なのか……
読者としては、やっぱり主人公の方のクライドがリンディとくっついて欲しいかなぁ……って思うけれど
【2008/05/11 01:39】 | 黒ちゃん #I6w4Arb2 | [edit]
にゃんごろさんに黒ちゃんさん感想ありがとうございます。
どうやらお二人ともエイヤルの方をキャラ的に気に入ってくださっているようで、嬉しい限りです^^
さて、お二方の懸念ですが答えたくても答えられないのが現状です。 何せ、まだ未定ですからw
【2008/05/11 02:54】 | トラス・シュタイン #da/Koam6 | [edit]
誰が誰の父親か?というのは私も考えました。
最悪ユーノとクロノは兄弟で、プレシアとも何か縁があり
アルハザードについてうっかり情報提供したのが主人公で、
(そのときプレシアは主人公の遺伝子を鍵としてゲット済み)
一度死んだ後、はやてに呼び出されて父親役をしていたら
それぞれの母親が出てきて身元を引き受けようと争うというのが
あるかもと思っていたのですが状況的にそれぞれの相手が
出てきて厳しいかな?。
【2008/05/11 12:23】 | ほげぷー #yByq2LAM | [edit]
初コメです^^
今回もすごく面白かったです。クロノも父はどちらになるか
楽しみです
【2008/05/11 13:22】 | shin #- | [edit]
初めまして響く鐘です。
ここまで一気に読ましていただきました。
ぬぉ~まさかのクライド(ディーゼルの方)が出てくるとは・・・・
自分的にはやはりクライド(エイセルの方)とくっいて欲しいです。
(例えば何らかの理由でクライド(エイセルの方)がリンディたちの側を離れなくちゃいけなくなり、クライド(ディーゼルの方)がクロノの父親の代わりをしていたとか・・・・・)
これからも更新楽しみにしています!!
【2008/05/11 14:24】 | 響く鐘 #nfSBC3WQ | [edit]
初めて感想を書かして貰います。
すごく面白いと思います。このままいくとクロノの
父親はディーゼル君になりそうですね。
そうなると正史だと闇の書が暴走するからクライド君が
クロノの父親でないということはそういうことなのかな
と思ったりもします。
これからも展開が楽しみです。
無理しないように頑張って下さい。
【2008/05/11 14:45】 | NAI #vVIUYXpQ | [edit]
初めまして、先日ここを発見して楽しく読んでます。
 いや~ヴォルクの爺さんのはっちゃけぶりはすごいですね、もう片方のクライドが孫と夜をともにしたことを知ったらどうなるか考えるととてもわくわくしてしまいますw
【2008/05/11 16:35】 | tomo #SFo5/nok | [edit]
ほげぷーさんshinさん響く鐘さんNAIさんtomoさんどうもコメントありです。
ここ最近何故かカウンターが凄いことになって、それに比例してコメもらえるようになってから舞い上がってます。 まさか、自分のSSの展開予測がされるような日がこようとは……。 いい意味で予測を裏切れるようにがんばらねばw
【2008/05/12 03:50】 | トラス・シュタイン #da/Koam6 | [edit]
どうも感想書かせていただきます
どうも彼までの展開を読む限り、正史のクロノの父親はディーゼルの方のようですね。
でもここでは個人的には主人公であるエイヤルがリンディとくっついて欲しいと思っています。
これからも楽しみにしてます。
【2008/05/12 11:06】 | ZO #mQop/nM. | [edit]
初めまして、とある掲示板から来て一気に全話読ませていただきました。
ベルカの崩壊の謎やアルハザード、そしてリンディさんの旦那は誰になるのかw
正史とは異なってきている流れがとても面白いです。
続きを楽しみに待ってます!
【2008/05/13 00:58】 | A4 #tHX44QXM | [edit]
ZOさんA4さん感想ありです^^
やる気補充させていただきますね。
しっかし、エイヤル人気だなーw
【2008/05/13 20:36】 | トラス・シュタイン #da/Koam6 | [edit]












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